16話 真の力
途中、レアスキルだから周りに人がいるときはあまり使わない方がいいんじゃとシアが指摘する。確かによくないか。楽しかったからつい使いすぎた。たまになら普通のスライディングと変わらないからいいだろうけど。
その後狩りを続け大漁にて終了。カニをギルドで見せる。倒した分の報酬を手に入れる。カニの討伐証拠品はハサミだが、商品価値があるから目視して済となり、切り離して提出はしなくてもいい。またそのままカニを持ってきて依頼報酬を手に入れようとする輩がいるため、識別用の印が刻まれる。専門ギルドで肉、内蔵を全て精算せず、残りは銃ギルドへ持ち帰る。
「皆と食べようと思って」
「ハードシザーズですね、美味しいんですよ」
キャロンとルフラも喜んでいる。本日のお品書きは茹で蟹とカニみその甲羅焼き。料理はメジュとシアに任せ、俺は酒の買い出しに。帰ってくると良い匂いが立ち込めていた。茹で上がりを待って、殻をハサミを使いながら剥がし取り身を食べる。こいつはうまい。味はカニ、食感はかなりの弾力がある。カニよりも力があるからか。
甲羅を剥がし、その中に内蔵をかき入れ、網の上で焼く。出来上がったカニみそをそのままいただく。ホロ苦で濃厚、おこげが香ばしい。うまい、お酒が進む。つまみにぴったりだ。チーズやパンにつけて食べても美味しい。シアが茹でたパスタにかにみそを絡めている。これも美味い!
皆美味しそうに食べて飲んでいる。残しておいたカニがあっという間になくなった。明日からしばらく狩るんだよねと俺に聞いてくるキャロン。そうだと返事をするとお金を取り出し俺に渡す。お金出すからこちらにもっと回してくれとのこと。皆と食べるのは楽しいし承諾した。
スライディングを披露。それがレアスキルなんだとキャロンが言う。
(シアのご機嫌がちょっと悪かった理由はコレか。気になるあの子に声をかけたらズシャーズシャー音出しながらの滑り込み連発で近づかれたら、なんて考えるとね~)
翌日からパントさん達も参加。今日は鍋パーティ。野菜にキノコ、様々な具材が入った鍋だ。たくさん用意したつもりだったが、今日もカニが早い段階で尽きる。パントさんがお金を取り出し、明日からもっと持ってきてくれとお願いされた。次の日にはドネさんと数人の聖女が来ていた。カニが足りず、以下略。
狩りは順調、全員レベルが上がり5になる。ディーナがスキル「体アップ」を習得。更に硬くなった。
楽しい日々が続く。そしてオークションの日。俺とシアはおめかしをして会場へ。パントさんとお付きの人と合流、4人で受付へ。
「会員証をお見せください。はい、パントさんですね。では入場を」
入場には会員証が必要。1人持っていれば数人入ることが出来る。オークション会場に入る。パントさんが相場の確認をする。しばらく待つと、オークションが始まった。買い手が入札価格を言い合っていく方式だな。そしてお目当ての力法の腕輪が会場に運ばれてきた。
難なく競り落とすパントさん。今回は相場より安かった。使い道が限られるから人気がないのだとか。力に振ってしまった魔法使いが欲しがったりするくらいだそうだ。とにかく手に入った、良かった。早速身に着けてみる。力が魔力に置き換わったと喜ぶレミー。パントさんも大喜び。成功だ。これならある程度聖女として立ち回れそうだ。
帰ると聖女の人がギルドに来ていた。ドネさんから伝言を預かってきたと話を。夜に腕試しをしませんかとのこと。ドネさん強そうだったからな。自分たちの力がどの程度か知っておきたい。俺の場合は試せないかもしれないが。お願いしますと聖女に伝える。彼女たちが帰ったのを見計らって、キャロンが話をする。
「先に言っておくよ。ドネさんは吸精人族。吸血鬼みたいなものかな。夜に真の力を発揮するんだ」
食料は人間から発せられる精気。聖女たちが暮らすギルドは精気が満ちており、吸精行動を取らなくても自然とお腹が満たされるのだとか。このことは聖女でも一部の者しか知らない。長になって精を吸って暮らしていくのは断っていたのだが、聖女たちの熱意に押されその座に収まったのだそう。
パントさんも知っていたようだ。パントさんにも俺の力の件は教えても良さそうかな。説明をするとそういうことかと納得した。楽しみは夜までとっておくとしようと、街の宿屋へ。
夜になりドネさんとパントさんがそれぞれ1人で銃ギルドへ。戦闘ができる場所へ移動。ドネさんが色付きメガネを外す。昼間は光避け用に使っているとのこと。
「吸精聖女ドネ、準備はできました、いつでもどうぞ」
彼女から周りの景色が歪むほどの魔力が溢れ出す。キャロンは世界でも10指に入る強さがあるのではと。最強クラスってことか。まずはレミー。本気で来なさいとドネさん。接近しブレッシングヘブン。魔力0のときよりも明らかに強そうだったが、ドネさんは防御をせずそのまま食らう。ぴくりともしない。




