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ハジマリノヒ  作者: うぐいす
星のクオリア
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星のクオリア71

 オニキスと合体しているクオリア達の中でアメジストが声を上げた事を皮切りにして、他のクオリア達もワイワイ騒ぎ始めた。

その中で一番プンプン怒っているのがルビーだった。

イメージ的には宝石というより赤熱した石炭の様に輝いている。


「まっっっっったく!全ッ然なってないわ!何よあの炎の使い方!あんなんじゃイモすらマトモに焼けないわよ!?イモ以下よアンタはぁ!!」

「そんな事言ってもしょうがないじゃないですか!私炎なんて使って戦った事ないんですから!」


 ルビーの文句もオニキスの反論も、どちらも正しい。

ルビーの言うとおりルビー本来の火力はこんなもんじゃないし、今まで重力操作しか出来なかったオニキスに突然炎を使って戦えと言われても、すぐに上手く出来る筈が無い。

そんな中、アンバーがぽつりと言った。


「さっきのアメジストを見てて思ったんだけどさ……もしかして、僕達の方からもオニキスに干渉出来るんじゃないかな?」


 それを聞いたクオリア達はピタッと騒ぐのを辞めた。

なんだか嫌な予感がオニキスを襲った。


「えっと、みんな……とりあえず一旦落ち着いて話し合いませんか……?」


 その静寂にオニキスが得体の知れない不安を感じていると、先程とは一転してルンルン気分のルビーが喜色溢れる声色で言った。


「全くしょうがないわねアンタって子は!私が炎の使い方のお手本を見せてあげるわ!」

「ちょっ……!何をする気ですか!?私の身体で勝手な事はやめてください!」

「今は合体してるんだから私の身体でもあるわ!いいからアンタは黙って見てなさい!!!」

「止めて下さい!!う、うわあーッ!」


 突然オニキスの右腕がオニキスの意思に反して勝手に動き出したかと思うと、掌からキラキラ光る火の粉を周囲にばら撒き始めた。

火の粉の様に見えるそれらは一つ一つが超圧縮された火球で、蛍の群れの様に拡散すると周囲を巻き込んで一気に大爆発を起こして数千本の光剣を巻き込みながら相殺した。

その威力は凄まじく視界が真っ赤に染まる程だった。


「どうよ!この火力ッッッ!」


 今はコアしか残ってないハズだが、得意げにガッツポーズをしているルビーの姿がクオリア達の目に浮かぶ。


「オニキスには悪いけど、これは皆の力を合わせないと今のパールには太刀打ち出来ないだろうね……という訳でオニキス、ちょっと失礼するよ?」


 兄弟とはいえ、他者に身体を操られる事にオニキスは物凄く抵抗を感じたが、先程の火力を見せられては黙るしかない。

今はとにかくパールを止める事を優先しなければ。


「……仕方ありません。正直かなり不安なんですけど……皆、ちゃんと上手くやって下さいよ」

「へっへっへ……悪いようにはしねえぜえ?」


アメジストの人相最悪な笑顔が脳裏に浮かぶ。


「ああもうっ!今は冗談でもそういう事を言わないで下さい!」


・・・


 合体したオニキス達が奮闘しても、それでもまだ今パール相手では状況を拮抗させるので精一杯だった。

オニキスの中でエメラルドが毒づきアクアマリンが危機感の欠如した泣き言を言う。


「クソが!全然埒が開かねぇぞ!こうなったら近づいて一発デカいのをぶちかますしかねえ!」

「やばいよ~!このままじゃジリ貧だぉ~!」


 オニキスは考えた。

クオリア達との合体によって、かつて無い程の力が身体に漲っているが、それも無限という訳ではない。

対してパールはというと皆の力を合わせても拮抗するのが精一杯で、しかもまだ表情には余裕が有り底が見えない。

確かに二人の言うとおり今のままでは先に此方が力尽きて負けてしまう。


(全く、私達の親は化け物なんですね……まさか本当にメタトロンは無限の力を持っているとでもいうのでしょうか?)


 言葉は乱暴だがエメラルドの言う通り、今のパールに勝つ為には一気に勝負を決めなければならないだろう。

先の見えないリソースの削り合いでは明らかに分が悪いが、幸いこちらには機動力に長けるエメラルドとターコイズが居る。


「今からパールに接近して全力の一撃を叩き込みます、いいですか皆?」


 オニキスの中に居る皆もそれしかないと考えているようで、特に反対意見は出なかった。

自分達の出番を察して声を上げたのはターコイズとエメラルド二人だった。


「よし、それじゃあ僕とエメラルドで移動をサポートしよう……僕達の力ならば光剣の攻撃を掻い潜って接近出来る」

「オイ、勝手に決めてんじゃねーよ」

「緊急時なんだし、そういわずに頼むよ」

「チッ……しゃーねーか」


次はアンバー、アクアマリン、アメジストだ。


「僕らは防御に専念しよう」

「防御つっても俺が出来るのはデコイをぶつける位なモンだけどな……スマートさに欠けるが、そうもいってられねえか」

「光なら私の水で方向を逸らせるよ、皆頑張ろうね!」


次にルビーとサファイア。


「じゃあ私達が露払いよ!半分はアンタに任せるから、しっかりやんなさいよサファイア!」

「がってん……!」


最後にオニキスが言った。


「行きましょう、みんな!」

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