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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ソライロハグルマ系列の小説

フユゾラグレープ

『ぶどう用の肥料が欲しいと言ってたな。まだ試作段階だが、ひとまず開発はひと段落着いた。試作品を君の家に送ってある』

「それはありがたいわ」

 ヴィンは、どこまでも続く自然の中で友人と通話をしていた。

 ひたすらにぶどうの木だけが規則正しく並んだ不思議な空間だ。空はいつ何時でも青く、太陽はないが十分な明かりがある。温度もぶどうが育つのに適度で、風も温かい。その中心部、唯一ある噴水に腰かけている。さらさらと心地よい水の音があたりに響き、周囲の大地を潤していた。

『それとな、あれがまた動き出したらしい……あれだ、あれ。昔地球を魔法で荒らして、いきなり何もしなくなったへんな集団』

 名前を思い出せないということは、現段階では友人にとってはあまり関心のない集団のようだ。

「ラストアワーズ?」

 ヴィンは心当たりがある集団の名前を挙げた。昔交戦したこともあるので、彼らに関する記憶はまだ鮮明だ。

『そうだ。月日が経っているからな、メンバーが入れ替わったかもしれないし、強くなっているかもしれない。君も魔法が使えるのだから襲撃される可能性だってあるんだ、警戒をしておいた方がいいだろう』

 研究者でもある友人は、言いたいことだけ言うとさっさと通話を切ってしまった。なんでもほったらかしにしていた新素材開発の仕事の期限が近いとかで、最近は特に忙しいらしい。

 ザ・ラスト・アワーズはまだ謎の多い集団だ。全員が強力な魔法を使えて、世界を終わらせることが目的だったと聞いた気がする。

 警戒しろとは言われたが、ヴィンだって地球を荒らされるのは困るし、襲われたら全力で叩き潰すつもりでいる。

 現在品種改良を頑張っているぶどうの試作品を一房持ってきて、口に入れる。

 恐ろしくまずかった。


 * * *


 イタリアの小さな住宅地、深夜零時。空には青白い三日月が浮かんでいる。

 ここは、夜となれば人はほぼいない。光源らしい光源もちらほらとある街灯や、いくつかの建物から漏れる僅かな明かりくらい。

 ヴィンは自分の住むマンションから出ると、猫たちと遊ぶために行きつけの公園へ向かった。そこは猫の集会場所とも言うべきところで、なぜかたくさんの猫が集まる。

「にゃ」

「昨日ぶりね」

 ヴィンが公園に入ると同時に大ジャンプしてきた黒猫を受け止め、頭を優しくなでる。

「そういえば今日は……あなた以外に誰もいないわね」

「うーにゃー」

 いつもであれば両手の指で足りないほどの猫がヴィンのまわりにやってくるはずだが。

 そこで彼女は周囲の空間にひとつの違和感を見つけた。

「魔法の……痕跡がある?」

 無論ヴィンではない。となればここで、ヴィン以外の何者かが魔法を使ったということだ。それが猫の少なさに影響している可能性もある。

 よく見てみようとするが、そういうのに長けているどころかやや苦手なヴィンには魔法が使われたことしか分からない。

「みゃお」

 なでてくれないからか黒猫がするりと腕を抜け出してどこかへ行ってしまう。

「あー……」

 残念がっていると、ふいに後ろから声が聞こえた。

「アンタか? ここで魔法使った奴」

 後ろには一人の少女が立っていた。ツインテールの黒髪、血のように赤い目、襟の立った黒いジャケットを着ている。背中にはベルトで止められた一丁の大きなスナイパーライフルがあった。

