第3話
ぱちり。
目が覚めた。あれ、またベッドの中だ。そこで気がつく。嗚呼、さっき鏡で自分の姿をみて、それで胸が急に苦しくなって、意識を、失ったんだった。でも信じられない。まさか私が私の大好きだった乙女ゲー〈マジキャロ〉の悪役令嬢アリシア・アーネットスピアになっていたなんて。つまりこれって、
転生した。ってやつよね?漫画とか、アニメとかでよくやってたの見たことがある。じゃあ私は・・・
「アリシア!」
「お嬢様!!」
勢いよくドアを開けてきたのはアリシアの父でありアーネットスピア公爵家53代目当主のオスカー・アーネットスピアとアリシアお付きの侍女であるルーシーだった。
「大丈夫か!?起きたとたんいきなり気を失って倒れたと聞いてとてもびっくりしたぞ。どこか具合の悪い所があるのか。」
「平気よ。お父様。少し寝不足なだけだったみたい。」
「そうなのか?無理していないか?いや、よく見たら少し顔が赤いように見える。熱はーーー」
「お、お父様だから・・・」
「嗚呼、アリシアの綺麗な瞳の下に隈がっ!!」
過保護か!
「お父様。本当に何もありませんわ。先ほども言った通り、少し寝不足だっただけ。今はもうすっきりしているわ。」
「そ、そうか。」
私の剣幕におされたのかお父様は渋々といった感じで頷いた。
まあ、アリシアの父、オスカーがこれほどまでに心配するするのも分からなくはない。
これは〈マジキャロ〉のファンディスクで語られる話だが、アリシアの母、オリヴィア・アーネットスピアはアリシアが幼い頃に他界してしまっている。亡くなる前日までとても元気で、アリシアとお庭でおままごとをしようと約束していた。しかしながらその約束が叶えられることはなかった。
アリシアはどれだけ寂しかっただろう。そう思って泣きながらビールをヤケ飲みしたことを覚えている。
「そうだった。明日、ジークヴァルト王太子殿下がお見舞いに来てくれるそうです。アリシアが倒れたことを知ってとても驚かれた。とのこと。」
とルーシーが言った。ん?
「今、ジークヴァルト王太子殿下って言いました?!」
「えぇ。そうですが。」
嗚呼、そうだった。アリシアはシュノーラル王国王太子ジークヴァルトの婚約者なんだったぁぁぁぁ。
めっちゃ?長くなりました。(前の話より)