第24幕:無明の最果て
「またレベル1になっちゃった」
「「馬、鹿ぁ!!」」
「……再放送?」
成程、成程。
皆にもそれなりに罵倒したくなる理由というべきものが存在しているのだろう。
けどさ、今一度考えてほしいんだ。
今回ばかりは本当に奮闘して頑張った末のレベル1だからさ?
………。
いや、それを言うなら前回も本当に本当に奮闘して粉糖して山あり山盛りモンブラン。
丁寧に切り分けてーの……。
「盛り付けてーの。―――おぉ、これは中々……。アルプス最高峰に見立てた山に、やり過ぎなくらいの粉糖。この甘さが心地よく」
「ケーキ喰ってんじゃねえ!」
「余裕か!」
「ごめんなさい」
「しまいにゃ泣かすぞ!」
「ごめんなさい」
「そもそもルミねぇレベル1になっちゃったら私達どうやって前線戻んのさ!」
「ごめんなさい」
「アイテムも枯渇してる現状回復スキルだけが頼りみたいな所あったんですけど僕達も」
「ごめんなさい」
「「素直!」」
「―――……いや、いう程素直か? botだろこれ。反省って言葉がこれ程見つからない謝罪も珍しいわな……。いい加減食うのやめろや」
ムグムグ……、違うんだ。
これは戦いの後の糖分補給。
度重なる連戦でちょっと頭を使い過ぎてめまいがしてきたから、それを防ぐためにしてるだけなんだ。
「だから仕方がない事なんだ、ゴメンね。うままま……」
「「ホ、ホホッ……」」
「このっ……」
「目の前で旨そうに……!」
「ご丁寧に落ちたケーキ屑までポッポが回収してる……! 私達の分は!?」
「そもそもゲーム内で食べた所で糖分補給にはならないってツッコミは誰か入れないんですか?」
「うまま―――それより、戦いの行く末が気になるんだ」
「なによりだよ」
「現在形で話妨害してる側が使っていい接続詞じゃねえんだわ」
「そうだよね。分かる分かる」
「一回しばきませんか? この人」
「どつきまわすか」
そろそろ私の完璧なるネゴシエーションにも限界が訪れつつあるね。
話を煙に巻けるのもここまで、と。
「さきの盗賊王さんとの戦いなんだけど、皆に手伝ってもらった状態でまだ結構厳しい戦いを強いられてね」
彼等は私の為に動いてくれたし、一先ずはその働きがどのような結果に繋がったのかを話しておくべきだと。
来るまでの再度の時間稼ぎを兼ねて、先の戦いの経緯と私の作戦を簡単に説明して。
「―――で、私が消える直前でレイド君にバトンタッチしたところまでは何とかうまくいったと思うんだ。けど、そこから彼が上手く繋げられたかまでは……流石にね」
「「……………」」
「毎回綱渡りだよなぁ、本当。失敗した時の事とか―――いや、考えてるか」
「保険はね」
オリジナルチャート……おりちゃーっていうんだろう、ゲームでは。
走者って人たちは急なミスにも路線変更して切り替えていけるようにしてるんだ。
今回は別に決定的なミスがあったかどうかは行ってみないとまだわからないんだけど、私も常にいついかなる時も保険は用意しておく主義だ。
「というわけで私もおりちゃーを発動。―――もう少しで……あぁ、来た来た」
都市の外側……マップでは唯一戦域に登録されていない異訪者のりすぽん地点。
次々と飛竜が離着陸を繰り返している此処へ、また新たな影が。
「ヘイタクシー」
「ルミエールさ―――……手品師。貴女という人は」
「「!」」
「お前は……ヴァディス・クウォ!」
「……。メチャクチャが、過ぎる。散々こき使ってくれた上に、この上更に働かせようと来たか」
「そうさ。今回は空の旅だ」
呼びつけた私一人だと油断していた彼女は、すぐ傍にユウトたちがいることに気付いて言葉遣いを直したみたい。
けど、それに合わせて機嫌も若干直ってるよね。
「空の旅。ろくでもない言葉だ。断っても構わない話なのか。これでも航空戦力の指揮で忙しく……」
「キミは断らない。そうだろう?」
「クッ……!」
「……何やったの? ルミさん」
