星のクオリア69
宝石箱が開かれると、中からクオリア達が飛び出してきてオニキスの周囲は一気に騒がしくなった。
「ちょっと!ここ何処よ!?一体どうなってんのコレ!説明しなさいよ!」
混乱している赤はルビー。
「オニキスの用事は終わったのかな?」
こんな状況でも落ち着いている黄色はアンバー。
「ヒャッハー!シャバだー!」
世紀末のチンピラみたいなテンションの緑はエメラルド。
「ZZZ……」
まだ寝てる青はサファイア。
「下に地球が見えやぁがる……へっへっへ!おもしれー事になってそうだなぁ?」
なんか一人で楽しそうな紫がアメジスト。
「やっほー!皆久しぶりー!」
純粋に兄弟達との再会を楽しんでいる水色がアクアマリン。
ワイワイ好き勝手に賑やかなクオリア達を黄緑の宝石、ターコイズが仕切った。
「皆聞いてくれ!今パールがオニキスから横取りしたメタトロンを自分の体内に取り込んで暴走しているんだ!各々言いたい事はあるだろうが、今はアイツを止める為に皆の力を貸してくれないか!?」
ターコイズの声にオニキスが続いた。
といっても言いたい事は要約してターコイズが全部言ってくれちゃったので、オニキスは言う事が無くなって頭を下げるくらいしか出来なかった。
「皆を封印した私が言うのもおこがましいかも知れませんが、皆どうかお願いします……!」
とはいえオニキスはもう物理的にも頭しか残ってないので、現状頭を下げる事すら適わない状態なのだが……まぁこれは気持ちの話だ。
疑問を口にしたのは今は肉体無きマッチョ、クオリアアンバーだ。
「でもどうすればいいかな?ここに居る皆は核だけの状態だし、このままじゃ戦えないよ」
「……それについては方法がある。詳細は省くが、僕はついさっきまでパールの体内に取り込まれて力を奪われていた」
それを聞いたアメジストがいち早くターコイズの考えを察して不敵に明滅した。
「ははぁ~ん、そういう事か……俺達にそんな事が出来るとはなあ」
「そう、僕達全員が合体してパールを倒すんだよ!」
一瞬だけクオリア達の間を沈黙が支配した。
「許せないわね、パールのヤツ!思い知らせてやるわよ!」
「確かに今のパールからは危険な気配がするよ、微力ながら僕も力を貸そう」
「へっへー!パールの野郎に吠え面かかせて見るのも面白そうだ!」
「……わかった、手伝う」
「合体だってよ!ワクワクさせてくれるじゃねーの!!」
「わたしもがんばるよー!」
「……頼んだよオニキス!」
地上から遠く離れた孤独な宙でも、ここには皆が居てくれて、自分を信じて助けてくれると言ってくれる。
その有り難さ、心強さに感極まったオニキスは泣きそうになってしまう。
だが泣くにはまだ早い、その前にやるべき事を終えなければ。
「ありがとう、皆……共に行きましょう!」
クオリア達の色とりどりの核が、それぞれ強い光を放つ。
七色の光が、やがて一つになった。