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隣の席、煽る!(1)

 ブラウン色でウェーブがかったミディアムヘアの、見た目ゆるふわ系の天谷先生。職員室にある彼女の机の上には、好物である豚骨カップラーメンが大量に積まれていた。……なんかくさそう。

 が、今はそんなことは重要ではない。先生の前で座る俺ら──いいや僕らは、反省のあまり目から大粒の涙を流しているのだ。


 「ごめぇ……うっ……なさっ……ヒック……」

 「わたしそんなつもりじゃ……無かったんです、先生……くすんっ」

 「えーんえーん、怒らないでくれだべせんせー!」


 僕たちは誠心誠意、謝罪の弁を述べる。そうすればきっと、天谷先生も許してくれるはずだから──。

 

 「金村君、桜庭さん、鏑木くん……





 まだ先生何も言ってないし、さっき目薬さしてたの見え見えだったからその手は通用しないよ?」


 ……なにっ!?

 

 「ばっか、だから言ったじゃねえかよ彼方!お前の作戦無理あるって!」

 「さっきは『天才じゃねーか!』って褒めてたろ清花!!」

 「せんせー!!オラだけは!オラだけは助けて!!」

 「はいはい、騒がないの。まず、桜庭さんと鏑木くん。二人は明日からきちんとした制服、鞄で来ること。わかった?」

 「気をつけまっす先生!」

 「オラ、二度とカゴ背負わないべ!」

 「で、金村くん」

 「ひいっ」

 「怯えないで……怖くないから……」

 「怖くないって言う人が一番怖いんですぅ!」

 「ともかく、君は昨日に続いて二日連続でやらかしましたね」

 「ハイ……」

 「ま、失敗は誰にでもあるし、そこまで怒る気も無いんだけどさ。流石に学校に筆記用具も教科書無いはまずいよ〜」

 「ごめんなさい……」

 「な・の・で!今日は隣の席の子に教科書見せてもらってね!筆記用具は私が貸します。放課後に返すこと!」

 「はい……」

 「ちなみにオラは見せんぞ」

 「なぜだ鏑木!?」

 「オラに嘘のオシャレを教えた罰だべ」

 「反論できねぇ……」

 「アタシは席遠いしな〜、潔く隣の女子に見せてもらいな」

 「そうすっきゃねえかー」

 「じゃ、そうして。それと、明日も何かやらかしたら……」

 「や、やらかしたら……?」

 「滅茶苦茶クサイ豚骨ラーメンニンニクマシマシで食べた後に私が説教します。それも間近で」

 「それはキツイよぉぉ!!」

 「じゃあ忘れ物も奇行もしないこと!」

 「はぁい……」

 「それでは三人とも、教室に行ってよし」

 「すみませんでしたべ」

 「これからは気をつけます」

 「豚骨ラーメンニンニクマシマシクサイイキの刑から逃れられるよう頑張ります」

 「誰の息がクサイだコラァ!?」

 「天谷先生が言ったんすよコレ!?」


 そうして俺らは1-Cに戻った。昨日と同じく、視線が痛い。もうなんかやべーの三人衆として認知されてそう。


 「やべーの三人衆だ……」


 おい、誰だ言ったの。聞こえてるぞ。そんなわけないだろ!


 「お?オラたち人気者になったべ!」

 「ちげーぞ俊太。アタシらの迫力に恐れ慄いてるんだよ」

 

 ごめん、そんなわけあったわ。でも俺はやばくないから!!こんなこと考えながら席に座る。

 ……あ、そーだ。隣の女子に教科書見せてもらえるか聞かなきゃ。当然だけど初日に見た、金髪ポニテの子。その子はすでに机についていた。

 めんどくさいけど、カバン忘れた俺が悪いもんな。とりあえず聞くだけ聞こう。


 「えっと、キミ。突然で悪いんだけどさ、カバン丸ごと忘れて、教科書も無くって……本当に申し訳ないんだけど、今日の授業中机をくっつけて、教科書見せてもらっても構わないかな?」


 隣のポニテ女子にこう頼むと、彼女はこう返した。


 「ざぁこ♡教科書どころかカバンごと忘れる♡初日もやらかしてたのに♡頭の中身スカスカ♡」


 えぇ……?何だコイツぅ〜〜〜〜?

 

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