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14話 父

 昼食後狩りへ。今日も問題なく狩りが終わる。狩りからの帰り道、いきなりレミーに魔物が襲いかかったが難なく迎撃。急なことで加減ができなかったのか、顔や衣服に血肉が飛び散った。まあ、仕方がない、よくあることだ。と、前方から馬車が走ってくる音がした。俺達の近くに止まる馬車。御者が俺に話しかけてきた。


「もしやあなたはキラン様ですか」

「はいそうですが」


 そう答えると、後ろの客室へ行く御者。客室から男が2人出てきた。


「レミー様と会えますな」

「私のかわいいレミーはどこだね!」


 1人は貴族風の男、もう1人はお付きの人か。会話から察するにレミーと親しい人物で彼女に会いに来……、今はまずい!!


「な、なんだ」


 地面の振動に驚く男性。地響きを立てながら箱を背に、こちらによってくるレミー、その顔、体には魔物の血肉が張り付いていた。


「あ、お父さん」


 泡を吹きながら倒れる男性。レミーのお父さんだったのか。


「旦那様!」


 急いで馬車を走らせ街へ向かっていく。棺桶のようなものを背負って血肉がベッタリと、この姿を見たら世のお父さんは確かに失神するかも。しかも笑顔で呼ばれたりしたら。


 街のどこへ行ったかはわからない。とりあえず銃ギルドで待機しよう。それにしてもレミーは良いところのお嬢様だったんだな。巨人族はその力から、よほどの怠け者でもない限り財を成すという。力の必要な作業を軽々とこなしてしまうからだそう。この世界は機械がないから力持ちは重宝するだろうな。現代でも肉体労働した時ものすごい力があれば時間短縮できるのにと思ったことはあったな。レミーのお父さんもそうやってお金を稼ぎ豪邸に住まうほどの人物に。


 荷があるので依頼の精算だけはしてしまおう。冒険者ギルドに寄り精算。専用ギルドにはいかず今日は全部冒険者ギルドで済ませる。


 ギルドには先程の馬車が停められていた。中にはお付きの人とレミーのお父さんがいた。こちらの到着に気づき小屋から出てくるお父さん。


「大変お騒がせをした、レミーの父、パントだ」

「いえいえ、それよりも大丈夫ですか?」


 街へ向かう途中に意識が戻ったそうだ。驚いて気絶しただけで特に問題はないと。良かった。小屋には皆が入れそうにないから、廃屋の長椅子を持ってきて外で話をすることに。俺たちと会う前に先に銃ギルドへ来て、待ちきれなくて迎えに来たそうだ。箱の説明をしようと思ったんだけど間に合わなかったとメジュ。色々重なってしまったねと笑うパントさん。奥さんを早くに亡くし、余計に娘を大切に思うようになったとか。


「どうかね? 娘はPTの役に立っているかな。嘘偽りなく話してくれ」

「それはもう、彼女が居なくては成り立たないくらいで」


 聖女ではあるがその力を使えないから心配していたようだ。俺が説明すると喜んでレミーを見てうなずく。


「いいぞ、人の役に立つのは素晴らしいことだ」


 キャロンが銃ギルドへ。話に入ってきた。


「良い情報がありますよ。力を魔力に変換する品物が手に入るかもしれません。そこで相談なんですが」

「なんと!」


 力法の腕輪という品がオークションに出品されるそうだ。その能力は力のステータスを魔力のステータスに置き換える。だが、完全ではなく変換後3分の1になってしまう。


「それでも良い、金はいくらでも出す!」


 娘のためならばと張り切るパントさん。過去の取引額を提示するキャロン。俺にとっては腰を抜かしそうなほど大金だが、パントさんには余裕で出せる額なようだ。意外と知られている品物のようで、古代文明期に作られた物なのだとか。数もそこそこありたまに取引されている。冒険者ギルドの図書館でもその存在を確認できるほど有名。


 完全に変換できる物はあるのかと聞くとそれは聞いたことはないと答えるキャロン。知っている限り情報ではステータス変換ができる品物はこれだけ。ただ力法の腕輪は変換できるのだからもしかしたら存在するかもしれない。オークションは10日後。


「キランも行ってみる? ああ、でもその服だとね」


 服がとても汚れている。オークションでは大金が動く。自然と金持ち達が集まるようになったとか。身だしなみを整えて行かなければ門前払い。


「よし、そのくらいは私が出そう。援助するのはレミーの自立も考えるとあまりやりたくないが、今回は仕事の依頼のようなものだから特別に。レミーの服は家を出る前に買ったやつがあるか」


 軽く拍手をしながら褒めちぎるキャロン。ディーナは重量の問題とレミーは何度も行ったことがあるとのことでオークションへは俺とシアで行くことに。あると便利だからと今回行かないディーナの分も買ってくれることに。太っ腹ぁ!


 明日服屋へ行くことに。行きつけのお店のようだ。重量の関係で馬車は使えないから現地集合。宿屋からそこまで距離はない。朝ゆっくり出ても間に合いそうだ。


 一夜明け服屋へ出発。男性用と女性用の服を購入。3日後には寸法を直し終わっているので取りに来てくれとのこと。ではまたオークションでとパントさんと別れる。

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