【15分休憩】職員室
ここは八部江高校職員室。日々生徒と魂でぶつかる八部江高校の教師達にとって、次の授業が始まるまでに腰を落ち着けられるこの場所は、いわば彼らの校舎内唯一の安息地なのである──。
「あら狭間先生。おかえりなさい♡」
「こりゃご丁寧にどーも、葵先生」
「どうでした1-Cは?ワタシの言ったとおりぃ、面白い組だったでしょ?」
「ええ、よかったですわ。みんな良い子でしたし、何よりあの鏑木くん!彼は純粋でかわええねぇ……」
「わかるわぁ!食べちゃいたいくらいよね♡いじりたくなっちゃう可愛さ♡」
「え?」
「ん?何?どうかしたのかしら」
「いやいやいや、それはあきませんよ葵センセ。鏑木くんは――というより全ての生徒は遠くから見守るもんです。尊いものだから、触っちゃいけません。何よりアナタと生徒の掛け算はちょっと……解釈違いですわ。僕、かわいいのとかわいいのがいいですもん」
「………………あ゛?今私のことディスったわよね???遠回しにかわいくないって言ったわよね?????」
「はははは!そんなまさか。直接的に言いましたけど」
「テメェこの野郎ッッ!!顔がいいからって調子乗ってんじゃないわよッッ!!!」
「そうなんです顔がいいんですよボクぅ」
「あら〜腹立つぅ〜♡……いいわ、なら私の愛がどれほどのものなのか教えてあげる」
「ほう?」
「というわけで……生徒への愛の強さ、アナタへのハグで伝えるわね♡」
「はい嫌でーす、無理でーす」
「な ん で ?」
「そら、ゴリラに抱かれたくないからですよ」
「いいじゃないの!かわいいじゃないゴリラ!!」
「そういう問題やない!!!というか毎回何かしらにかこつけて抱きつこうとせんといてください!!!」
「いいから!抱かせなさいよ!!!アンタ顔はいいんだから!!!イケメンを抱くのは乙女の夢なのよ!!!!」
「いーやーでーすー!!どこが乙女や!!あっちいけゴリラァ!!!」
「ウホホッ!!!ウホウホッッ!!!」
「……あの、豚骨ラーメン落ち着いて食べられないからお静かに〜…………二人とも毎回毎回、仲良いなぁ……」
「いーひっひっ、ケンカするほどなんとやらだねぇ。さ、次は私が1-cに行ってくるよ」
「あ、はい。いってらっしゃい毒濃先生」
八部江高校職員室。ここは教師達にとって、校内唯一の安息地……かもしれないが……そうじゃないかもしれない……。