【65】Psycho Jack-2
僕と零士は新発売のスマートフォンを買う列に交代で並び、既に十時間が経過しており。それでも発売開始まで、まだ十二時間程有った。
「兄弟子、お腹空いたでしょ?俺、何か買って来ますよ。」
零士はそう言って僕の返事を待たずに、食事を買いに出掛けてしまった。きっと退屈になって申し出たのも理解できるので任せる事にしたが、何が食べたいのかも訊いて来ないで行ってしまったので。僕は少しだけ心配になった。
しかし先程のPsycho Jackの事件は少し気掛かりで検索を掛けてみると。直ぐにMine noteでPsycho Jackのアカウントに辿り着き。案の定ポルカドット611のフォローをしており。ポルカドット611の投稿をシェアしていたりもしていた。
水谷風に推理をしてみようとも考えたが。この様にアカウントまでハッキリとしている上に今回は警察の仕事だと判るので。自分達の出番は無い事は一目了然であり。それ以上の事を考えるのは止めた。
暫くすると零士が紙袋を持って戻り。零士は嬉しそうに僕へ
「これめっちゃ美味いんですよ。」
「何を買って来たの?」
「さあ。何ですかね?」
「勿体振んなよ。めんどくさい。」
僕は零士の持つ紙袋に手を突っ込んで。中の物に触れると何だかゴムみたいな感触で、ヒンヤリとした温度で少し太目の棒状の物が入っている。
(ハムか?)
そう思い。紙袋から取り出した物を見て僕は恐怖にひきつり
「うわぁあぁあああああ!!! 」
叫び声を上げてしまった。何とそれは子供の足であり。切断面が生々しく骨と肉を見せ僕は地面は落とすと。零士も驚き
「何だよ!コレ!いつの間に!」
そしてそれは周りにも伝わり。新製品のスマートフォンを待ち並ぶ列は阿鼻叫喚の騒ぎになり。零士は弁解しようと紙袋からビニールに包まれたホットドッグを取り出して
「俺、その先のホットドッグ店でホットドッグ買って来ただけで店を出る時まで。そんな物入って無かったのに!」
「零士落ち着け。誰かにぶつかったりしなかったか?」
「いえ。誰ともぶつかったりしてないです。」
「じゃあ後ろから入れられたんだな。」
そう話していると。僕と零士の元に数人の警察官が駆け寄り、誰かが通報して話をしたらしく。その場で零士は死体損壊遺棄の疑いで身柄を拘束されてしまい。僕も事情を説明するが、零士の解放には至らず。僕は水谷に電話をして零士の保護をお願いした。
この騒ぎに新製品のスマートフォンの発売は延期と成り。整理券を配られて後日の発売と店の従業員から説明が有り。行列は解散となった。僕は整理券を受け取ると水谷へ連絡をし。零士が身柄を拘束されている警察署へと向かった。
警察署へ着くとそこには既に水谷が着いており。水谷は真面目な顔をして僕に
「防犯カメラも確認してもらいましたが。冨永零士君の背後に人が映った映像も無く。お店の方でも確認が取れないので冨永零士君の開放は真犯人を捕まえる以外には難しいと考えられます。幸島岳大君。もう一度現場を確認してみましょう。」
そう言うと足早に現場へと向かった。水谷は防犯カメラの位置を確認しながら周囲を歩き。零士の行ったホットドッグ店へと着くと水谷はチーズチリドッグを2つ注文し。1つを僕に渡すと食べ始めた。僕もチーズチリドッグを食べながらスマートフォン販売店へと歩き始めて。また防犯カメラの位置を確認していた。
そして水谷はもう一度ホットドッグ店へ戻り。次は僕に前を歩かせて後ろを付いて歩いてきていた。そして水谷は行列の僕の居た位置へ立たせて離れて見ていた。幾度も一緒に事件に関わっているが現場検証ではなくて。水谷は今、Psycho Jackのロールプレイングを行いトレースしているのだと理解した。




