【71】Red Stalker-4
僕はマリアに電話を掛けても繋がらない事に異状を感じて、心配になり尚吾へと電話をして水谷の事務所へと向かう事にした。
僕は電車に乗り、一度アパートを確認してもそこにはマリアは帰って居らずに。そのまま水谷の事務所へ行くと、そこには尚吾と零士も訪れていた。尚吾は僕が辿り着くと何か有ったらしく駆け寄り両肩を掴み
「マリアちゃんも行方不明なんだろ。さっきエミに電話しても繋がらなくて、水玉に行ったんだけどバイトにも出て居なくて行方不明なんだよ! 」
「マジか。尚吾の所もかよ...... 。」
そんなやり取りをした後に、それを見ていた水谷が立ち上り
「冨永零士君、ここまでやってRed Stalkerに動きが無さ過ぎます。郵便受けを見てきてください。」
そう言うと。皆の分のお茶を用意してソファーのテーブルへと並べ、冷蔵庫からシベリアを取り出してソファーへ飛ぶように座った。零士は郵便受けを見てきたが、特に手紙は来ておらずに弁当屋のチラシだけが入っていた。水谷は弁当屋のチラシをマジマジと見てテーブルに置くとシベリアを噛り、皆にソファーへ腰を掛けてシベリアを食べる様に言った。
僕達はソファーへと座りテーブルの上のシベリアを手に取り、僕は先にお茶を飲みながら
「水谷さん。こんなにゆっくりとしていて大丈夫なんですか?」
水谷はシベリアをお茶で飲み込むと、指でテーブルをなぞりながら
「大丈夫です。しかしこれは明らかに、この探偵事務所への挑発であり。Red Stalkerはゲームとして楽しんでいます。反応を見たい筈なのに動きを見せない事がこの事件の違和感です。先ず動きとして警察に連絡を入れたり、SNSでの動きを見せたりで反応をすると思いますが。それは危険ですので相手の指示を待ちたいと思います。クリスマスにサンタクロースを意識した赤い追跡者なんてふざけ過ぎです。」
そう言うと、水谷のスマートフォンが鳴り。遅れて僕と尚吾のスマートフォンも音を鳴らした。僕達3人は慌ててスマートフォンを取り見てみると、Mine noteのDMでRed Stalkerからの通達であった。僕にはマリアの、尚吾にはエミの、水谷には千香子の動画が添付されていた。
3人とも椅子に縛られており、目隠しをされて何かを叫んでいるが音声は無く。動画の終わりにクリスマスをモチーフにしたらしい文字で『メリークリスマス 12月24日18時からプレゼント交換をしましょう。』そう書かれた画面へと切り替わり、そこからは一人一人文章は違っていた。
水谷へは
『光りと闇を交互に宿す獣の近くの森で、淡い桃色の毛の衣と大切な物を交換しましょう。』
尚吾へは
『燃える色の塔の下で、色取り取りの儚き輝きを散りばめた包みと大切な物を交換しましょう。』
僕へは
『大きく輝く玉葱近くにて、十の穴空く革の靴と大切な物を交換しましょう。』
そう書かれていた。僕達は頭をピサの斜塔の傾げながら、3人揃ってシベリアを噛りお茶を飲み。水谷は
「悔しいですが、従うしかなさそうですね。場所も物もバラバラで上手いこと分断されて居ます。この程度の事なら各々で対処出来るはずですので、Red Stalkerを捕まえるのはこの指示に従ってからお互いに連絡を取り合ってからにしましょう。零士君は各々のサポートに回ってください。それまでは監視の目を警戒してお互い離れて居ましょう。」
そう指示を出して。お茶を飲み終えると僕達は散会して、各々のRed Stalkerの注文を考える事にした。先ずは場所よりも物が先決で有り、その指示からするに僕は商店街の靴屋へと行った。僕は靴屋へ入り靴を見ながら『十の穴』に付いて考えているが一向に判らず。僕はアパートへと戻り、マリアの居ない部屋で一人でテレビを見ていた。




