19話 天職
「しばらく他の仕事もしてみない?」
テーブルに付き、これからどうしようかと相談しているとシアが提案。確かに魔物の討伐ばかりやっていて、他の仕事をあまりにも知らなすぎる。社会勉強としてやってみるのはありだな。とりあえず今日は休暇に。
翌日冒険者ギルドへ。掲示板の前で仕事を探す。こうしてみるとたくさんの種類がある。どれをやろうかな。おや、これは。黄色い星のマークが入った依頼紙が複数貼ってある。これは急募、緊急を意味する。どれどれ、どんな内容だ。
『ただ立ってるだけ! 染料絞りの重り役急募』
ディーナの天職がいきなり見つかるとは。見たところ人気がない。緊急にも関わらず2日すでに出っぱなし。原因は報酬の安さか。これでは依頼を受けてもらえないだろう。
我々は今回お金が目的ではない。状況によってはディーナには出来ない場合があるけど、困ってそうだしやってみようかな。ディーナのカードで依頼を受けると現地へ移動する。独特の匂いがする染色工場に到着。
「あ、来てくれたんだね。4人か、まだまだ足りないな」
依頼主の男性と従業員が力なく椅子に座っていた。予想通り人気がなかった、どころか我々だけだった。
話を聞く。重りを吊り上げ、回転させて移動し乗せる装置が壊れてしまい、絞り出しができなくなってしまった。大口の依頼を受けていて、もし今回遅れてしまうとここが潰れてしまう。昔は大人数で上に乗り絞り出していた。人数さえ集まれば染料が絞れ依頼が達成できる。
見ると、クレーンのような装置の竿部分が折れ曲がっている。最近買い替えたが、3日と保たず潰れてしまったそうだ。安かったからこれを選んだら大変なことになってしまった。業者は新しく出来たところで、文句を言いに行こうとしたところ、店には誰もおらず夜逃げ。いくつか仕事を受けていたようでここ以外も被害を受けている。
愚痴が止まらない依頼主をなだめながら仕事の話をする。
「おお、そうだったな。しかしこの人数では仕事にならないよ」
4人どころか1人か2人の予定と話すと、怪訝そうな顔をする依頼主。ディーナに重量があることを見せると納得してもらえた。
「こっちに乗ってみて」
シーソー状の重さを量る装置が置いてあった。片方に金属の塊、もう一方は置く場所がある。体育座りをしたディーナを持ち上げ乗せる。その姿がちょっとかわいい。重りがわずかに浮く。
「おお、これなら」
ディーナ側に重りを乗せ調整、見事均一に。仕事ができるよと喜ぶ依頼主。まてよ? ということはディーナと重りの重量はほぼ同じということか。話を聞き、ディーナの大体の重さがわかる。頑丈な馬車、複数の馬を使いなんとかここまで運んだよと苦労話をする依頼人。馬でも行けるけど常時は無理そうか。
思いがけず欲しかった情報が手に入ったな。
染色場へ移動。上部にある金属の板に重りを乗せると下部から絞り出された染料が流れ出す仕組み。絞り出しの準備が整う。重りを乗せる場所にディーナが乗る。徐々に下がりながら染料が流れ出している。流れがなくなったところで終了。
壁の一部を取り外すと階段が現れる。昔は人が乗っていたときの名残。準備には時間がかかるからゆっくり階段を登っても問題はなさそうだ。乗せ役引っ張り出し役が欲しいかなと思っていたがこれならディーナ1人でやれそうだ。
「ありがとうよ、もちろんお金は本来の人数分出すから!」
これは天職、儲けたな。ここをディーナに任せ、俺たちは他の仕事をすることに。再び掲示板の前へ。
「すみません」
依頼を眺めていると、ギルドの職員が掲示板に緊急の依頼を貼っていった。食べ物屋台の簡単な調理補助。
「あ、ここ美味しいんだよね。なにかあったのかな」
シアは料理が得意でお店が気になるということでこの依頼を受けることに。指示された場所へ移動。屋台の中にいる依頼主の女性と話をする。どうやら旦那さんが病気でしばらく調理場に立てないのだとか。仕事の打ち合わせを。簡単な仕事が多いから問題はなさそうだ。これはできるかいと指示されたものを調理するシア。
「へぇ、筋が良いね。こっちもやってみて」
次々とお題を出され見事合格していくシア。これならいつもどおり出店できそうだと喜ぶ依頼主。シアと別れまたギルドへ戻り仕事を探す。
『力仕事、能力によってはお給金が増えます』
レミー向けの仕事だな。俺も一応力自慢ではある、一緒にこの依頼を受けよう。依頼を受け現地へ。強そうな人達が多いな。皆順番待ちをしている。
「力仕事依頼の方々、こちらの列にお並びください。ハンマーを使い計測器を叩くことで皆様の力を測定いたします」