「どうやったら騎士王と互角以上の化け物脅せるんだよ」
「絶対碌なことしてない」
そう、曲がりなりにも友人たちと一緒に冒険できているという高揚が今の彼女を繋ぎ止めているから、断らない断れない。
決して脅しなんかじゃないけど、これ悪い大人のやり方ね。
そのうち真二つに斬られそうな気がするよ。
「けど全員乗れるかな? 飛竜さん」
「むり……じゃないか?」
将軍さんの愛竜だけあって他の子よりもやや大きくて強そうとは思うけど、それでも現代の竜種はやっぱり小型らしく。
確か、私とマリアさんが乗ってた時も「重い」って言って冗談で一人落とそうとしてたっけ。
「いや、問題ない。私が前を飛び先導するのであれば―――“飛竜召喚”」
「「ちょ」」
いきなり、目の前で都合二匹のドラゴンさんが増える。
これには足元のハト君達もケーキ屑を食べるのをやめて豆鉄砲をくらったような顔だ。
「―――マジか」
「……魔族側4thのスキルの中でもありふれた基本の能力だ、気にするな。それよりも……空から観測していて、ハッキリしたことがある。全員、乗れ。分散すれば問題ない筈だ」
「先に聞きたいんすがね」
「はっきりしたことって?」
「話はあとだ。―――飛べ、ティラミス」
「グルルルル!!」
「「てぃら……みす?」」
色々と答えを紡ぐより先にぐぃんって空に巻き上がる飛竜なティラミス。
成程、「元気づけて」、「天国に連れて行って」など、色々訳されるティラミスだけど、その大元は上に持ち上げて……だから何もかも間違ってはいないね。
「ハト君達も上に持ち上がるし、実質ティラミスだ」
「「……………」」
………。
飛び立ち、上空から俯瞰して確認できるだけでも、都市の戦況はまだ激しいように思える。
「「―――――」」
残骸にし尽くされた市街では死霊術師の使役する死兵と魔獣が縺れ合って雪崩となり、そこへ連携を取ったPL達の攻撃が雨と続く。
魔獣の軍勢へ突撃する彼等を先導しているのは例のギルドランク三位の……チズルちゃん達だっけ。
あと、何かピカピカしてる区画を先導するユーシャちゃん、今まさに炸裂する大氷塊はリエルちゃんの範囲魔法だし……大混戦だ。
私には所謂、共通の敵に対する勇者と魔王の共闘シーンにも見えたね。
地上に限らず空だって―――バベルさんの言う冥国三騎士さん達が参戦している影響か、制空権は完全にこちら側に委ねられている。
様子を確認している間にも城塞の方角からは無数にバリスタの弾や無数の神器が飛翔してきて、世界に伸びる巨大な岩腕を押しとどめ、やがて砕く。
けど、深淵から次々に伸びる腕全てを撃ち墜とすにはまるで足りてない。
攻撃し続けていても、少しずつ押されてるし腕の数は増えている。
ソレに―――その深淵の穴なんだけど……。
……目の錯覚かな。
私が城塞にいた時にはまだ都市の都市の十分の一にも満たないくらいのサイズだったと記憶しているんだけど……。
いまって五分の一くらいになってないかな。
「お前たちは……あれを見て、どう思う」
「どんどん広がってるよねぇ!? ニヴァイくらい大きくなってるし!」
「ヤヴァイな。やっぱりじわじわ大きくなってたのか……」
「ってこたあ……、このままじゃ世界丸ごと穴の底―――ってコト!? それが終末ってコト!?」
全部が全部、底のない深淵に呑まれて終わり。
あぁ、確かに終末シナリオとしては最適な一つかもね。
まるで穴そのものが命を宿しているかのように、無数の腕が伸びる吹き抜けの底からは風の音が雄叫びのように轟き渡る。
或いは、それは深淵から這い上がろうとしている神様の咆哮なのか。
「―――あの穴がこれ以上広がる前に。都市の全てを呑み込む前に、あの神様を倒す……、って事だよな」
「「……………」」
神を、倒す。
あの、人間じゃ及びもつかないような……全長が何百メートルあるのかすら皆目見当もつかないような、巨兵の神さまを。
これ以上戦況を変えられるようなピースがまだ存在している……?
