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ルーキスinオルトゥス ~奇術師の隠居生活~  作者: ブロンズ
第四章:アクティブ編

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第6幕:遺跡観光inアンティクア




 王国古代都市にある、ディクシアの遺跡。

 存在するエリアは都市の延長線ではないけど、この場所周辺だけは魔物も出ないようで。


 日干し煉瓦(れんが)の様な質感。

 内部は、やや薄暗さがあるけど、ほのかな温かみがあって。 


 金字塔(ピラミッド)のようでもあり。


 大聖堂のようでもあり。


 ……とても、面白い構造だね。

 私達が居るのは薄暗い内部だけど、頂上は立ち入り禁止みたいだ。 



 で――この感じは……フム?



「表層部の造りは、マヤ式のピラミッド――ククルカンの神殿にも似てるけど」

「くくる……?」

「月神を信仰しているというなら、ジグラートの可能性もあるよね?」

「ラード……?」



 脂じゃないよ。

 その辺は、ラーメン屋さんに任せておこうね。


 で、この遺跡なんだけど。


 形的にはマヤのピラミッド寄りなんだ。

 でも、アレはククルカン……有名な名だと、ケツァルコアトルっていう太陽神様の信仰だから。


 やっぱり、後者。


 メソポタミア神話。

 月の神ナンナを祀るジグラート遺跡寄りなのかな。


 内部の中心となる部屋は。

 簡素な造りだけど、壁面には全部で四つの記号が存在していて。


 中心には、一際大きな――よく分からない記号。


 左には、星型っぽい記号。


 右には、月型っぽい記号。


 上には、太陽みたいにまん丸な記号。


 それぞれが特徴的で。

 今までに集めた情報と照らし合わせるのならば。

 

 

「―――これが、教会の謳う創世伝説――なんだろうね」



 三国にある教会図書館。

 それらの本部は、【皇国】にあると聞くけど。


 あの国は、信仰の国らしく。


 天上の神々を信仰していて。

 星の神、陽の神、月の神、そして光の神。


 天上の四大神を祀っている。


 地底の神々の事は、描かれてないけど。

 此処は月の神……【ディクシア】を祀る神殿みたいだから、他の場所へ行ってみたら、まだ何か見つかったりするのかな。



 ……………。



 ……………。



「これは、信仰の歴史なんだ」



 ゲームの中であっても。

 その壮大さに感じ入るものは、確かに有って。


 真っ白な壁画。


 太陽と月。


 そして星。



 ―――それらは、荘厳な光を囲み。


 

 とても、厳かなイメージ。

 暫くは、現実でも遺跡観光とは縁がなく、ご無沙汰だった私の欲求を満たしてくれるね。



 でも……。 



「―――ヒーマー」



 ハクロちゃんには、ちょっと難しいのかな。


 と、いうよりも。


 興味が薄いとか。


 どう見ても遺跡の一部な大理石に腰かけ。

 何処へ目を配すでもなく、足をプラプラさせる少女。


 有体(ありてい)に、暇そう。

 実際、本人もそう口にしているみたいだし。



「………ピート、食べる?」

「んん、食べる」 


 

 余り長居は良くないかな。

 でも、もう少しだけ居たいし――彼女が退屈しないようにしなきゃ。



「やっぱり、壁画は難しいかい?」

「沢山見たから、飽きた」



 あぁ、そういう事。



「この国以外にも、遺跡があるって、さっき聞いたけど。ハクロちゃんは、行ったことある?」

「んん~~? ……アリステラ」

「ほう、帝国の遺跡」



 私は、まだ見た事がないね。


 三国にそれぞれあるとして。

 