「私じゃないわ」ヴィンは怪しまれたことを気にしていないようで、にこりとほほ笑んで答える。「あなたは?」

「アタシはミスマッチ、ギャングだ。……マフィアって言った方がいいのか?」

 自分で名乗っておきながら急に不安がりだしたミスマッチ。ヴィンはくすりと笑うが、自分も違いが分からなかった。

「で……アンタはなんだ。アンタも魔法を使えるんだろ?」

「ええ、一応ね。苦手だけれど」

「じゃあ何をしてた?」

 ヴィンは「なにって……」と小さくため息をついた。こんなふうなきつい雰囲気の人は苦手だ。

「応答次第じゃ撃つぞ」

「あーはいはい。猫をかわいがってただけよ」

 なにかを指標にしているのか、ミスマッチは銃のグリップを握っていた手を下ろし、本当らしいな、またふりだしか、と疲れた顔を見せる。

「ふりだし? あなたは魔法を使った人を追ってるの?」

「そうだ」軽くストレッチを始めるミスマッチ。「アンタ、ラストアワーズって知ってるか?」

 ヴィンの心臓が小さく跳ねる。友人に忠告されていたラストアワーズが、今本当に動いているのか。

「ええ」

 面倒な説明が省けそうでミスマッチは少し安心した。

「そいつらか、そのひとりかは知らねーけど、ラストアワーズのやつが動いてる。アタシの組織じゃないけど、別のとこのやつらが二人殺された。ロゴの描かれたカードが背中に刺さってたんだ」

「ふうん……」

「うちのボスも幹部もみんな一般人で魔法を使えねーから、アタシが勝手に動いてるってわけだ。敵対組織が崩れるのはいいけど、こっちまで被害が及んじゃたまらないからな。何か知ったら教えてほしい、協力してくれ」

 ミスマッチはそれだけ言うと、くるりと踵を返し、すぐにどこかへ歩き去ってしまった。

「ふにゃ」

「あら」

 先ほどの黒猫がまた戻ってきた。

「あなたもしかして、あの銃の子のことが怖かったの?」

「にゃーう」

 黒猫の返事は肯定か否定か、あるいは理解していないのだろうか、それはヴィンにはわからなかった。


(犯行声明のカード、ね……)

 ヴィンは自室に戻って、ノートに記憶を整理していた。

 ラストアワーズの中でわざわざカードでロゴを出すような人は、記憶を頼れば二人いた。片方は昔のラストアワーズ騒動の時でももう八十過ぎの老人だったので、多分死んでいる。もう片方もひとつの場所にとどまっている性分ではない。

 おそらくは、新メンバーだろう。それも、ラストアワーズはメンバーがごっそり変わっているはずだ。

「あの子にカードの事を聞いておけばよかったかしら……」

 なんとなく、テレビをつける。健康にいい食品を面白おかしく紹介するバラエティ番組がやっていた。

「ぶどうはリストに……載ってないわね……けっ」

 自分で研究して大量に育てるくらいぶどうが大好きなヴィンであった。


 * * *


 ミスマッチは街中を歩き回り、魔法を使った人がどう動いたかを見ていた。魔力がかすかに残っているので、それをたどっているのだ。

「アタシのことも想定済みなんだろうな……いろんなとこを動き回ってやがる」

 注意深い性格、と頭のノートに書き加えるミスマッチ。

 しばらく歩くと、追跡対象はそのまま路地裏に入っていった。

 そして、

「途切れてる……?」

 魔力がぱったりと消えてなくなっていた。どこを注意深く見ても、新しい魔力の跡はない。

(なるほど……空間干渉系……いや、それか……)

 これは厄介な相手になりそうだ、とミスマッチは小さく息を吐いた。


 * * *


 翌朝、六時過ぎ。鳥のさえずりが小さく聞こえる。ヴィンにとって、到底いい目覚めとは言えなかったが。

 ヴィンはいきなりの轟音に起こされたのである。

「ふぁ……!?」

 ねぼけまなこのまま、窓の外を覗くと、一台の赤い車が地面に埋まっていた。よくみると地面が陥没して車がはまってしまったようだ。さっきの音は地面が崩れる音だったらしい。