これがゲームのメインとも言える歴史……「クロニクル」のイベントである以上、必ず正解となる何か、世界に干渉出来るものが存在している筈なんだけど……けど。
「―――どう? エナ」
「……えぇ。やはり城塞で戦いが起きているようには見えませんね。攻撃は全て外部に向けられてます」
「んじゃあ、ルミねぇの作戦は成功した……って?」
「そうなるか」
つまり、既に城塞の上に敵はない……盗賊王さんを討伐できたと。
作戦は成功。
あぁ、とても喜ばしい事で……。
けど、そうなって来ると余計に。
「彼を倒しても止まらないってなるとさ、それも話変わって来るよね?」
「ブレーキがなくなったって事だからな。神さまお引き取りボタンか何かがあったとして……トドメ刺す前に交渉とか―――しないだろうな、レイドさんは」
「「……………」」
さて、困ったぞ。
或いは彼に貰ったアレが……いやでも返さなきゃいけないものだし……んう?
「「―――――!!」」
ザンッ……と。
それは、世界に轟き渡るような斬撃音。
無数に伸びていた大神の腕―――12聖の攻撃ですら一本砕くのに時間を要するような埒外の巨腕……その全てが半ばから断ち切られ、あまりの大きさから、コマ送りのように虚空の深淵へと落ちていく。
磨かれた大理石のような鋭く鮮やかな石材の断面は……誰が?
………。
私達の乗っているティラミスちゃん達の動きが止まる。
気付けば、同じように空にいる全ての魔族騎士たちの動きが止まっている。
三騎士が飛竜の上で跪くようにして静止している。
暗雲が晴れない空に、巨大な竜の影が投影される。
「―――我は……、ジュデッカ」
「―――冥国タルタロス四祖魔公が一人」
姿が見えないよ。
雲の上にいる?
誰かが雲の上にいる飛竜を駆ってるのかな?
「……嘘ッ!?」
戦域へ響くその声に仲間内でいち早く反応を見せたのは彼女だった。
上ずった声が女性らしさを強調しちゃってるよ。
ワタル君やショウタ君が目をまるくし、ナナミやエナもぱちくり。
ユウトも捻り過ぎて首が四十五度くらい回転してる。
「―――ってーー誰?」
しそまこう。
何処かで聞いたような、聞いてないような。
「……最強の魔族。我ら四騎士を束ねし、軍部元帥」
元帥。
なんと、一番偉い人じゃないか。
……そんな人がいきなり人界に?
戦力も丁度あるし、混乱も起きてるしで本格的に侵攻でもしに来たのかな。
「我は、神の代弁者。魔族領域の神……我らが魔神王陛下の代行者として、お言葉を伝えるものである」
………。
……………。
………。
……………。
「「―――――」」
不意に、空を覆う雲が晴れた。
空の衣がはがされた先には―――「赤く染まった大空」が、そこには在った。
空が、真っ赤だった。
黄昏時よりも、夕暮れの金光なんかよりも、ずっとずっと眩い……直視するのも憚れる程の朱―――。
『レジスト―――特殊状態異常:焔魔ノ放熱Ⅰに抵抗しました』
『レジスト―――特殊状態異常:焔魔ノ放熱Ⅱに抵抗しました』
『レジスト―――特殊状態異常:焔魔ノ放熱Ⅲに抵抗しました』
朱い空を見ていただけなのに、私が持つ一次職の基礎能力である状態異常無効が何度も何度も発動。
これは?
――――――――――――――――――――
◇ 焔魔ノ放熱 ◇
種別:状態異常(特殊)
全ての火を統括する大いなる神の権能。
全ての生命の根源たる荘厳な焔の前には、
全ての命は疾く跪くのだ。
・戦闘に関わる能力値が状態異常レベル×20
%減少
・効果時間は対象の魔法防御に依存
・アイテム解除不可
――――――――――――――――――――
「―――レベルⅢって全能力六十パーセントも減少するじゃん!! しかも消えないし!」
「マズいって! まだ戦うのに!」
「そもそもどうして此処で魔神王まで……まじん―――あれなに?」
………。
混乱の中で。
朱い空を仰いだ皆が、ある事に気付く。
………。
そもそもアレ―――空じゃないじゃん。
深淵を覆い尽くす程に。
底のない闇すらも満たす程に大きく、荘厳で、強大。
それは、空じゃなく巨大な―――あまりに大きな炎の塊だったんだ。
大きさは比にならないけど、術師が放つ火弾みたいな、アレだ。
太陽そのものが地上に顕現したかのように……あまりに大きすぎて、それを空だと誤認しちゃってたんだ。
「そうだ、アレはあくまで権能の一端……単なる魔法攻撃の一つでしかない」
「ヤバ過ぎだろ」
「僕達魔神王討伐やめます」
「神様同士勝手に戦え」
「ただでさえ強いのにアレ使えるの味方とかズルすぎるとおもわん? 騎士さん」
「ズルいので何か一つください」
「………。私達の住む国において、魔神王陛下はこう呼ばれている。地底の火―――この世に在る全ての焔の源流。根源の焔魔」
……火。
まぁ……あれ見せられたら納得するけどね。
地底の水。
地底の風。
そして火の神さま……地底の火。
彼等地底の神々はそれぞれが象徴とする属性を持っているんだろう。
「さぁ。魔神王陛下より賜った御言葉を、伝える」
………。
「いざさらば、無明なる神よ。偉大なる、大いなる地底の風―――古き友よ。再び、眠れ。定命の営みの中で、まどろむがいい。汝に今ひとたびの、安寧を」
………。
それが、言伝?
