先生が、やべえ!(6)
(キーンコーンカーンコーン、ラスト〜がん〜ばっ〜て〜♪)
「みんなー!初日お疲れ様!今日の最後の科目は社会だよ〜……えっなんでみんなアフロなの?体育館爆発したの??」
教室にズラッと並ぶアフロを見て、天谷先生が目を丸くする。そう、さっきの時間で俺らは、鬼ごっこ開始1分で亞風呂のアフロに捕まって、みなアフロにされてしまったのだ……。
「あ、外すの忘れてたべ」
「案外付け心地いいもんだなアフロ」
「たしかに。似合ってたぞ清花」
「うるへー」
ま、ヅラなんですけどね。
「気に入ったらぜひ地毛で試してみてください!」
「それはちょっと」
「やーい♡髪の毛ふさふさ♡」
「どんな髪型でも煽れるのはもはや才能だよお前」
「あっありがとう彼方くん///」
「褒めてないが???」
「もう、みんなで何してるの!体育の時間、航先生の言うことちゃんと聞いた?」
「すまんな天谷。俺が捕まっちまったばっかりに……」
「えっ?……キャー!!??亞風呂くんのアフロから、アフロになった航先生の生首が出てる!!!???何コレ!?!?心霊現象!!??アフロの生霊!?!?!!??」
「あ、すみません先生。今出しますね」
キュッポン、と言う音と共に、航先生が勢いよく宙返りをして出てきた。
「こいつのアフロに囚われてしまってな」
「ちょっと何言ってるかわからないです航先生。脳みそまでアフロにされたんですか???」
「まあそう言うな。俺はこの時間の授業はないからな、職員室に戻る。またな、ガキども」
「相変わらず口が悪いですよ航先生!」
こうして航先生は職員室に戻る……と思ったのだが。何故かドアの前で止まった。なんでだろ?なんか頭を触ってるけど──
「……なぁ、亞風呂」
「はい!なんでしょう先生!」
「俺のカツラ──取れないんだが」
「そりゃそうですよ!先生のは特別に地毛をアフロにしましたから!」
空気が固まる。そして航先生は、鼻をヒクヒクさせて喋り出した!!
「よしいい度胸だクソガキ!!ちょっと職員室まで来いお前!!!」
「えっ!?ダメでした!?!?」
「ダメに決まってんだろ!!!この前美容室行ったばっかなのによぉ!!!」
「わ……航先生……ッ!落ち着いてッ髪型がアフッ……wwwアフロにさwれwたwかwらwっwてw」
「よーし笑ったな天谷お前許さんからなお前覚悟しろよお前!!」
「アフロがwwwアフロがなんか言ってるwww」
「天谷ィ!!!!貴様ァ!!!!」
「たしかに、航先生にはアフロ似合わなかったかもしれないですね……」
「亞風呂!!お前誰のせいだと思ってんだ!!!」
「航先生って美容室行くタイプだったんだ……てっきり千円カットとかで済ますタイプだと……」
「人を見た目で判断するな桜庭ァ!!」
「せ、先生!アフロでもいいことあるべ!!」
「ほう?じゃあ何がいいことあるんだ言ってみろ」
「えっと……か、髪の中に飴入れられるべ!!!!」
「無理矢理しぼりだしてんじゃねえ!!!!」
「やーい髪の毛ふさふさ♡」
「使い回すな橘!!!」
「けがなくて良かったですね!!!」
「ドヤ顔で言ってるけど毛はあるんだよ馬鹿金村!!!」
「ちょwwもう勘弁してww授業するんでwww出てってwww」
「……ったく!覚えてろよ1-Cのクソガキ共!!」
そう言って、航先生は教室を出て行った。ドアの上部にアフロを擦り付けてフワンフワンさせながら。それを見た誰かが、
「プッチンした後のプリンみたい」
とボソッと呟き、教室は爆笑の渦へと巻き込まれたのだった……。