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8話 聖女

「お酒おいひー」


 徐々に呂律が回らなくなり、ついにはその場で寝てしまった。あれ、強いかと思っていたけどそうでもなかった。うーん、どうしよう。彼女が泊まる宿屋はわからないぞ。代金を払い彼女を背負って店を出る。


 そうだ、銃ギルドなら大丈夫かな。聞いた話では四銃琅は全員女性。なら問題ないはず。ギルドに行くと小屋に明かりがついていた。助かった、寄って相談しよう。小屋にはメジュさんとキャロンさんが居た。


「飲みすぎてしまったんですね。確かお酒は飲んだことがなかったとか。PTは初めてで嬉しかったのかな。余程気が合ったのかも、ふふ、もうキランさんには心を開いているんですよ」

「そうなのかな」


 お酒は初めてだったのか。勢いよく飲んでいたからてっきり飲み慣れているのかと思っていた。それはそれと、お酒の飲み過ぎはしっかりと注意しなければと静かなる威圧感を放つメジュさん。怖い。だけど女の子だからね。ある程度きつく言うのは仕方ない。問題が起きてからでは遅い。


「廃屋に寝かせてやってください、後は私が」

「そのエルフ好きにしていいよ! うへへ」

「では廃屋に」

「わかりました」


 廃屋へ行き、長椅子を横に並べ彼女を上に乗せ毛布をかけた。さて、後はメジュさんに任せて俺は街へ行って宿をとろう。宿屋がある地域へ。適当な宿に泊まり一夜を明かした。


 朝起きて、約束どおり冒険者ギルドへ。しばらく待ったが、シアは来ない。お酒の影響かな。銃ギルドへ向かう。小屋ではメジュさんとルフラさんが話をしていた。シアのことを聞くと彼女はまだ眠っているのだそうだ。仕方がないな。


「調整はうまくいったか」

「はい、これで戦えそうです」

「それはよかった。ところで悪いが仕事を頼みたいのだが」


 ルフラさんから仕事の話が。世話になってるし即承諾。聞いたところ、この街の聖女ギルドからの依頼のようだった。しかもその長、ドネという人。


 聖女ギルドは別名聖女のねぐらと呼ばれ、一部の者達から恐れられているのだとか。どういうことかと聞くと、行けばわかるとの返答が。聖女は回復と補助攻撃をするクラス。素手の戦い方のため武器を持つクラスには攻撃力は基本劣る。回復が主力。


「でも俺なんかでいいんですか」

「それなら大丈夫だ。我ら五銃琅の一人が任務にあたるのだからな」

「あれ? 四銃琅でしたよね。ああ、他国から有名な銃使いの人が来たのかな。その人と一緒にってことですか」


 ルフラさんは手を前に出し指差す。むっ、俺が気が付かないうちに後ろに立っていたのか!? 後ろを振り返るが誰もいない。もしや超高速で動き回っている!?


「お前がそうだ、キラン」

「俺かよ!」


 どんだけ人材がいないの! ああ、でも銃使いは俺入れて5人だっけ。てかなんで自信満々のドヤ顔なの!? 俺は入ったばかりなのに! メジュさんは俺の心の声が聞こえたのか、まあまあキランさんはギルドの仕事はやらなくていいですからとなだめてくれた。


 それから二つ名も用意しておいたぞとルフラさん。黒狼コクロウのキラン、か。……意外といいかも。へへ、嫌いじゃない。二つ名は髪の色で決めているそう。ルフラさんは金髪だから金琅、キャロンさんは銀髪で銀狼。他2人は赤狼と空狼。仲間になったからこれからはくだけた話し方、名前呼びでいいからなと。


「わかりま、わかった。行ってくる」

「依頼は明日だ。そうだな、そこそこ距離があるから今から向かうといい。観光ついでに聖女ギルド付近を見て回っておけ。明日道に迷って遅れましたではまずいからな。それとこれは地図と依頼の金だ」


 俺の前にお金を置く。結構な額が入っているな。これならしばらく食いつないでいけそうだ。地図を見る。ここから距離がある。聖女ギルドまで行く馬車が出ている。そうだな、時間に余裕があるから歩いて行こう。シアのことは任せて向かうとしよう。


 しばらく歩くと白を基調とした目立つ服装をしている女性を見かける。聖女だな。ギルドによっては街の自警団をしているところもある。この街の聖女ギルドは世界でも有数の聖女育成機関、聖女達が多数いる。彼女たちを見たってことは聖女ギルドの地区に入ったわけか。


 直接向かわず街並みの風景を楽しみながら見て回り、聖女ギルドに到着。今日は遠くから見るだけ、道の確認だけ。腹時計が反応をする。そろそろお昼だな。屋台で昼食を買って途中で見つけた広場で食事をする。


 食事を終え、休んでいると、広場入り口から怒鳴りあう声が聞こえてきた。人々が見守る中、血の気の多そうな男2人が言い争っている。すぐにでも喧嘩が始まりそうな雰囲気。


「ドネ様だ! 聖女様達がこちらに向かっているぞ!」

「なんだって!」

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