表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルーキスinオルトゥス ~奇術師の隠居生活~  作者: ブロンズ
第一章:ログイン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/279

第14幕:道化師さんの噂

348:名無しの道化師

という訳で、俺も転職しちゃいました

反省も公開もしてないけど、めっちゃ難しいわ




349:名無しの御者

≫348

公開できないレベル自白してるの微妙に後悔してるっぽくて草

例の人、トラフィークで噂になってるよな

仕事で乗せたNPCとかも話してるんだけど、実際に見たっていうのは東部区画の広場ばっかなのに、都市中とか快挙だろ

今まであったか?




350:名無しの鍛冶師

初見。NPCの反響が凄いから、噂が大きくなりすぎてる感あるけど、実際どうなの? 

道化師ってハト出すだけの連中だろ? スキルだけ使ってもレベル上がらないらしいし。




351:名無しの行商人

実際にみたよー。あれヤバいわ




352:名無しの農耕者

普通に神業。マジで瞬間移動するし、聞いたらレベルもちゃんと上がってるらしいよ。




353:名無しの吟遊詩人

誉め言葉に「普通」を付けるな定期

あと、見たこと無いから実際にどう凄いのか普通に感想文よろ




354:名無しの考古学者

あの人のせいで黒鉄商店って店がリンゴ屋になったの嗤うわ

偶数週の真ん中でやってるからどうぞよろしくって




355:名無しの吟遊詩人

嗤うな笑え




356:名無しの司書

農耕者ニキネキあの美人さんとお話したの? 神じゃん。

マジ尊敬すらわお前ふざけんな連絡先聞いてこい、あくしろ




357:名無しの料理人

≫356

豹変誤字ニキ怖




358:名無しの農耕者

見た目無表情だけど凄く優しいしフランクだから自分で行け定期

あとネキな




359:名無しの採掘士

OK、コンビニ行ってくる




360:名無しの修道士

なにを分かったの?

私の揚げチキンもよろ。あとコーラ




361:名無しのコンビニバイト

フランクとは

人柄・意見・態度が素直で遠慮や隠しだてをせずに本心を打ち明けること、又はそのさま。

…ワクペディア引用

だからそのフランクじゃねえ

あ、いらっしゃいませー!




362:名無しの考古学者

≫361

未来職業捏造兄貴面白いからやめてWW




363:名無しの建築士

どっかの板で触れられてたけど、あれってルー〇スオマージュなのかね




364:名無しの吟遊詩人

≫361

それ。

でも、偶然二次職で道化師選んでアバターガチャ金髪青目とか凄くね?

マジもんのルーキスやん。




365:名無しの鍛冶師

むしろガチャ大当たりしたから転職したんじゃね?

いま、引退でメディア阿鼻叫喚してるし




366:名無しの演劇者

ルーキス様と聞いて

本当になんで引退してしまったんですの……よよよ




367:名無しの樹木医

ガチファン何処にでも湧くな

俺結局一回も見たこと無いけど、そこまでか?

掘り返すけど、何度か道化師見たことあるけどマジで道化だったぞ




368:名無しの薬師

エアで貶すなカス

今日つくった新薬てめぇで試してやろうか

私は奇術師様のおかげで試験にも受かって可愛い彼氏も出来て一流企業に合格した夢を見たんだぞ




369:名無しの考古学者

≫368

こy




370:名無しの御者

≫310

かなり上の話題掘り返すけど、何処で馬車とか手に入れるの?

