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3にゃ

 とりあえず、ダイニングのテーブルでお茶やお菓子をだし、僕も同席することになった。


(なんだこの状況は……)


 目の前には美女が2人でニコニコとしながら話し合っている。そしてこの空間にはオスが1人。


(何やってもバレないじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!はぁ、はぁ……)


 って、冗談。そんなこと考えている場合じゃない。どういう展開だよっ。


(猫友達と言っていたわけだが、どういう意味かさっぱり分からん。もしかして、美香ちゃんも猫になるのか?いやありえない。いや、ありえる?いやいや、分からん。それと、奈子が美香ちゃんと接点があったなんて……驚きだ。一体、いつ知り合ったんだ?)


 頭の中で次々と疑問が出てくる。


 彼女たちを見ていると似ている部分がある。今、奈子は珍しく猫になっていないのだが、彼女達の違う点を言えば黄色と赤の瞳の色とロングとショートの髪型だ。身長もある程度は同じだし、何だか姉妹みたいだ。


「あ、お兄ちゃん」

「はい」


 美香ちゃんとの会話が一段落ついたのか、奈子は僕に話しかけてくる。


「さっき言ったことなんだけどね、実は美香ちゃんも私と同じように猫になれるの」

「……へ?」


 その言葉を聞いて、一瞬にして頭がぽかんとなる。


(え、今、美香ちゃんも猫になれるってガチで言った?)


「え、本当……?」


 美香ちゃんの方を向いて聞いてみると、美香ちゃんはコクリと頷く。


「うん!そうだよ。私も奈子ちゃんみたいに猫になれるの!」

「おぉ……」


 よく分からない状況に、頭がパニックになる。奈子以外にも猫になれる人が存在するなんて。しかも好きな人だし。


 (美香ちゃんが猫になるなんて、一体どんな姿なんだよ!)


 猫好きの僕にとって、ドキドキと共に好奇心が高まっていく。


 すると……


 ぴょこぴょこ


 2人の頭から猫耳出てくる。


 ぴょこん


 そして、しっぽも生えてきたみたいだ(こっからは見えない)


(お、おぉ……)


 自分の目が大きく開く。瞳孔まで開くっ。


 目の前には猫耳を生やした女の子が2人。美香ちゃんも本当に猫になった。元々の容姿に加えて、ピンクの猫耳とマッチしていてめっちゃかわいい。


 あぁ……理性が保てなくなる。


 なんて考えていないっ!今は目の前の光景にただただ驚きを隠せないだけだ。


ズズズズzzz……


 目の前にある温めたコーヒーを飲んで眼鏡を曇らせる。一旦、現実逃避。


(これは現実なのか?いや、そうじゃないのか?)


 答えは曇り終わった後にある。段々と眼鏡の曇りが薄れていく……


(現実だっ!)


 視界はコーヒーを飲む前とは変わっていなかった……


「にゃん、にゃん」


 目の前で美香ちゃんが小さな手を猫みたいに丸くして、猫みたいな仕草をする。


ズッ


 僕の方を見ながらしてきていて、その姿に僕は鼻血が……


 でそうになったけど耐えたっ……!


 奈子はニコニコとしている。僕からしたらちゃんと笑っているように見えんのがちょい怖い。


「美香にゃんかわいいにゃん!」

「にゃ〜ん」


(ぬおおおおおお)


 萌えだ萌え。かわええええ。


 鼻の奥から赤い液体が出てきそうだ。垂れそう。


 眼の前の光景から逃げ出そうと、もう一度温かいコーヒーを飲む。


ズズズズーーーー


 目の前がコーヒーの湯気で一気に曇っていく。彼女たちが見えなくなっていく。


 その時……


 ブシャーーーーーーーー


(!?!?)


 視界が微かに赤く染まる。


(?…………)


 どうやら、コーヒーのカフェインの力も合わさり、鼻血が大量になったようだ……


 その後の記憶はない。




 次の日、学校で授業が終わって早々。

 

「浩介くん、放課後少し時間ある?」

「え、あ、うん」


 隣の席に座る美香ちゃんからの一言。


(……え?な、な、なぁんですかぁ!?)


 これは、もしかして!?……なんて何にもあるまいか。多分、何か手伝ってほしいとかそういうのだろう。


「それじゃ、一階の非常階段の所に来てくれる?」

「お、おっけー」


 それで、放課後行くことにした。




「浩介くん、お待たせ」

 

 放課後、美香ちゃんと約束した通りに例の非常階段にいた。少しすると美香ちゃんも来た。


 ここは人目のつかない所で、僕と美香ちゃんしかいない。だから何をやってもバレない。なんてことは考えてないが、美香ちゃんは今日もめっちゃかわいい。


 彼女の顔は少し赤いように見える。


「その……浩介くんに伝えたいことがあって……」

「うん」


 美香ちゃんは少し僕の目から視線を逸らして話す。いつも会話している時とは違って違和感を覚える。


 そして……


バタンッ


 壁に押さえつけられた。


(……??……?!?…!?)


 いや、どういうことですか!?!?


 美香ちゃんが胸に飛び込んできた。目の前には美香ちゃんが体を密着させてきていて、僕の胸中にいる。


「へ?」


 状況が分からなすぎて、心臓が一気に高鳴る。ドキドキが止まらなくなる。  

 彼女は目の前で頬を赤く染めていて、いつもより至近距離で美香ちゃんの匂いも凄い。


「その……私、浩介くんのことが好きなの……」

「えぇ!?ええええ????」

 

 (what's!?え?この子今なんて言ったの?えええ?)


 突然告白された。


「いつもよしよししてくれて、優しく甘えさせてくれて好きにならないわけないじゃん」

「どういうこと……?」

「いつも帰り道とかに、黒い猫いなかった……?あれ、私だよ……?」

「えぇ!?」


 どういうことかさっぱり分からない。いつも見る黒猫は完全に猫の姿だ。美香ちゃんは完全に猫の姿にもなれるということなのか……?


「最初に初めて会った時、落ち込んでた私のことを浩介くんは優しくいっぱい撫で撫でしてくれて……それが心地良くて……それが心の支えになって……」

「う、うん……」

「それでね、浩介くんに会いに行くようになっちゃってた……」


(ぬおおおおおおおお。何だこの展開わぁああああああ!!!!)


「だから……その……贅沢だけど……私と付き合って……?いっぱいこれからも私だけに甘えさせてほしい……」

「……」

「奈子ちゃん、浩介くんのこと大好きだよね……この前、お家に行った時、2人を見ていて分かったの……だから、今のうちに浩介くんを私のものにしとかなきゃって思って……」

「……」


 どうすればいいんだ……ドキドキで頭が回らない。


 美香ちゃんに求められている。こんなことはこれからの人生で一生ないだろう。もし美香ちゃんと付き合うことになったら、奈子とはどうなるんだろう。でも美香ちゃんのことが好きな気持ちに嘘はつけない。


 究極の選択……


 美香ちゃんをとるか、奈子をとるか。


 答えは……

後はご想像にお任せ致します。

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