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第132話 新しいグループ

 岸姉妹を見て、

「あ、奈央ちゃん、深央ちゃん。どうしたの?」

 と葵が声掛け。「どうしたの」はお前にも言えることなんだが。

「ん、胡星さんでも誘って帰ろうかと」

「先客がいるとは思いませんでしたけど」

 奈央も深央も俺が放課後に何の用事もない前提で行動してるらしい。まあ他の奴らもそんな調子だから今更か。もう次からは塾や予備校に通おうかな。ああでも「予備校までは一緒に行きましょう」とか言ってきそう。特に奄美さん家の妹さんは。


「え、何? ひょっとして二人はカップルだった?」


 奈央、そんな質問は前にも聞いたな。えーと確か、奄美先輩との食事のとき。なまじ二人きりでいること多いから誤解されやすいのな。

 でもそうなるとさっき葵が提案してた二人で喫茶店というのはやっぱナシだな。

 こうして学校で会話しているときでさえこんな勘繰りをされるのに二人きりで下校、ましてやどっかのお店でお茶でもしばいてるのを目撃されたらもう余裕でアウトだろ。弁明しても信じてもらえないまであるぞ。

「違う」

「アハハ、付き合ってないよー」

 ともあれ、俺と葵はそれぞれ否定した。

「へー。カップルでもないのに二人きりで帰って大丈夫?」

「え、別に。大丈夫って?」

「いや、周りから付き合ってるって誤解されるんじゃないかって」

「あー」

 葵よ、すっとぼけてるのか。お前もさっき二人で喫茶店に行くかどうか悩んでただろ。

「ちゃんと説明すれば大丈夫じゃない? 多分」

 奈央の忠告もどこ吹く風か、まるで他人事のようにあしらう葵。多分ってお前。


「それなら私達も一緒に帰れば問題ないんじゃないでしょうか」

 深央がいきなりぶっ飛んだ提案。いや葵と岸姉妹は友達だからこの三人が一緒に帰るのは普通だけどさ。俺友達じゃないじゃん。たまたまお前らと仲良い二年の女子達のグループに巻き込まれただけじゃん。

「あ、あー。そうかも、ね」

「んじゃ、そーしよ!」

「この四人で、というのは新鮮ですね」

 ナオミオがさっさと方針を決めてきた。

 例によってこの姉妹も俺の意見に耳を貸す気はないらしい。



 下校中。

「どっか遊びに行こっか?」

「今は別にそんな気分じゃないですね」

「私もかな」

 前を歩く葵・奈央・深央の会話を聞きながら、俺は駅までの道を歩いていた。

「いや、お前ら遊びに行った方がいいんじゃないか。俺は金欠だから厳しいが」

「ウチらから離れる気満々ですね」

「いつものことじゃん」

「胡星先輩もそう言ってるし、やっぱ今日はまっすぐ帰ろーよ」

 まっすぐ帰る方針に決まってしまった。

「あー、一つお話があるんでした」

「何だ?」


「ウチら四人でメッセージのグループ作りませんか」


 わーお。またパンチ効いたお話ですね。

「断る」

「前向きに検討したいってことですね」

 葵といい岸姉妹といい、俺の言葉はコイツらに一体どう伝わっているのか真面目に気になってくる。

「話聞け。作らないって言ってるんだ」

「葵さんはどうですか?」

 だから話聞けっての。

「うーん……例えばどういうときに使う感じ?」

 お、葵は深央の提案に怪しんでるみたいだな。

 そりゃそうだ。既に二年の女子勢に葵を加え、さらには最近岸姉妹も加入したメッセージのグループチャットが既に存在するのだ。

 一年勢だけ三人のグループ、というならまだわかるがそこに二年は俺だけ加えたグループなど作る理由が掴めない。

「いや僕らも、もっと葵と仲良くしたいと思ってるんだけどさ。そういうとき胡星さんが間に入ってくれるといいんじゃないかって」

 俺が? 間に?


「仲立ちってことか? それなら春野なり安達なりお前らと同じ女の方がいいだろ」

「先輩達も考えたけど、僕らにとっちゃ胡星さんの相手が一番長いし」

「長いって言っても実際関わり持ったのは数週間の差だが」

「その数週間が濃い内容でしたから」

「え……?」

「演技の練習でがっちり関わった、てことな」

 葵が訝しむからややこしい言い方やめろ。

「他の先輩方ともこれからどんどん交友できればと思いますが、まずは同じ学年同士で交流を深めていった方がいいかなと思った次第です」

「協力して、胡星さん」

「ダメですか、先生?」

 おー、これまたあざといおねだりしてきたなこの二人。お前らがやっても白々しいだけなんだよ。

「いや、お前ら三人で充分だろ」

「うーん、ダメですか……?」

「土下座すればいいのかな?」

「そうですね、やってみますか」

 え。

 と思ってる間に岸姉妹が鞄を一旦地面に下ろして膝を折り曲げ始めている。え、マジで?

「え、ちょっと二人とも?」

 葵も岸姉妹に引いている。そうだよな、それが常識的な反応だよな。

 そしてこんな光景、傍目からは凄まじいまでの悪目立ちだよな。

「待て、わかった。協力する」

「わ、私も!」

「おー、胡星さん、葵、さすが!」

「ありがとうございます、お二人とも」

 岸姉妹がすぐさま元の姿勢に戻る。何だコイツら……。


 その日、俺のいるグループチャットが1つ追加された。


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