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【63】Reptilian-8




 水谷はK公園内で喫煙所を見付け煙草を咥え周囲を見渡すが。それらしき者も見当たらずにサーモグラフィカメラで、もう一度確認してみた。しかしそれでも熱反応は特に見られない。


「イャヤーーーーー!!!」


夜の静かなK公園で叫び声が広がった。水谷は全身を襲う緊張感を振り払い悲鳴の方へと駆け出した。


 息を切らして走って行くがなかなか現場は見当たらない。そして数分走ると、遊歩道の真ん中に女性物のバッグ落ちている。物取りではなく女性自信が狙いでReptilianの可能性ぐんと高まり。女性は茂みへ引き込まれている。水谷はライトで茂みを照らすと女性に覆い被さる髪の長い男の姿が映った。男は暗闇の中で威嚇するように水谷を睨み付けている。水谷がそれを確認すると、男は即座に水谷へと飛び掛かって来た。


「最悪です。」


水谷はそう呟くと。そのReptilianと思わしき男は物凄い速度で水谷との間合いを詰めて。その距離は数十㎝まで近付いたその時に水谷はライターで男の目の前で火を点けると激しい閃光を放ち。Reptilianと思わしき男は


「お...おぉあぉ......」


そう呻きながら頭を押さえて丸まった。その隙に水谷は


「マグネシウムですよ。暫く目は使えないでしょう。」


そう呟き、2つの液体をReptilianに浴びせると女性の手を掴み起こし。一生懸命に走ってその場を離れた。息も絶え絶えになりながら。そして離れた広場に二人は辿り着くと。女性にバッグを渡し。水谷はスマートフォンで千香子へ電話をし


「乙野夜君に伝えてください。Reptilianにマーキング成功。アンモニアと夜行塗料です。」


そう言うと10数秒後に『パーンッ』と言う音が静かな公園の中に響き渡った。


 水谷は知人の警察官に電話を入れて応援を求めた。それから水谷がReptilianの確認に向かうと遊歩道の脇にReptilianは倒れていた。遅れて乙野と千香子も集り。暫くして警察が到着し、何百人もの死傷者を出し続けたReptilianは遂に捕獲に至った。


 Reptilianは左り腹部に被弾し呼吸が出来ずに動きを止めていたが、まだ息があり。警察官の捕獲に対して抵抗を見せ。数人の警察官は軽傷を負いはしたが捕獲に至った。


 水谷達はReptilianを遠目から眺めていた。文明に触れる事無くに長年生きてしまった悲哀と、残虐性に持つ好奇と、これからの被害を食い止められた達成感とが入り乱れる中で。担架に縛り付けられながらも叫ぶReptilianの雄叫びが都会の中の静かな一画に響き渡った。


 この騒がしい程の惨劇は、静かに各々の心に不快な欠片を残し幕を閉じた。


 相も変わらずこの街は1つ角を曲がれば。何事も無かったかの様な違う世界が広がる。良くも悪くも有るが、そのお陰で自分達がどの様な狂気に晒されたとしても帰る事が出来る。そんな安堵に似た気持ちが胸を掠めた。


 そのまま水谷達は解散する予定で有ったが、『千香子のラーメンを食べたい。』との一言で水谷と乙野は三人でラーメン屋へと寄り。三人の同期生としての会話に花を咲かせた。千香子が


「事件の時、以外でもたまにはこうやってご飯でも行こうよ。」


そう言うと水谷は


「水玉に行けば会えるじゃないですか。」


「それだと俺は仕事中じゃねーか。」


乙野とそんな掛け合いをし。千香子はそれを見て笑った。それから水谷と乙野は千香子を家まで送ると。その帰り道に


「ぺチコさんも帰ったから、たまには二人で飲もうか。」


と乙野は通り沿いの居酒屋を指差した。水谷は


「良いですけれど。あそこでは無くBARにでも行きましょうよ。乙野夜君。アイラ産のスモーキーなウィスキーが飲みたいです。」


「そう言えば、あの時もウィスキーで〆たな。」


「そうでしたっけ?」


そんな事を言いながら二人は肩を組んで、商店街の近くに在るBARへと歩いて行った。




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