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ハジマリノヒ  作者: うぐいす
星のクオリア
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星のクオリア70

 最後の力を使い果たして地球の重力に成す術無く墜ちて行くオニキスを見下ろしながら、パールは高らかに笑っていた。


「アハハハハハハハハハハハハ!!!やったぞ!もうクオリアでさえ今の私の脚元にすら及ばない!!私は全てを超越した存在になったのだ!!!」


 クオリアシリーズで一番の攻撃性能を持つオニキスの全力を正面から受けきって尚、今のパールにはまだまだ余力がある。

胸元にあったターコイズの核はオニキスに取られたが、メタトロンを取り込んだ今のパールにとって最早どうでもいい事だった。

メタトロンから感じるエネルギーは正に無限、ゲヘナを生み出すエネルギー源になったという話も納得出来る。


「地球上に私を超える者は居ないだろう……嗚呼、なんという優越……!」


 子供の様な無邪気さと神の様な残酷さで、この力を使ってこれからどうしてやろうかとパールが考えを巡らせていると、突如として地球から発せられた虹色の光に思考を遮られた。


「なんだ今の光は……?」


 一瞬で消えたかに見えた虹色の光は、どうもパールに接近してきているらしく、徐々にその大きさと強さを増していく。

虹色の光はパールの正面30メートル程の位置で静止した。

虹を纏って現れたのは先程倒した筈のクオリア・オニキスだ。


「……オニキスか?なんだその姿は?」


 クオリア・オニキスの姿は、パールが知るいつものオニキスとは異なっていた。

普段は夕日の様なオレンジ色だったオニキスの羽の結晶の一枚一枚が、それぞれのクオリアが持つ色に変化していて、それが合わさり極彩色になっていた。

それらがまるで鼓動しているかの様に、それぞれのタイミングで明滅を繰り返してしている。

先程の虹色の光の正体は、合体したクオリア達が発しているオニキスの羽の光だったのだ。



「なんだお前、まだ墜ちていなかったのか?往生際の悪い……いや、やはり丁度良いか。あまりに呆気なくお前が負けた所為でこの力、まだ試し足りないと思っていた所だ」


 まだそんな余力を残していたのかと少し意外だったが、どうせ自分が勝つからとパールはオニキスに興味を持てなくなっていた。

粉々にした筈のオニキスが再び目の前に現れた事も、羽が虹色に輝いている事も、最早パールにとってはどうでもいい事だったが、新しい的が出来たのは都合が良かった。


「……行きますよ、皆!」


 オニキスが自分の中に居る兄弟達に語りかける……言葉こそなかったが、皆それぞれ応援してくれているのを感じた。

再び対峙するオニキスとパール、最初に動いたのはオニキスだった。


「はあぁ!」


 オニキスが手を翳して発射したのは、重力球と火球と岩と風球と雷球と氷塊と水球だった。

とにかく飛ばせるものを全部飛ばした。

パールは光剣でそれら全てを迎撃すると、それを上回る量の光剣で反撃する。

迎撃しようとするオニキスの内部からアメジストの声が響いた。


(いちいち迎撃してたんじゃキリがねぇ!分身使って手数を増やせ!)


 オニキスの意識にアメジストの思い描くイメージが流れ込み、それを受け取ったオニキスが即座にそれを理解、実行した。

百体を超えるクオリア達の分身体がオニキスの周囲に生成されて、それぞれの能力でパールの光剣を迎撃する。


「ほう、この程度には耐えるようになったか……いいぞ、今度は少しもちそうだ」


パールは嬉しそうに口元を歪ませた。

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