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ルーキスinオルトゥス ~奇術師の隠居生活~  作者: ブロンズ
最終章:フィナーレ編

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第4幕:穴の先に見えるもの




 西に最大領土を誇る帝国クリプトセント、南に豊かな自然を持つ王国サンリア二クス。

 北に最古の歴史を有する皇国エディフィス。

 人界の総面積はゲーム内の大陸における五分の一程度であると公式に言われているけど、その実人界には、三国のどれにも属さない地上の都市、空白地帯というものが存在する。

 それは三国に囲まれた人界領土に位置しながら、その何処にも属さぬ唯一の都市【中立都市ナイトール】


 広大にして未知なる秘匿領域へ続く、地上からの入口であり、世界と世界を繋ぐ大穴のすぐ傍に存在する都市だ。

 まぁ、今回は中継地ってだけですぐに出てくんだけど。



「じゃあ、そんなこんなでいかれたメンバーを紹介しようか」

「勝手に」

「いかれさせないでくださるかしら」

「いーじゃん、好きだよ? 僕。いかれてるの」

「トリガーハッピーの戦闘狂はだまってれ、獣」

「いーじゃんいーじゃん、格好いいでしょー? 猫耳! 正確には虎なんだけどねー」


「賑やかだな……人間は」

「本当にねー、新鮮で良いわ、こういうのも」


 

 魔族側からバディスさんと悪夢さん。

 人界側からはビーンさんにレーネ君、途中合流のマリアさんとレイド君。

 あとは引率でヨハネスさんもいる。

 人種も所属も多種多様な、一昔前で言うダイバーシティー的面々だ。



「で、ブンヤ。あなたはどういう了見で付いてくるのです?」

「はははっ、相も変わらず警戒心が強いですねー、マリア殿。いや、こんな面白いお話を記録しない訳にも行きますまい。あ、私がいることによって都合の悪い真実をもみ消される可能性が薄れますよーー? ほぅら連れて行き得」

「ほほっ」

「良いねぇ、そういうの」



 いいカードだ。

 今に自身のアイテム欄からおもむろにモーニングスターを取り出したマリアさんを、言葉という武器で牽制しに掛かる記者。 

 それでこそジャーナリストだ。

 そもそもマリアさんの筋力値でそんな武器扱えるのかな。



「「グルルルッッ」」

「きゃあぁぁ!!」



 あ、やっぱり扱えてなさそう。

 都市から出るなり魔獣達に追い回される彼女は折角取り出した武器をいち早く投げ捨てる。

 


「将の役目は生き延びる事だ。しょうがないよね。後衛だし」

「じゃあさっきのモーニングスターなんだよ。レベル30ちょっとの敵くらいしかいねえぞ? ここらは」

「その三十ちょっとでも走馬灯が見える人種なのさ、私らは。さ、出番ですよ皆さん」

「取り敢えずコイツ食われるの待ってから動くか?」

「「……………」」

 


 不本意、嫌々……言葉は数あるけど、最大限にしょうがないとでも言いたげに前に進み出ていく彼等。

 よくよく考えなくてもこの場にいる面々って怪物ばっかりなんだよね。

 魔族側の二人は言わずもがなの特記戦力……多分サーバーでも五指に入る使い手で、レイド君も対人特化の怪物、ヨハネスさんは弓術士の最高峰、そしてレーネ君とビーンさんだって……。



