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6話 エルフ

 ……強すぎる。これでは討伐の証拠の耳すら粉微塵になってしまう。ちょっとずらして撃ってみた、それでも粉微塵。も少しずらして撃った。


「ギャフッ」


 今度は当たらず逆に反撃を食らい噛みつかれた。


「あいたた、コノッ!」


 蹴り飛ばし銃で撃つ。レッドアイは粉微塵に。噛まれたところから血が。そうだ、攻撃力は高いけどHPや防御力は高いわけではない。そこらにいる低レベルの冒険者と変わらない。こんなことを続けていたらそのうち死んでしまう。ここは無理せず諦めよう。はぁ、まさか強すぎて依頼が達成できなくなるとは、流石に想定外だ。ポーションを飲むと傷が治った。すごいアイテムだな。患部にかけても傷が治るらしい。


 ギルドへ戻って、依頼破棄を伝えた。


「ああ、駄目でしたか。では手続きをしておきます」


 倒せず依頼を失敗したと思われていそうだ。実際は火力が高すぎて依頼達成不可なんだけど。しかしここで説明するとややこしくなる、真実は言わないほうがいいな。


 銃ギルドへ。丁度3人が廃墟の部屋にいた。先程の出来事を説明する。


「火力が高すぎて」


 彼女達は顔を見合わせた。頭でも打ちましたか? と心配そうにするメジュさん。まあその反応が普通だろう。見せたほうが早いだろうと外に連れ出し壊れた石像に向かって撃った。石像は粉々に。


「これは!?」


 ようやく信じてくれたようだ。粉々になった石像を見ながら3人が話し合っている。とりあえず部屋で待っていてくれと言われ先に戻る俺。少しして彼女たちが戻ってきた。


「キラン、その力は最初のうちは秘密にしておこう。レアスキルのときも言ったが強力な力を持っている場合悪用されかねない。特に、攻撃力だけのキランでは」

「たしかに」

「本当は一緒に行動したいが我々がそばにいると逆に怪しまれる可能性もある。なので1人で行動してくれ」


 キャロンさんは弾丸をつまみ俺に見せながら、店売り最弱の弾丸よりも威力の低い弾丸を作れるはずだと話をする。武器屋ではなく、弾を製造する鍛冶屋へ行って作ってもらってこいとのこと。店売りではこれ以上弱い弾はないようだ。


 地図を広げる。メジュさんがペン先で鍛冶屋の場所を指す、ここか。早速鍛冶屋へと向かった。受付から弾丸を作っている職人さんを紹介してもらった。


「威力の低い弾丸が欲しい? 何故だね」

「れ、練習用に使いたくて」

「はは、弱いと言われるけど結構威力あるからね。いいだろう作ろう」


 誤魔化せたようだ。嘘言ってごめんなさい! 魔法薬の量を調整するだけだから簡単だと鍛冶屋さんが説明。そして威力が違う弾丸を数種作ってもらった。代金は特注だけどむしろ店売り最弱の弾より安くなった。魔法薬が高いんだな。その足で冒険者ギルドへ。同じ依頼を受ける。依頼紙を持って受付へ。


「大丈夫ですか? 先程失敗していますが」


 当然そう言われるわな。もちろん対策はしてきた、今度は大丈夫! なはず。やれますと言おうとした瞬間。


「あーもう、見てられない。私が手伝ってあげる」


 後ろから女の子の声が聞こえた。振り返るとそこには剣を持ったエルフの女の子が。手伝ってくれるのは嬉しいけど今はよろしくない。威力の調整を見られたくないからね。善意を断るのは辛いけどここは心を鬼にして。


「私のカードで手続きをして」

「それなら問題ないですね、わかりました」


 勝手に話が進んでいる! なんて押しの強い子だ。しかし断らねば。


「わる」

「痛っ、このガキが!」

「んだよオッサン!」


 隣の男たちが喧嘩を始めた。若い男が中年冒険者の頭をひっぱたいたのかな? いやそんなことより声を妨げられてしまった。あっという間に手続きが終わり、女の子がカードを受け取る。さ、行きましょと腕を引っ張られてギルドの外へ。


 あ、あれ。一緒にいくことになってしまった。まいったな。まてよ、依頼は彼女のカードで手続きをした。それなら途中で抜け出せばいいか。後日はぐれてしまったとか謝ればいい。実際来たばかりで土地勘がないから説得力はある。とりあえずお礼だけは言っておかないと。


「ありがとう、俺はキラン、銃使いだ」

「私はシア。魔法剣士、よろしくね」


 挨拶は済ませた。隙を見て逃げ出そう。前方に人混みが見えてきた。紛れて離れるとしよう。


「先日、銃使いの人が怪我をしてやめちゃってね。なんだか同じ匂いがして」

「詳しいんだな」

「四銃琅の人たちとは知り合いだから」


 昔、エルフの村が盗賊たちに襲われたとき、彼女達が撃退を手伝ってくれたようだ。ということは関係者みたいなものか。となると話が変わってくる。本当は喉から手が出るほど仲間が欲しい。色々試したいからなおさら。迷子作戦はやめて、一旦戻って相談してみるか。

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