10話 巨人族
俺の力を知っているわけか。部屋の中には俺たち2人だけ、わざわざ情報がもれないよう気を使ってくれたわけだ。2人で部屋を移動することに。隣には一人の聖女が居た。
「相談したいのは彼女のことです」
「レミーです、よろしくお願いします」
巨人族の女の子、聖女レベル1。背は通常の人間と同じ、しかし力は種族特性でとんでもなくあり、一応力自慢の俺よりもあるとのこと。ただしその強力すぎる力の代償として、力以外を上げられないという制約がある。
なるほど、これは聖女としては致命的な弱点だ。聖女は魔力依存のクラス。回復はもちろん、攻撃も魔力をまとって攻撃する。力は一切関係ない。
「この子のお父さんとは知り合いで、巨人族からクラス持ちが出たぞと喜びながら託されたわけですが」
心中お察しします。巨人族は強力な力を持っているせいかクラスがなかなかつかないそうだ。そして人数も少ない。現在はクラス持ちは彼女1人だけ。
「私は世界に疎いので、解決策をそちらに相談、というわけです。それからPTを組ませてあげたいなと思っていまして、ぜひキランさんと一緒に」
解決策はルフラ達に丸投げするとして、そうか、聖女としての力が使えないから彼女はPTを組めないのか。で、銃使いだけどなんとかなりそうな俺なら、更に魔法剣士がPTに加わっている、と。
「わかりました、PTを組みましょう」
「ありがとうございます」
お辞儀をするレミー。それにしてもパッと見は怪力には見えないな。まあ俺も体格の割には力があるわけだけど。ドネさんが聖女に指示をする。レミーの前にお金と金属でできた戦棍が置かれた。レミーはとてつもない力を有しているが、素手で殴ると拳のほうが壊れてしまう。そのための武器のようだ。
「では彼女をよろしくお願いします」
挨拶をして聖女ギルドから出る。武器はあるので彼女用の防具を買うことにする。防具屋には様々な聖女用戦闘服が置いてあった。どれも胸元が豪快に開いている。聖女のスキルによって熱せられた心臓を冷やすためらしい。移動時には上着を羽織るのが一般的。そちらは何でもいいようだ。聖女用上着は目立つから冒険者の場合は他の上着にする人がおおい。上着を買い、道具屋でポーションを購入して銃ギルドへと向かう。
「お、おかえり」
「おかえり~」
受付の小屋にキャロンとシアが居た。レミーの件は現在調査中、心配しなくても良い、そちらは自由にやってくれとのこと。シアはメジュからこってり絞られたようだ。今後気をつけますと俺に言う。それにしても様子がおかしい、うつむき加減で思い迷う様子を見せる。余程怒られたのかな?
「もしできちゃったら責任取ってよ」
……キャロンか。楽しそうな顔をしている。喜びすぎてのどちんこまで見えてる。彼女の顔を見てため息をつくと、やり取りを見て察したシアがキャロンに噛みついた。
「朝まで男女の声が聞こえてたって!」
「そうなってもおかしくなかったんだよ~、気をつけてね」
「ぐっ、それを言われると」
満面の笑みでキャロンは小屋から出ていった。やれやれ自由な人だ。シアは深呼吸をして呼吸を整えている。
「それで彼女は?」
レミーを紹介、経緯を説明する。お互い挨拶をし、事情はわかったとレミーにPT石を渡す。お二人はそういう関係でと聞かれ即否定するシア。昨夜飲みすぎて酔いつぶれた話をした。理解してくれたようだ。
そろそろお昼、ご飯を食べに行こう。店に入り料理を注文。話をしながら昼食、2人はすぐに意気投合、仲良くなった。昼食後は彼女の力を見るためにいつものレッドアイ狩りをする。
俺が魔物を釣ってきて彼女に殴らせる。魔物をおびき出し、PTに向かって逃げる。レミーの前を通り魔物を彼女の前に誘導した。よし、今だ!
「えい!」
可愛らしい声とは裏腹に、そのあまりの力に金属の戦棍は、形を歪め轟音を発し空気を爆発させながらながら敵に向かって突き進む。命中したレッドアイは爆散、ひき肉に。血肉が飛び散り俺にかかった。
「大丈夫ですか!?」
「問題ないよ」
凄まじい攻撃力だ。しかしこれでは耳や肉が取れない。ひき肉を剥ぎ取りながら考える。加減できるようにしようかな。数匹狩るうちにレミーは加減を覚えた。それにしてもなかなかレベルが上がらないな。シアもまだレベル2のようだ。敵が弱いのもあるけどPTで分割してるから更に減っているんだったな。よくあるゲームよりはレベルが上がり辛そうだ。
今回はお試しなので早めに切り上げた。皆と晩御飯でもと思ったけどまだ時間がはやいな。
「専門ギルドでも見に行く?」
専門ギルドは特定の品物を専門的に扱うギルド。例えば食肉なら「食品ギルド」魔物の皮は「皮ギルド」。専門だけあって指定が厳しい。そのかわり貰える報酬は多くなる。レッドアイなら肉と皮が取れる。報酬が増えるなら行かない手はないな、専門ギルドへ向かうとしよう。