「そーら、そらそらそらそらッ、うわの空ァ!!」



 ビーンさんが両手に構えた二丁拳銃を撃ちまわり、視界の全てが紅蓮に一掃される。

 見た目只の拳銃なのに、銃口から射出されるのは火山弾なんて問題にならない大質量―――湧き上がる一発一発が小さな噴火みたいで。

 何なら、彼はその威力を利用して空すらアクロバティックに飛び、そのまま攻防自由自在。

 銃の発砲による威力で浮遊できるって、それもう何でもありじゃないか。



「動く災害だ……、現実にはあり得ない威力だね」

「4thの【魔銃士】……ですね。使いこなせば空さえ飛べる、と。そのような触れ込みですが、およそサーバーで最もその扱いに長けるのが彼です。天性の使い手、と」

「ほえーー」



「やっほぉぉぉい! 騒乱“凶笛(きょうてき)狩り”」



「―――お?」



 で、あちらは。

 ある種華奢に見える猫……否、虎の獣人さん。

 彼が巨大な戦斧を振ると、それに応じるように笛の音が。

 よくよく見れば、レーネ君の持つ斧、その長大な持ち手には孔が幾つも空いて、そこに大威力の斧撃が風を呼び込むことで音を奏でてるんだ。

 持ち手を握る指の動きも忙しなく動き、同時に獣人特有の猫耳もピコピコ。

 戦ってるっていうよりはリズムに乗って踊ってる。


 バックダンサーは、今まさに互いを喰らい合う獣たちだ。



「魔獣達は狂ったように同士討ち、本人は勝手知ったると縦横無尽……。これまた、一人で戦況を変えちゃうレベルだ」

「故に獣軍……。多対多や大規模戦ではなく、あくまで混戦の中に生きる狂人です」

「レーネの【百獣戦士】は対魔獣において最も力を発揮するってな」

「私も聞いたことありますわ。彼の特異性は、二次職【笛工(ふえだくみ)】との合作だって」

「独自の戦い方を編み出したわけだ……」



 噴火が敵を焼き、逃げ惑う事もせず息絶えるまで踊り狂う魔獣達―――恐ろしい光景で。

 魔獣達の必死の抵抗虚しく、スライムは蒸発するし、ゴーレムは粉々……。



「って、スライムやらゴーレムやら……あんなのいたか? ここらって」

「そういえば、私も記憶にないですわ」

「―――えぇ、以前は出てこなかった敵なのですが、なんでも地底の大神を倒すとそれに対応する敵が各地に出現するようになった、と。過去に新聞に載せた筈ですが?」


 

 ……うーむ。 

 あの二人―――。

 強いって話は聞いてたけどここまで圧倒的だったんだね。

 ………。



「え、君たち居てさっきの戦い負けちゃうんだ」

「やめてよぉ!」

「チクチク言葉がいてぇ! ダメージ受けてねえのに!」

「うーーん。あ、ヴァディスさん? 悪夢さん」

「「?」」


「次があるならその時はもう少しいい戦いになる事を期待するよ」

「―――え、どういう意味なの?」

「もう少し手加減しろとでも?」

「まるで勝った側の台詞ですわ」



 いや、手心を加えてくれとまでは言わないけどさ? 言わないけど、ほら。

 もう少し、なんかあるじゃん?

 ほら、その辺は自分達で考えてもらいたいけど……。



「意地でも現場が勝手にやったって言い張るやーつ!」

「無理難題押し付けて一切の責任とらんやーつ!」

「尻尾切りですね」

「ねぇ、この人ホントに聖女なの?」

「失礼だね、私を買いかぶり過ぎだよ」

「怒るんじゃねえのかい!」



 やだな、そんな強気な性格に見えるかい?

 いいとも、君たちが望むというのなら私の実力を今この場で……、ぐえ。


 襟首掴まれた。



「ほーら、前でないの。大人しくしてないと前線に送り込むわよ」

「あ、ごめん」



 それは勘弁だ。

 じゃあせめてナイフの高速持ち替えでもしながら三下ロールしてよう。

 


「ルミエールさんはやっぱり武器変わらないですわね……、武器とかも」

「ん? うん。最初期からずっと使ってるしね、白爛」

「ほえー、ん?」

「最初期?」



 最初期だよ?

 ずっと同じ武器を強化してもらって使ってるんだ。

 ほら。



 

―――――――――――――――

【武器銘】 白爛(はくらん)+23


【種別】

近接・短剣 RANK:D


【要求値】

筋力:10 


【強化値】            

攻撃力:+8(+23) 俊敏:+4(+23)


―――――――――――――――




「「―――キモッ!?」」

「え酷い」



 初期装備に愛着がわく事って誰にでもあるだろう?



