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【69】Red Stalker-2




 陽も落ちる頃に僕達と尚吾は分かれて帰宅した。僕はアパートへ辿り着き、郵便受けを確認すると中に1通の封書が届いていた。僕は封書をマジマジと見るが表裏には何も書かれては居らずに、開けて見ると中には手紙が入っていた。手紙には



 始めまして幸島岳大さん。


 メリークリスマス。この幸せの複音成り響く年の瀬に貴方の大切な物をプレゼントとして頂きたいと思います。


  Red Stalker

                      』



そう書かれていた。僕はそれを読んで『大切』な物が何かを考えているとスマートフォンが鳴り、Red Stalkerなる者を警戒したが相手は高城尚吾であった。僕は電話に出ると


「タケ!俺の所にRed Stalkerって奴から手紙が来てさ。大切な物をプレゼントとして頂きたい。って書いていたんだ!」


そう言うので、僕は自分の所にもその様な書簡が来たの事を尚吾に告げると。明日二人で水谷へ相談する事で話しは纏まり、僕はこの事は不安を与えない為にもマリアには教えない事にした。



◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️



12月21日



 僕は朝から水谷の事務所へ出向く事にし、マリアは今日もストリートライブへと出掛けて行った。僕は町の商店街に在る水谷の事務所へと辿り着くと、そこには尚吾が先に着いていた。そして僕と尚吾の下に届いていたRed Stalkerからの手紙は水谷の所へも届いており。水谷のデスクの上に取り合えず3枚の手紙を並べて見たが、どれも同じ文面であり新しい発見は特に無かった。


 そして水谷はその手紙を見ながらコーヒー飲み



「大切な物を頂きたい。と仰っているのですが、大切な物が皆目検討もつかないのです。」


そう言うと。尚吾と僕も


「俺もこないだ買ったパソコンの無事を確かめたけど、盗まれる様な事も無いし。」


「僕も夏目葉石先生の初版本を確認したけど、大丈夫だったよ。」


水谷は首を傾げながら、手紙を手に取り


「この手紙の送り主が、同一人物である事は確かです。そして切手も消印も無い事から、近しい人物となります。しかしそれは心当たりも有りません。クリスマスをネタにこの様な事件を考えるだなんて、余程の愉快犯だと考えられます。」


僕は水谷の言葉に


「それだったら、マリアはシロですね。僕と尚吾と一緒に居たので。」


そう言うと。尚吾は


「それを言うなら。実は俺とタケと、この事務所の3ヶ所を知っている人物って居ないんだよな。零士は事務所しか知らないし、ぺチコさんは俺の家は知らないし俺達の周りで居ないんですよね。」


そんな会話をしていると、千香子の所で働いている和恵が事務所を訊ねて来た。和恵は赤いワンピーススカートにピンクのカーデガンを着てその上にブランド物のコートを羽織っていた。余りに気にして居なかったが、和恵は20代後半の清楚な美しい女性へと変貌していた。



 しかしそんな事はどうでも良く、和恵は不安そうな顔で水谷に


「今朝から、千香子さんが行方不明に成りまして。連絡も付かずに家へと捜しに行ったのですが、どこを捜しても居ないんです。そしてこんな手紙が...... 。」


そう言うと、手紙を差し出してきた。その手紙には


『水谷珠樹さん

 貴方の大切な物はプレゼントとして頂きました。

   Red Stalker』



そう書いていた。水谷はそれを見るや頭を抱えてデスクで考え込み


「大切な物って、福々屋のシベリアだと思っていました......。ぺチコさんを誘拐されるなんて......。」


そう呟いて流し台へと歩き。冷蔵庫からフワフワのカステラに羊羹をサンドされた、シベリアと呼ばれるお菓子を取り出すと僕と尚吾と和恵に配り


「慌てても仕方有りません。幸島岳大君、お茶を入れてください。」


僕達は千香子の誘拐を受けたが。ヒントが余りにも少な過ぎる為に、シベリアを噛りながらRed Stalkerに関する物を調べ始めた。





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