マジでわからんのだけど




371:名無しの厩務員

それ、レンタルらしいよ

マジで高いらしくてプレイヤーで持っている奴ほとんどいない――



 ……。



 ………。




  ◇




 しょりしょり―――しょりしょり


 パラパラぱらり……と。



「馬車…やっぱり欲しいな。はてさて、何処で販売していることやら」



 果実の皮を剥きながら。


 外の景色を、扉のない入り口から伺う。

 相変わらず活気のある通りでは、毎日のように大量の馬車が通行していて、御者席に座る者たちの中には、確かにプレイヤーもいたり。


 …あの乗り物は。

 彼らの所持品なのかね。


 そう簡単に手が出るようなものでは無いだろうけど、いつか自分の馬車を手に入れたい。


 それが、当面の目標…かな。



「凄く上手ね、ルミエさん。その短剣、結構大振りなのに」

「ああ、こういうのは得意でね」



 ピートの薄皮を剥くと。

 中からは、真っ白な果肉。

 本当に、真っ黒な外見以外はリンゴそっくりなんだよね。

 勿論味もサイコーで…いや。

 あちらより果汁が豊富だし、普通のリンゴより好きだね、私は。


 現実にテイクアウトしたいくらいだ。



「でも、こんなことに使いたいって言ったら怒られると思ったんだけど。本当に良いのかい?」



「……そうねぇ。人次第だけど、私は大切に使ってもらえるなら」

「僕は結構うるさく言う方だけど、あんなもの見せられたらね。これからも手品に使うっていうなら、むしろ血生臭くなくて良いかな…あ、頂きます」



 テツ君作の牙製ナイフ【白爛】

 大振りの短剣で皮むきをして、二人に供する。

 断ってから使ったけど、本当にどう使うかは個人の自由によるらしいね。

 これからも白兵戦闘で使うことは少ないと思うから、もっぱら手品の小道具やピートの皮むきに使わせてもらうかも。


 …これを作成してもらってから、数日。

 すっかり仲良くなってしまった二人は、今では良き友人だ。



「……ルミエさん。今からでも遅くないですから、テツとふれんど解除したらどうです? あれからずっと、気付いたらニヤニヤしたり、入り口見たりしてるんですよ」

「ふふっ、楽しそうだね」


「――二人でなに話してんの?」

「女同士の内緒話でーす」



 面白い子たちだ。

 まるで、幼馴染のようなやり取りに。何処か懐かしいモノを覚えて。


 思わず、頬も緩むというもの。


 さてもさても…どうだろうね。

 この胸の高鳴りは。

 確かに、この光景が微笑ましいというのもあるのかもしれないけど。やっぱり、この後の予定が楽しみなのが大きいのかな。


 ゆったりした時間を過ごしていると。


 ナコちゃんが、何かに気付いたようにこちらを見て。



「――ルミエさん、なんだか嬉しそうね」

「おや、分かるかい?」

「……うん、確かに。なんか、口角が上がっているような、上がっていないような」



 素晴らしい。

 二人は、良いメンタリストになれるかもね。



「暫くぶりに、幼馴染に会うんだ」



 そう、そうだとも。

 実は、今晩は親友が家に来てくれるんだ。

 だから、いつもよりも若干ワクワクしている。


 その話を聞いて。

 二人は身を乗り出す。

 


「――興味あるな、それは」

「どんな人? ルミエさんの幼馴染なんて、凄い人としか思えないんだけど」



 随分高く買われたものだ。


 でも、どんな人…ね?

 彼女からすれば、案外神様みたいなものなのかもしれないな。なんせ、トワはこの世界を創造した開発者の一人、紛れもない天才なのだから。


 しかし、それを言う訳にもいかないので。

 敢えてぼかして二人に伝えるとするのなら……うん。


「とても可愛らしいちんちくりんだね」

「…可愛い」

「ちんちくりん? …同年代なんですよね?」

「それが面白いことでね。私と同じ年齢なのに、とてもちっこくて可愛いのさ。もしかしたら、十代前半…より下にすら思われるかもね」


 「そんな、馬鹿な」「マンガじゃあるまいし」

 二人は口々に言うが、事実は小説より奇なりってね。

 こんな世界を造ってしまえるような鬼才が、普通であるという方がおかしいのさ。


 勿論、私も普通とは言えない。

 ちょっとした変人だ。

 サクヤだって、事務の怪物。

 だからそういう事だってあるし、敢えて言うのなら…。



「この世界に「普通」なんて無いのさ。どう思うかは人それぞれだけど、皆がみんな特別な感性を持っていて、素晴らしい可能性を秘めている。勿論、テツ君とナコちゃんにもね?」

「…えへへ」

「いやぁ…へへへ」



 うん、似た者同士だ。

 二人一緒だと、その魅力が引き立つね。

 ナコちゃんはとっても元気で可愛らしいし、テツ君は真面目で良い職人さんだ。

 両者共に、無二の武器を持っている。


 

「――でも。異訪者の国に、小人はいないんですよね?」

「そうだね。だから、より一層希少価値があって可愛く見えるのさ。とても真面目な子で、多分今もいそいそ働いているんじゃないかな」



 忙しいと聞いている。

 大規模サーバーの管理なんて、想像したくもないしね。


 小一時間。


 三人で、その手の話題で盛り上がり。


 お昼時を過ぎた頃には。

 随分と、通りに人が増えて。

 この店にも、チラホラと常連らしき人々が入り始める。



「――すみませーん。武器の手入れをお願いします!」

「あ、はーい。今行きますよ」



 そう言って駆けていくテツ君。


 ひた向きで、いい子だ。


 仕事の依頼も、ね。

 大切なことだとも。

 何処ぞのお店とは大違いに繁盛することが予想される工房。今に、談笑の時間なんて無くなってしまうだろう。

 だから、迷惑にならないうちに。



「――では。繁盛しているみたいだし、私はそろそろお(いとま)するよ。帰って準備をしないといけないからね。テツ君に、よろしく伝えておいて」

「はい。――また来てくださいね?」



 勿論来るとも。

 ここは居心地が良いからね。

 可愛らしい友人へと。手を振って、意思を伝え。


 勝手口から屋外へ出る。


 すぐ前を駆け抜ける馬車。

 簡単な荷物を運ぶ伝令や飛脚。

 これこそ、通商都市の名を持つトラフィークの日常。私は未だにこの都市以外のエリアを知らないけど。

 これ程目まぐるしく移りゆく景観は、そうないだろうね。

 


 ……さて。


 こんなに良い景色をプレゼントしてくれた友人が来るんだから。



 ―――出迎えの準備をしておかないと…ね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