「いや、そこじゃなくてさ」

「一つの武器にこんなプラス値付いてんの見た事ねぇよ」

「ランクが最低に近い武器だからこそ強化に必要なものが最低限で済んで、そのおかげでここまでプラスになってるわけだな……、にしてもこれは……」



 私にとってはずっと使ってる大切な愛剣さ。

 確かに最近じゃあ店売りの簡単な武器でもこれよりずっと強いのは沢山あるし、多分今じゃその辺でドロップするレベルの武器でもこれよりずっと良いんだろうけど。



「武器ってアレだぞ? プラス値が高い程金もかかるし一回の成功率も低くなるんだが……」

「腕のいい友達が作ってくれたからね、割引してくれるんだ」

「……テツさんならもっと良いのくれますよ? ルミエールさんになら」

「しかも製作者クロテツなのかよ……」



 あ、テツ君のペンネーム? みたいなの知ってるんだ。

 


「流石に知ってるでしょ」

「サーバートップレベルの鍛冶師になんて仕事させてんだ……」



 それも成長……ってやつなのかな。

 諦めない人たちは皆、ひたむきに前へ前へって進んでるんだね。

 最高位の戦闘者さんたちが褒めてたって、今度本人に話してあげよう―――と、そうこうしているうちに見えてくる、世界喰らいの大穴。

 やっぱり道中で襲い来る魔獣なんて問題にならなかったみたいで。



「相も変わらず大きいわねぇ……」

「底の見えぬ暗闇……。前はティラミスに乗ったままだったから……、地上で見るとまるで違う」

「私も、本当に久しぶりに来た気がするよ」

「殆ど初見用のギミックのようなところがありますからね、ここは」

「だね……、思い出すじゃないか。ここで私はマリアさんにアレを渡したんだよね?」

「あれ?」

「―――ほら、ディアボリカン」

「思い出のアイテムみたいに言わないでくださる?」



 火を噴く程に辛いとされる、魔族領土原産の果物。

 クールで美麗な容姿。でも、その実、熱い心を持ってる彼女に凄くピッタリだって渡したんだっけ。

 それで、実際にその通りだった。

 あの後彼女は自分の意思で色々な事を成し遂げて―――。



「今現在はfireして隠居生活してるからね、私みたいに」

「マジか無職か」

「無職って事だよね」

「かの大ギルド長が今や無職とは」

「無情だよなァ」

「チクチク言葉! 流行ってるんです!?」



 でも確か、あの時は……。



『―――もしかして。私だけ、違う所に飛ばされちゃった? でも、そんな酷い……いや、或いは。見えている物が違う?』



 ―――深く―――深く―――瞳を閉じて。

 


 黄昏色の空の下……何処までも草原の続く道を行く中で、その言葉が何処からか聞こえてきたんだ。


 その声は、どうしてか深く記憶に残っていた。

 そして、この前の一件でそれがディクシアさんのモノであると直感的に理解出来たんだ。


 秘匿領域は天上の神々が世界から秘匿した場所。

 遥か昔の時代、魔獣達に襲われ生きることもままならなかった希少種族たちを守ってあげるためにそうしたって―――かつてはそう聞いたんだけど。

 今はその考えにも若干の疑問が残っている。



「ね? マリアさん」

「……えぇ。博物館の展示を裏付けするかのように、要塞都市の一件では無明神のことが明らかになって……」



 秘匿領域の博物館トゥリス・アウルムでの事だ。

 妖精種たちの暮らしていた都市……彼等を護ってくれた城塞の正体は、他ならぬ他ならぬ無明神オグド・アマウネトの肉体だったと。

 結局、どっちが善でどっちが悪なのか。

 自分の見たモノを信じる……それは勿論大切な事だけど。

 世の中では、目に見えるモノだけが真実とは限らない、ともいうから。

 


「今だってこうして魔族側の二人と一緒にいるんだよ? それ以前だって何度も共闘はした。確かに利害の一致が多かったけど……真の敵が何か、なんて。そんなのまったく分からないじゃないか」

「「……………」」

「うーん、当然の疑問話しちゃうとさ? 人界側のPLをこの世界に呼んだのが創世神アルケーなら、魔族側のPLを呼んだのは魔神王っていうのが定石じゃないかなぁ、やっぱ」

