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クラスメイト、濃い!(3)

 ──次の日、登校時間。


 昨日は酷い目にあった!でも、入学初日とは思えないくらいアイツらと馴染んじゃったな。

 と、それはそれとして。今日こそは何もやらかさんように気をつけ、それでいて秀才だと見せなければ。髪の毛は七三分けセットではなく、普段通りのボサっ毛。カゴも持っていない、六法全書も置いてきた。伊達メガネは一応かけてる。

 おかげで体が軽い。何で昨日あんな重いの持ってたんだろ……。


 「よー、おはようだべ金村〜」

 

 お、鏑木の声がする。アイツ、今日は変なことしてねえだろうな?


 「よぉかぶら、ぎ……」


 にこやかに右手を上げてる鏑木。ヤツの背には、見覚えのあるものがあった。

 カゴだ!アイツ昨日の俺みたいにカゴ背負ってる!!……なんで?


 「お前、それ……」

 「ん、あぁコレか?お前が昨日言ってたからよー、オラもやってみようと思って」

 「あっ……」

 「いやぁ、ウチにもあるもんでよかったべ!さすがにあの分厚い本は用意できなかったけども」


 『オシャレで流行ってる』──確かに昨日、俺がこいつに言った言葉だ……。けど本気にするとは思わないじゃん!!


 「?しかめっ面でどうしたんだべ、金村?」

 「い、いやぁ、凄く似合ってるなと思って」

 「お、そうか!?嬉しいなぁ!」


 ウソハイッテナイ。そしてごめんな鏑木……お前は恐らく、職員室に向かうことになる。

 

 こうして二人で学校に向かう。もちろん、周りの視線を二人占めしながら。


 「みんな見てるな!やっぱり最先端のふぁっしょん?は違うべ!」

 「ソダネー……」


 すると、後ろから大爆笑が聞こえてきた。


 「あははははッひひひッ!!朝からっ、笑わすな二人ともっ!」

 

 この声は清花だな?


 「おはよう、清花……んんん?」


 ええ……?なんでこっちは"夜露死苦"とか"喧嘩上等"とか"焼肉定食"とか"野菜炒め定食"とかって派手な刺繍された白の特攻服着てんの?てか後ろ二つはもう定食屋のメニューになってるよ??


 「よお!気合い入ってんな清花!」

 「だろ俊太!?もう清楚でいくのは昨日で諦めた!これからは無理せず行こうと思ってさ!」

 「ソウデスカ……」

 「何だ元気ねーな彼方ァ!?昨日アタシにフラれたのがそんなにショックだったか?」

 「そうじゃないから掘り返すな大声でも言うな!」

 「あらそう?ところでこのカゴは、ど、ど、ど、どうしてww」

 「コレが流行のオシャレだって、金村に教えてもらったんだべ!」

 「ほーーーーーーーん?」

 

 そう言うと、清花は俺の方をチラッと見てニンマリと笑った。


 「なーるーほーどー?」

 「本当に申し訳ないと思っている(小声)」

 「で、どうだべ!?かっこいいか清花!?」

 「……ニアッテルヨ」

 「やっぱそっかー!」

 「あそこまで喜んでると真実が伝えづらいな……(小声)」

 「分かってくれるか清花……」

 「センコーが後で言ってくれるだろうしそれまでは楽しませといてやろうぜ……」

 「そうだな……」


 口が裂けても言えない。「清花も恐らく職員室行きだよ」なんて。


 けれども、審判の時は無情にも訪れる……もう校門前なのだ。昨日と同じく、天宮先生が生徒達に挨拶をしている。

 すまない二人とも……!俺だけ無事教室に行けてしまうことを許してくれッ……!自分の模範的生活態度が憎いッ……!


 「んじゃ、挨拶するべ!」

 「そうだな!せっかくだから三人同時にしようぜ!」

 「……ああ!」


 じゃあな、しばしの別れだ二人とも……!俺は目に浮かんでくる涙を堪えて、大きく息を吸った!


 「せーのっ」


 「「「おはようございまーす」」」


 俺らの声に先生が反応してこっちを向いた。

 と思ったら固まった。あまりにも衝撃が強い光景だよな。ごめんな、先生……存分にしょっぴいてくれ。二人を。


 「……元気がいいね三人とも」

 「うっす!」

 「気合い入ってるんで!」


 まったく問題児どもめ。気合い入りすぎなんじゃ。天宮先生呆然としてるよ。よし、ここは先生の味方になろう。点数稼ぎをしていくぜぇ!


 「先生……言いたいことはわかりますよ。嘆かわしい限りですよね」

 「そっかキミは分かっているんだね……じゃあ、職員室行こっか」


 あばよお前ら!職員室で仲良くな!


 「三人全員で」


 ……えっ。


 「せ、先生!待ってください!二人はわかります!けど何で俺まで!」

 「いや、だって金村君。キミ……学校のカバンどうしたの」

 「…………………………………………あっ」


 そういやあ妙に体軽いなって思ってたけど……。ってことはもしかして……。俺はサッと、鏑木と清花の方を見た。

 

 「……」

 「……」


 アイツら!!視線外しやがった!!知ってたなこのことぉ!?


 「金村くん分かってやっているらしいし、昨日のも合わせてキミは一度きっちり説教しないとダメみたいだね……」

 「いやちがうんですこれはそのあのそのあれがこうで」

 「大丈夫、なるべく痛くしないから、さ……」

 「えっ、何痛くしないって!?ちょっ、やめ……助けて二人ともぉ!!!!イヤァァァァァァァァァァァ!!」

 「……アイツも大変だべな……」

 「……しょうがないよ、筋金入りのアホだもん……」



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