 まだ早朝だというのに、さっそく何人かが建物から出てきて現場を囲む。

「大変ね……」

 また布団に戻りかけたところで、ヴィンはあることに気が付く。

「魔法の痕跡、かしら」

 自動車の付近に、魔法を使った痕跡が残っている。

 ヴィンはさっさとドアをあけ、きちんと鍵を閉めてから現場へと向かう。

「あれ……カード?」

 車のサイドミラーに、名刺型のカードが突き刺さっているのがわずかに見える。

 周囲の静止も効かずにヴィンは穴へ飛び込むと、サイドミラーからカードを抜き取った。

 それにはラストアワーズのロゴと、十七時を刺した時計のマークが描かれている。

 それをしばらく眺めると、思い出したように車の中を覗いた。中には、額を切っただけで済んだらしい、中年の男が扉を叩いてヴィンの注意を引こうとしている。

「ああ、それと、まあ、大丈夫そうね?」

「大丈夫じゃねえ! 警察は呼んだのか!? 早く助けてくれ!」

 激しく動いたせいで車ががたんと揺れ、男の顔が恐怖に染まるのを見てヴィンは苦笑いを浮かべた。


「よっこらしょ……あら?」

「命知らずがいると聞いたら、アンタだったか」

 中年のことは警察に任せるとして、ヴィンが穴から這い上がるとミスマッチが半眼でヴィンの事を睨んでいた。

「そんな顔しないの、せっかくの別嬪さんが崩れちゃうわ」

 ヴィンの軽口にミスマッチは一瞬複雑な顔をしたが、すぐに元の厳しい顔へ戻る。

「何でアンタがまたここにいるんだ?」

 どうやら容疑者へと再浮上してしまったらしい。ヴィンは持っていたカードをミスマッチへ見せる。

「これが刺さってたから。今回は死人はいないみたいだけれど」

「おい、見せてくれ」

「見せてるじゃない」

 カードを奪おうとするミスマッチ。ヴィンはそれを軽く躱す。また穴の中に落ちた。

「バカなのか、アンタは」

「バカっていうかドジってよく言われるわね、ふふ」

 また車の男が騒いでいたので、さすがにかわいそうになったヴィンが岩をいくつかどかしてドアをこじ開ける。

 男は感謝ではなく何やら大声を出した後、地面に唾を吐いた。

「さすがにおぶってのぼるのは無理だから、警察が来るまで待っておいてちょうだい」

「ふん」男が不機嫌そうに鼻を鳴らす。「そこくらい俺でも登れ――」

 登れなかった。

 軽々とのぼったヴィンは、ミスマッチと口論を始めている。

「これは私が見つけたのよ。記念品に取っておくわ」

「だからな、それから何かわかるかもしれないだろ! 人が死ぬんだぞ!?」

 そう言われると強く拒否できないので、ひとつの素晴らしい提案をする。

「全部終わったら私に返してくれるかしら?」

 ミスマッチはしばらく熟考した後、「……まあ、いいだろう」としぶしぶ頷いた。

 そうしてカードがミスマッチの手に触れた瞬間、

「な――!?」

 世界が一瞬にして塗り替えられた。


「落ち着いて、ここは……どこかしら?」

 ふたりが立っていたのは、どこまでも続く氷の地面だった。まばらに色のない木が立っていて、青い氷の中に張っている鋭い根が透けて見える。空は鈍い鉛色で、太陽も月もない。ただ、憂鬱になりそうな風景だった。