「ってなるよな」

「その辺りはお話に出ないのですか? 暗黒騎士さま。一言だけでも……」



 ヨハネスさんが目を輝かせて問うと、魔族側2名は顔を見合わせる。

 ところでバディスさんは兜脱いじゃいけない縛り中なのかな。



「神の考えは我らに推し量れるものではない」

「翻訳すると、何にも情報ないって事よ。けど、互いの陣営の神がそれぞれ異訪者を呼んだって。仮にそうだとしたら、どちらが先か―――って話によって変わるわね。どちらかが異訪者を使って何かよからぬことを考えていて、それに対抗して……とか」

「只のゲームとか、どう?」

「「……………」」



 いやさ、神様同士で暇つぶしに遊んでて、どちらの呼んだ勇者たちが勝つかって話。

 前にそんな感じのやつを読んだんだ。



「神さまもそんな深く考えてなかったりするかもよ?」

「黒い」

「真顔で人同士の争いみて楽しんでそうではあるからな、コイツ」

(キル)は救済だとか言ってくるタイプの聖女」

「酷い言われようだ」


「そうだ、AI神さまに聞いてみる? もっと踏み込んだ具体的な質問なら「ぎくっ」って言ってくれるかもよ」


 

 ……勿論、それを本人に聞いてみるのが一番早いだろうけど。

 それは私のポリシーにいささか。



「関係ねえや」

「僕もーー」



 あ、チャット機能で普通に質問しちゃってる。



『簡単に言うとだねー? ルミちゃん』

「あ、出た」



 また勝手に。

 呼ばなくても出てくるんだから。



「でも出ちゃったものはしょうがないよね。続けて?」

『賢い』



『ここにいる私は、あくまで偏在する意識の残渣。この世界に身を捧げた神の、残りカスみたいなものだと思って欲しいんだ。大体のことは知ってるけど、欠落している事も多い。特に、根源に関わる事はね』

「根源」

『そ。意識にロックでも掛かってるのか、或いは誰かに隠されちゃったのか。自分でも思い出せないんだ』

「だからハクロちゃんに覚えてないって言ったんだ?」



 隠された、ね。

 シアちゃんは人界側全PLに付いてるAIだし、まぁそうおいそれとは教えてくれないか―――っと。



「おぉ……」

「とうちゃーく!」

「目の前まで来ると流石に圧倒されますわ……」


 

 高層ビルを山と束ねて、そのまま丸ごと放り込めそうな巨大な穴に一斉に目を奪われる私達。

 余りの威容に、平衡感覚さえ失われたような気さえ。

 深淵が、私を誘っているような気さえしてきて。

 地球平面説が盛んだったころの、世界の端っこ……海の水が流れ落ちる深淵って、やっぱりこういうイメージだったのかな……と。



「さ、到着記念に皆で写真でも撮ろうか?」

「目的を忘れるな」

「あ、痛、痛……ごめんなさい」



 けど首ツンツンは怖いよ?

 あと大穴をバックにしてるから普通に落ちそうで怖いよ?

 もしかしてバディスさんは年頃の女の子にあるまじき悪い遊びを覚えちゃったのかもしれない。



「もう、海賊じゃないんだからそんな乱暴な……」

「「あ?」」

「いや、君たちは陸担当だよね?」

「結局写真は取るんです?」

「っと。ヨハネスさん? マリアさんが写真撮って欲しいみたいだからやっぱり―――」

「わ、私は別に!」



 ……お?



「……………ふむ」

「ヨハネスさん?」

「―――あ、いえ。先の、前哨基地陥落を受けて三国が声明を出しておりまして、その確認を」

「おぉ、早いね」

「現実準拠ならあり得ないくらい迅速な対応だぁ」

「ふふ、情報を持ってくるのも引率の仕事ですから。さ、集合写真でも撮りましょう……」

「「引率か」」



 けどツッコむ割には皆ノってくれるんだよね。

 ガサゴソと機器をしまったり写真を撮ったりと忙しない彼はまるで遠足を引率する先生。

 皆で普通に大穴を背にパシャリ。



「良い写真ですねー、もう一枚。……ふふっ、これはこれはいい見出しになりそうで―――あ。時に皆さまはこの世界喰らいの大穴の伝承をご存じでしょうか?」

「伝承?」

「そんなのあったっけ? マリアさん」

「聞いたこと無いですね。妖精都市でもそういったものは聞かなかったですけれど」

「大精霊への信仰を隠れ蓑に、秘匿された情報ですからね。秘匿領域の最深部、未だPLが辿り着けぬ場所に存在する、まことの秘匿領域。そこには神代から生きる妖精王の治める都市が存在する、と。そう言われているのですよ」



