星のクオリア47
宝石箱にアメジストを封印しようとした直前、アメジストが思い出した様にオニキスに話し掛けた。
「……そういやお前、新月街でターコイズとパールと戦ったよな??」
「えぇ、あの時は街のヒト達の協力でなんとか撃退出来ましたけど……」
「アイツらと連絡が付かねーんだが、なんか知らねえか?」
「え?……確かに私達は二人の撃退には成功しましたが、二人を仕留められませんでしたよ?余力を残した状態で撤退して行きました」
「なんだ、じゃあアイツら別にお前らにやられた訳じゃねえのか」
「…………どういう事でしょう?そもそもアメジストがあの二人と合流して一緒に戦っていたら確実に私達に勝てた筈なのに……」
「さあなあ……そこら辺は俺も知らねえ」
「……まさか何か事故に巻き込まれたとか?」
オニキスは表情を曇らせる。
「俺様達はクオリアだぜ?ヤツらが手負いだった事を考えてもクオリア二人が何かに巻き込まれたなんて不自然だ……確かに無くはねえだろうがよ、そんな低い可能性を考え始めたらお前、空から降って来た隕石に直撃して粉々になってる可能性だってある」
「まぁ、隕石だったら二人ならどうにか出来るでしょうしね……という事はまさか!?」
「そうだ、順当に考えればヤツ等『自分達から連絡を絶っている』と考えるのが自然だよな」
「一体何故……」
「ヒャハハハハハハハハ!!!」
アメジストは大声で笑う。
確かにそれは笑い声ではあるのだが、笑っているというよりもヤケクソになって叫んでいるという方がしっくり来る声だった。
「お前がそれを言うのかよッ!?『一体何故……』はこっちの台詞だぜ!?ターコイズとパールの行方が知れねえのも不気味だが、突然研究所からメタトロンを持ち出したお前も大概だァな!」
「…………」
確かにアメジストの言う通りだ。
そもそもオニキスがメタトロンを持ち出さなければクオリア同士で戦う事も無かったし、パールとターコイズも行方不明にならなかった。
また表情を曇らせるオニキスを見て、アメジストもまた笑った。
「クックック……お前はホントに直ぐ顔に出やがるなあ?オニキス?」
「……大きなお世話です」
「わかった、パールとターコイズの件に関しちゃ一旦お前が無関係という事にしておいてやろう」
「…………」
浮かない顔のオニキスを見て、アメジストは核のみの状態であるにも関わらず超高速回転でオニキスの顔面に突撃した。
「クォオラアアア!何考えてるのか知ったこっちゃねえが、オメーが始めた事だろうが!!」
「あああああああああ!!!いたいいたいいたい!!!」
「一度やると決めたんならやりきれ!」
「わかりました!わかりましたから!!」
オニキスは荒ぶるアメジストをなんとかかんとか宥めて落ち着かせると、これ以上話していてもボロを出してしまうかもしれないという事で、いい加減アメジストにも宝石箱に入ってもらう事にした。
宝石箱に入る直前にアメジストが言った。
「……今はあっちこっちきな臭くなってっがよぉ、面倒事が全部片付いたら皆でどっか遊びに行こうぜ」
「……そうですね。何か、おいしいものでも皆で食べに行きましょうか」
「じゃあまたな」
そうして宝石箱の蓋は閉じられた。