「カードに細工してあったみたいだな……」

 ミスマッチが、ちくしょうはめられた、と吐き捨てる。ヴィンは周囲を冷静に見まわし、ミスマッチへ武器を構えておくよう伝えた。

「近づいて来てるわ。音がする」

 そして次の瞬間木々のすきまから現れたのは、氷でできた魚だった。

 体表はきらきらと輝いているが、濃い灰色のなにかが体の中で蠢いていて気持ち悪い外見をしている。

「この空間と同じ感じがする……」

 ヴィンが状況を分析している間に、ミスマッチが銃で魚を狙撃する。一発弾丸が触れると魚は砕け、中の何かもろとも空気に溶けて消え去った。

「アンタ、武器は!?」

「持ってなくてもあなたが倒してくれるでしょう?」

 完全に人任せなヴィンの態度にミスマッチはむっとしたが、機械的に魚を狙撃して片っ端から破壊してゆく。

「――張れたわ。『紫の揺り籠(コロナイザー)』!」

 その嬉しそうな声に、何が、と聞く間もなくさらなる驚きが訪れる。

 あたりに一瞬で紫色の線が張り巡らされ、魚がどんどん斬り刻まれていく。

「アンタ……魔法は苦手じゃなかったのか!?」

 ヴィンは「覚えてくれてたのねー」と軽く流し、溶ける直前の魚の残骸を手に取る。

「ふむ……」

 どうやら予想通り、魔法で形作られているようだった。ただそれ以上のことは結局わからず、すぐにそれも消えてしまう。

 魚を斬り刻むのは簡単だが、脱出ができなければ意味はない。ヴィンは右手のひらにエネルギーの塊を出現させ、空間を破壊しようとして――

「おうおう、おっかないね」

 その言葉と共に、エネルギーは全て掻き消えた。

 現れたのは緑色の髪の少年だ。背は中学生くらいで、もこもこの黒い服を着ている。右頬は凍っているのか、青い氷が光を反射して輝いていた。

「誰だ?」

 ミスマッチが銃を向ける。少年は「無駄だよ」と言わんばかりに手をひらひらさせ、不敵な笑みを浮かべて名乗る。

「オレは鑽舞(きりまい)ジョセフ。日本とイギリスのハーフなんだ」

「どうも、私はヴィン」

 ヴィンは自己紹介を返したが、ミスマッチは銃のスコープを覗き込んだまま動かない。不審人物に名のる名はないということのようだ。

「アンタがラストアワーズだな」

「ザッツライト」ジョセフはおどけた調子で指をさす。「キミたち二人を始末しに来たんだ。ゲーム開始!」

 ジョセフの目の前に七枚の紙が現れる。

「オレの能力は『ディヴァイン・ドロー』。カードの能力を現実に影響させるんだよ!」

 二枚のカードを指で挟み、発動を宣言する。ふたつのカードは焼かれたように消え、ヴィンに向かって雷が飛んできた。

 すぐに魔法で防御し、雷は掻き消えた。そして追撃すべく、指先からレーザーを放った。

「キミの能力万能だね」難なく躱したジョセフは距離を取って、カードをもう一枚焼く。「物質操作とか?」

「そんな感じね。対象が狭いけど」

 ミスマッチの弾丸が迫る。しかしそれは方向を捻じ曲げられ、鉛色の空へと飛んで行った。

 紫色の宝石のような槍がジョセフめがけて飛ぶ。

「あ、わかった! 葡萄だ!」

「ふうん、やるじゃない」

 ヴィンの魔法は『アメジスト・レイン』。葡萄を創り出し、操るだけの魔法である。

 しかしその万能さゆえに、攻守ともに一人だけでもばっちりだ。

「『トラオベン・レーゼ』」

 美しい紫の剣を出現させ、ジョセフへ斬りかかる。

 あらかじめ焼いてあった防御用のカードの効果で甲高い音と共に斬撃は防がれ、続く斬撃はバックステップで避ける。

「やるわね。『ヴァイン・ベーレ』!」

 音速の弾丸がジョセフの手札を二枚弾き飛ばし、ミスマッチがその後ろから挟み撃ちにすべく飛びかかる。

「無駄だよ!」

「っ!?」

 強力な風の流れで吹っ飛ばされるふたり。ジョセフは続いてカードを数枚焼き、二人を串刺しにすべく氷の床を変形させる。

「うっ!?」

 ヴィンの右腕に氷の柱が突き刺さる。回避できずに両足も縫い留められてしまった。

 ミスマッチはすぐに立ち上がってジョセフを狙撃するが、防がれてしまう。