「そこへ導く資格を有するのは、チェンジ・リングを保有したままの妖精種である……とも」

「ヨハネスさん? じゃあ、まさか……」

「えぇ。此度の、皆さまが辿り着きたい真実を得るヒントになり得るかと。眉唾物の御伽噺ではありますが、この面々であれば或いは……」

「良いかもしれないな! 財宝」

「そういう話はしてません」



 ずっと昔から存在する妖精の王様。 

 歴史の表舞台には全く出てこず、これまで殆ど情報がなかったような存在……か。


 確かに、話を聞くにはもってこいかもしれない。



「でも、チェンジリングってなんだったっけ?」



 聞いたような覚えはあるけど、えっと。



「それは―――」

「妖精種としてゲームを開始したPLが持ってる初期アイテムですね」

「えぇ。ほら、私とルミエールさんがここに始めて来たばかりの頃はまだ秘匿領域へ続くルートの難易度が多くのPLには非常に高かったでしょう?」


 

 ………。



「あ、そうだったね、思い出した。確か、一方通行で人界三国にある初期開始地点の何処かにワープさせてくれるアイテムだったっけ」

「そだね、使いきりのアイテムだった筈」

「ウチの団員にもいたな。当然、全員もれなく使ってたが」



 資格を有するのは保有者―――。

 つまり、それを今も所持しているような人じゃないとって事か。



「友達にいる?」

「難しいと思いますね。かつての環境では最初にチェンジリングで地上へ行くのが一般的でしたし、そうでなくとも初期アイテムとしては破格の高値で販売できたので今も持っているPLとなると始めたばかりの者が主となってしまいます」



 レベルが高くて今も後生大事にしている人なんてほとんどいないって事か。

 確かに難しい。



「これ以上足手纏いを増やすわけにも……」

「「うん」」

「最初に手に入れた武器を使ってて初期装備を大事に着てるような酔狂な異訪者さん、か……」

「「……………」」

「確かにそんなおかしな人はいないか、普通」

「―――ツッコミ待ちなのか? てめえは」

「存在自体がボケてますからね」

「うーむ、このアウェ~イ感。新鮮だ」



「折角ここまで来たんだ。もうそこらにいる新米PK……PLに適当にオネガイした方が早くねえか?」

「だよなァ、親身に頼めば……」

「あなた達やっぱり仲いいですわよね?」



 この野蛮人と南蛮人のコンビ、結構息合うよね。

 けど、多分条件は指輪を持ってる「妖精種」だろう?

 私達が脅……、お願いして快く譲ってもらったとしても、それで資格があると判断はされないと思うんだ。



「ルミエールさんは心当たりないんですか? 顔だけは広いんですから」

「まるで私の顔が大きいみたいじゃないか。けど、まぁ……」



 心当たりは―――、いる。



「丁度、実力もあってまだ持ってそうな子たちに心当たりがあるよ、私」

「「お?」」

「未知領域の戦いの仲直り、って事でどう?」

「……? あ、それってまさか」

「あの妖精脳どもか。っけど、あの面々にもなって来ると猶更効率主義で指輪最初期に使ってると思うぞ?」

「ふふん。それはどうかな」



 アミエーラさんとルイちゃんの妖精姉妹。

 確かに妹ちゃんの方はそうかもだけど、姉……ルイちゃんの方ならあるいは―――。



「あ、ルイちゃんっていうのはお友達でね? 因みにこれはルイちゃんとあるいはを掛けた高等ギャグ―――」

「「せいっ」」



 おっと。 

 やっぱり蹴墜とされた―――世界喰らいの穴へ真っ逆さまだ。

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