まるで慈しむかのような別れの言葉だ。
……言葉と共に、大空に在った太陽が地上へと落ちてくる。
それは、落ちてくる程に密度を増し、輝きを増し……熱量が肌を灼き。
「……あつ!!?」
「目が……めがぁぁ!!」
最早、眼も開けていられなくなり。
「みんな、掴まって!!」
「「!」」
威厳のある言葉遣いをかなぐり捨てたクオンちゃんの声で、我に返った皆が全力で飛竜にしがみついた。
それを最後に、世界が熱と朱に染まった。
………。
再び目を開ければ、そこはまさに焦土。
太陽の墜ちた大穴に、先程まで存在していた巨大な神の影はなく。
世界へ伸びていた百の巨腕。
奥底から轟いていた咆哮。
その全てが消え去り、ただただ風の吹き抜ける虚空のみがある。
『―――無明』
………。
『―――無明』
『―――無明』
『何も、見えぬ。何も、聞こえぬ……ここは―――くらい。くらい……』
それは、声だ。
風が全身を叩いて通り過ぎるように。
暴風の中ではあらゆる音がぼやけるか、全く意味を成さない筈なのに……どうしてか、それは聞こえた。
多分、それは風自身の声だったからだ。
これは―――無明神さまの声だ。
無明。
一般に、その言葉は仏教用語だ。
人の迷い、苦しみ……その根本の原因となるものの事だ。
けど、今の神さまは。
「暗い」とつぶやき続けるその声からは、苦しみや不安、迷いなどの感情はなく……何処か、安堵に満ちたようなもので。
まるで、怖い夢を見てふと我に返った場所が、安心できる家の中だったような。
「ところでさ。ねぇ。神さま……起きちゃってるよね? これ」
「「………!」」
朝日が昇ったのなら目覚めの時だ。
巨大な太陽ににらまれ、寝ぼけ眼を擦っていた神様は、完全に覚醒してしまったんだろう。
この声はそういう事で。
ただ、その姿は……身体は、何処へ?