「……『メタリック・ワークス』!」

 魔法により銃弾を操作し、大きな爆発を起こす。金属片が飛び散り、ジョセフの皮膚へ食らいつく。

「っ……痛いなあ!」

「油断は禁物だぞっ!」

 弾丸が変則的な軌道を描き飛んでいく。ジョセフのカードによって氷の盾がそれを防ぎ、さらにその上から結晶化させた。

「どうする? キミが魔法を使えば、氷の破片でキミも無事じゃすまないよ?」

「……知ってるか?」ミスマッチは静かに銃を下ろす。「雑魚ほど小細工が好きなんだ」

「っ!?」

 数多の弾丸が爆破し、氷片が飛び交う。予想外の行動にジョセフは狼狽えたが、すぐにカードが自動で発動して防御してくれた。

 氷の盾が消えると、そこには血みどろのミスマッチが立っている。

「バカだな。雑魚はオレじゃなくてキミじゃん? まあこっちも楽でいいんだけど、楽しませてよ」

「バカだな。誰が魔法はあれだけだと言った?」

「がっ――!?」

 ジョセフが体中から血を噴き出す。

「アタシの『メタリック・ワークス』は金属を操る能力だ。さっきの爆破は攻撃のためじゃなくてアンタの周囲に金属をばらまくためだったのさ……こっちまで怪我したのは誤算だったが」

 しかしジョセフもすぐに手札を焼き、回復しようとする。しかし、

「あなたの魔法……あのフィールドじゃないと使えないんでしょう?」

 なぜかカードは、空気に溶けるように無くなってしまった。

「ば、かな……」

 喉が抉れていて声も出しにくい。いつの間にか氷の束縛を抜け出したヴィンが近くに行き、膝をかがめて目線を合わせる。

「大人を舐めたら痛い目見るわよ? こんな感じでね」

 一瞬で景色が塗り替わる。

 そこは、どこまでも続く葡萄農園で……

「神に近い存在はね。固有の魔法だけじゃなくて『次元』も持ってるのよ、だいたい」

 失血で薄れていく視界の中、最後に見えたのはヴィンの怖い笑顔とミスマッチのまぬけな驚き顔だった。


 * * *


 深夜二時。ヴィンとミスマッチは都会のカフェでくつろいでいた。

「いや……アンタ精霊だったんだな。知らなかった」

 ミスマッチがそっとコーヒーをすする。ちなみに手元にはいつもの銃が置いてある。

「まあ、下のほうだけれど。それに人間として生きる方が楽しいからねえ……最近は知り合いに会っても精霊扱いされなくなっちゃったわ」

 うふふと笑ってアイスを食べるヴィン。

「そういや……あの後あのガキはどうしたんだ? 連れて帰ってたけど」

「ああ、ジョセフくん? 研究者の知り合いに預けたわ。たぶん研究対象にされてるでしょうね、いろんな魔法の仕組みについて調べたいとか言ってたし」

 知り合いも相当強いからジョセフくんが脱走したりすることは無いわ、と付け加える。ヴィンはそれならいいかと納得した。

「はーいお待たせ! にゃんにゃんパフェです!」

 黒髪のかわいい店員がやってくる。様々なカフェを日雇いで転々としているが、ここには特に何度も雇われておりすっかり看板娘的立ち位置になっているそうだ。

 運ばれてきたのは猫型のパフェだ。食べる罪悪感を背負いつつもヴィンは口へ運ぶ。おいしい。

「アンタ……何皿食べる気だ……?」

 もうすでに、ヴィンの横には十以上のパフェの皿が置かれていた。

 四作目です。クリスマスイブに太古の未発表作品を発掘したので投稿です。ありがとうございました。ぴーす。

 僕、ツイッターでとあるカードゲームのオリカを作っているんですが、ヴィンとミスマッチはそこで生まれたキャラクターなのですよ。

 ちなみに『トラオベン・レーゼ』と『ヴァイン・ベーレ』はドイツ語です。タブン。


ヴィン「研究は調子どうかしら」

研究者「まずまずだな。それとな、あの子供は鎮静剤に耐性がついてきたみたいで、なかなかおとなしくならん。いきなり夜に音を立てるから困ったものだ、返品させてくれ」

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