 皇国は、国自体が未だ解放されてないし。

 帝国の遺跡は、学術都市の方に存在すると、さっき聞いたんだ。



「太陽と月。そして、星……ハクロちゃんは、どれが好き?」

「――うん? ……太陽?」

「どうして?」

「―――ん、ルミに似てるから」



 ……………。



 ……………。



 やっぱり、そうなのかな。

 何処まで行っても、私はそれになってしまうらしいね。


 多分、髪色の所為だ。


 そして、トワの所為だね。

 今度会ったら、もう一度お仕置きコースだ。



「ルミは、何好き?」

「……ふむ」



 私は、そうだね。


 やっぱり、月が好きかなぁ。


 太陽はちょっと荘厳過ぎて。


 星は、余りに遠く、小さすぎる。

 だから、昔から……優しくて、大きくて、背中に寄り添う月が好きなんだ。


 でも、私がそう答えると。


 彼女は、やや悲しそうで。



「……………好きなの、違う」

「人それぞれさ。別のモノが好きな方が議論が盛り上がるし、今迄知らなかった魅力にありつける。白熱して盛り上がるのも……楽しいだろう?」

「―――ん!」



 戦争はあまり好きじゃないけどね。


 話し合うのは、大好きなんだ。


 相互理解はとても大事だから。


 ―――で、そろそろ満足だね。

 元々、内部は一部屋の小さな遺跡で、見るモノもそう多くはないし。



「待たせて悪かったね。じゃあ、そろそろ出ようか?」

「ううん。今来た所」

「――そうなんだ。なら、良かった」



 多分、使い所違うけど。

 気遣いの出来る、優しい子だ。


 二人で遺跡を後にし。

 魔物が出る可能性のある樹林を抜けて、都市部へと戻ってくる。


 流石は、最前線で。


 大通りは活気があるし。

 私が普段見ている景色と比較してみると、やっぱり、装備的に強そうな人が多いかな。


 物品店のグレードも高いし。


 ポーションも上位があるし。


 ……今更だけど。

 商業区画を超えて、中央区にある領主館へ入って行くの、違和感があるよね。


 現在の最前線なアンティクア。

 知識欲旺盛な人たちが沢山いるだろうし。


 妬みとか、秘密を探るとか。


 他PLから見られてないかな。


 この都市が特別なのかな。

 プシュケ様って、社交的で有能な人が大好きってイメージだし。この都市へ来れる位のPLなら、みんなすごく有能だろうから……。



「――ねぇ、ハクロちゃん」

「んん?」

「プシュケ様に認められた客人って、沢山いるのかな」



 それなら、特段珍しくもないから。


 私達が入って行っても。


 余り気に留めないよね。



「……多分、ハクロとルミだけ……?」

「……………」

「今迄、誰ともすれ違った事ないぞ」

「……………」



 さぁ、改めて。

 周りの気配と視線を、よくよく見てみよう。



「――なぁ、ロイ。あの金銀美人さん達……」

「領主館に入ってってるな」

「……入れるのか?」

「NPCじゃね?」


「ちっさい子は、見た事あるな」

「特徴的だなぁ。……PLで見た事ないよ?」

「――あぁ! あの子……っ! レッサーカリュドンを倒すとき協力してくれた、メチャつよ――PLじゃなかった?」

「……PLも入れる。妙だな……」



 ……………。



 ……………。



 わぉ、大人気。


 前回は気付かなかったけど。

 まず間違いなく、注目を集めているようで。



「ねぇ、ハクロちゃん。もしかしなくても、街中歩いているときに話しかけられたことあるよね?」

「……………? あるぞ」

「どうやって領主館に入れるようになったのか、とか。聞かれたよね?」

「――ルミ、エスパー」



 うん……可愛い。


 

「なんて答えたの?」

「ご飯くれるって言われたから、馬鹿師匠についていった」



 ビックリするほど誘拐現場……!


 でも、それなら。

 相手方も、どうにもできないと諦めたのかな。


 こんな少女に詰め寄ったら。

 それこそ、この都市の治安維持を行っている【月光騎士団】がやって来て、キルされちゃうよ。



「ルミ。そろそろ、ご飯の時間」

「うん、そうだね」



 ハクロちゃんに促され。

 周囲を警戒していた私は、領主館へと入って行く。


 現実時間では、そろそろ夕方で。


 彼女は規則正しい生活みたいだ。


 すれ違うNPCさん達と挨拶して。

 長い廊下を抜け。

 自室……ハクロちゃんの部屋へとやって来ると、少女はすぐに私を見上げて。



「――明日も、良い……?」

「勿論、良いよ。月曜日だし、お仕事があるから、夕方以降になっちゃうけど」

「……ん。それで良い」

「じゃあ、明日も一緒だ。……あと―――」




「一緒に寝て良いかな?」

「ん。一緒」



 また、一緒のベッドだね。


 だって、一つしかないし。


 普通に、頼んで部屋を借りれば良い話なんだけど。

 明日も学校だし、それは後回しにして、すぐに休むとしようかな。

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