『我―――無明。文明を興す者』
『我―――文明を見守る者』
『我―――定命を見、送……ㇽ……。無明ナㇽ、……カミ』
気付けば、穴の崩落が止まっていた。
大穴の拡大が完全に静止していた。
崩れ落ちていく世界が……その場に固定される。
「なぁ、これって……」
そこからは早かった。
街が―――都市が。
崩れ、廃れ、荒廃していた筈の世界が、逆再生のように再構成されていく。
大穴の中心から、地下水脈が地上に河を作るかのように滑らかな石畳が構築され始め、それが血管のように中心から末端へと広がっていく。
家屋が根から伸びるかのように構築され、広がっていく。
都市が―――瞬く間に育まれる。
「―――秘匿領域の都市と、要塞都市の材質は同じ……」
「「……!」」
不意に、思い出したようにワタル君が呟いた言葉が、皆の身体に衝撃を走らせる。
それで私も思い出したよ。
「そっか。秘匿領域は、世界が隠しちゃった場所。この世界の何処に存在するのか、詳しい事は誰も分からない……」
「です、ね……」
そもそも、今回の大穴だ。
あんな、底の見えない……何処に繋がっているのかもわからないものが自然に発生している筈もなく。
必ず、何処かには繋がってる筈だったんだけど。
「もしあの穴の繋がる先がそうだとしたら」
秘匿領域の博物館で目にしたジオラマ。
文明が興った黎明期の妖精種たちの暮らし……そこには既にアレがあった。
いつからか既に「在った」城塞が……都市が、常に彼等の営みを守ってくれていた。
だからこそ、妖精の文明は秘匿領域で発展した。
「―――つまり、エルフに文明を与えたのは……無明神。地底神が古代のエルフたちに文明を与えて育んだ善神だったってことですか?」
「つまり……何だ?」
「むしろ、お帰り願うんじゃなくて、最初から叩き起こして良かった……ってコト?」
「話し合うべきだったのかもね。そもそもまともに意思疎通したこと無いし、彼等が世界を滅ぼそうと考えているかなんて誰も分からないよね」
じゃれついている動物があまりにも大きすぎた場合、人は簡単に命を落としちゃうのと同じ。
彼等にそんなつもりはもとよりなくて、けどそこに「在る」だけで世界を簡単に破壊できちゃう存在……。
そんなの、最早神様と呼ぶしかないね、確かに。
あまりに高次元的な存在だ。
「ファック……。神そのものに世界をどうしようなんて気はさらさらなく。悪いのは良いように祀り上げ、それを悪用してる奴ら……ってなッ」
「あ、レイド君。無事みたいで」
「「おかげさーまで」」
「良かった。他の皆さんも―――ぐぇ」
「るみ!」
「ルミエールさん! いつの間にか魔獣が……一時はどうなるかと……!!」
ちょっと待った、本当に死んじゃう。
私いまレベル1なんだ。
そんな風に圧し掛かられたら……。
やがて飛竜が不時着した城塞上。
市街に溢れかえっていた筈の魔獣も、気付けばその全てが塵となって消えていた。
つまり、これは……。
――――――――――――――――――――――
【World Quest】 無明の要塞
【達成状況】
無明神オグド・アマウネトの撃破(clear)
黒幕の討伐(clear)
多くの協力とPLの活躍により、神の復活による
世界の終末は阻止されました。
メインクエストは終了となります。
また、秘匿と真実を繋ぐ新たな道しるべが拓か
れました。
本クエスト完全終了後、【要塞都市カストゥル
ム】に秘匿領域の新たなエリアと人界領域を繋
ぐ【無明の大穴】が設置されます。
以降、本クエストは「掃討作戦」へと変化します。
活動区域の詳細については戦略マップをご覧くだ
さい。
指定クエストの達成、魔獣討伐数に応じて【ギ
ルドポイント】及び【戦果ポイント】を獲得可
能。
【戦果ポイント】引き換え対象賞品は、クエス
ト終了後に公開されます。
【仕様】
本クエストでは、要塞都市全域を戦闘可能域に指
定。
現在の侵入可能区域はクエストマップに表示。
条件達成でエリアが解禁される場合があります。
【備考】
・開催:1/6日~1/7終日
・再参加可能/デスペナルティは特殊戦闘の規約に
準拠
――――――――――――――――――――――
そのクエスト文が現れた途端、都市の全体から歓声が響き渡る。
「「おわったああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」
長い……本当に長く感じたクエストの終わり。
まさか、こんな落としどころとは。
「―――新マップの解放とか都市の再編とか魔神王とか色々詰め込み過ぎだろ……。覚えきれんわ」
「記憶が穴だらけになるゥ……」
「無明にも穴はあるんだよな……」
「むしろあのままだったら穴しか存在しなくなる所だったんだけど」
「そら穴まみれよね」
「……どうする? この後」
「考察パートでしょ。沢山のヒントが出て、そろそろ全部分かりそうで―――」
「決まってますわ! そりゃあ戦勝パーティーに―――」
「どうする。共に掃討へ行くか、小さき剣士」
「ん? うでくらべ?」
「うむゥ、参るか! 魔族騎士と力比べできるとは!」
あれだけ楽しんだのに、皆まだ足りないんだ。
むしろ、これからが本番みたいなテンションで。
「さぁ、ルミエールさん!」
「いっしょにくる?」
………。
「気付けば日付変わっちゃってるじゃないか。バベルさん達にありがとうして今日はお休みだよ」
「「えーー」」
けど、確かな事として。
どうやら、今回も何とかこの世界は滅亡は免れたらしいよ。




