【70】Red Stalker-3
今回の園部千香子誘拐のRed Stalkerには手掛かりは薄く。Mine noteで『Red Stalker』のアカウントを見付はしたが更新もされて居らずにアカウントページにはクリスマスの風景を背景に、アイコンにはサンタクロースの格好をしたまっ黒い目と口が白く穴の空いた様な人物が不気味に笑っている物であった。
水谷はそれを見てもヒントを導き出せずに眺めるばかりで、僕はそんな水谷を見ると不安になり
「水谷さん。千香子さんは無事なのでしょうか?」
「それは正直判りません。普通はここでアクションを起こして相手の反応を見るのでありますが。それよりも幸島岳大君と高城尚吾君にも同じ手紙が来て居ますので二人は家に帰ってください。」
そう言って。僕と尚吾はお互いマリアとエミへ電話をすると、僕達も分かれて家へと帰る事にした。
アパートへと帰り着いたが、マリアはストリートライブへ出掛けているので僕は一人でパソコンの画面を眺めたりテレビを見たりしてやり過ごした。その時間はいつもよりも長いものに感じて、僕はコーヒーを淹れようと流し台に立つと。一人で居た時とは違い綺麗に片付いた状態が何故か心に染み付いた。
たまには僕が何かを作ろうと夕飯の支度をすることにし。ご飯を炊きながら冷蔵庫の挽き肉と玉葱を見付けるとそれを甘辛く炒めて卵で包みオムレツを作って、付け合わせにベーコンをカリカリに焼いて添えて完成した。
不安な気持ちは少し有ったが、何事も無くマリアは帰宅して二人で食事をした。話した方が良いのか悩んだが不安を煽る事も良いことでは無いと思い、千香子の事は話さずに僕は物騒で有るから気を付ける様にとだけマリアに告げて食事を続けた。そんな中でも僕の作ったオムレツを美味しそうに食べるマリアを見ながら微笑みを溢し、食事を終えて食器を洗った。
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12月22日
僕は目を覚まして水谷へ電話をした。水谷は昨晩から千香子を捜しているが一向に見付かる様子も無く、僕と尚吾には待機の指示を出して更にRed Stalkerの情報を調べていた。
そんな状況も知らないマリアは、今日もストリートライブへとT区のU駅へと向かった。僕はマリアに事件の事を知らせる訳でも無く、こっそりマリアの後を追い見守る事にした。U駅へ向かう電車に乗ったマリアを見掛けると、僕は1両別の車両に乗り。マリアがU駅で降り僕も見付からない様に離れて降りると、U駅の広場でストリートライブの準備をするマリアの様子を離れて見ていた。
いつもの様にマリアは誰も居ない広場でギターのチューニングを始めて発声の練習をするとギターを弾き始め、そこへ徐々に人がワラワラと集まり始め。そしてマリアの曲の演奏が始まりだした。
僕はストリートライブが始まると2時間は同じ場所で歌い続けるので、その間に近くに在る動物園へと歩いてそこで缶コーヒーを飲みながら動物を見て周り。30分程した所で一度駅前の広場に戻りマリアの事を確認に戻った。そこではまだストリートライブを行っており、まだ前半の曲を歌っていたので僕はハンバーガーショップへ向いそこで時間を潰す事にした。
そこで僕はイチゴパイとカフェオレを注文すると、ハンバーガーショップの駅前の広場が見える2階へと行きイチゴパイを噛りスマートフォンを眺めカフェオレで流し込んでいた。そして僕はマリアのストリートライブへ目を移すと。
そこには誰も居なかった。
見間違いかと目を擦り、周りを見渡したがマリアの姿もストリートライブも見当たらない。僕は慌ててハンバーガーショップを出て駅前の広場に向かったが、やはりそこにはマリアは居らず人集りも消えて。僕はマリアに電話を掛けたが繋がる事は無かった。




