【62】Reptilian-7
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11月6日
U公園の近くのビルの屋上で乙野と千香子は待機して。水谷はU公園のベンチに座りReptilianの動きを探っている。水谷はサーモグラフィカメラを取り出し公園内を確認している。熱関知で有ればどの様に隠れていても確認が取れるとの乙野アイディアであったが。
それは同時にReptilianの射程距離に入る危険も必然的に伴っていた。水谷はそれを引き受け危険を省みず公園内を探索している。しかし、それと行った反応も無い事に水谷は疑問を感じた。
「昨日の狼の糞がやり過ぎだったですかね。」
そう呟きながら喫煙所に寄り煙草を吸い始め。サーモグラフィカメラで辺りを見回している。葉擦れの音にも耳を向けながら。ターゲットと成りそうな女性が通る際はより警戒しているが動きは見られない。
水谷は今の現状を考えて、この街をイメージした。食料は。移動は。経路は。目的は。そのパズルを頭の中で繰り返し、繰り返し組立て続けた。何通り。何十通り。何百通り。動物として獣として本能よりも更に深い原始的な衝動をイメージして。
煙草を吸い終わる頃には水谷はスマートフォンを取り出して何やら検索を始めた。そして次に地図を見てこの周辺を確認し、千香子へと電話をすると3人は移動する事になった。
「次の駅で降りますよ。」
水谷がそう言って辿り着いたのは武道館の在るK公園であった。周りには木々が生い茂り木陰も多く人通りも有る。唯一障害となる警察署が近くに在る事も、人間なら考慮もしようが。原始的な衝動で動くReptilianから見れば関係無い。確かに人間を動物が狩るならうってつけで有る事は解るが移動した根拠は乏しかった。千香子はその事を水谷に質問すると
「U公園で今日はReptilianの反応は全く見られませんでした。まだ目的を達成する事無く現れないとなると彼にとって重要な事を考えられる。食事と繁殖に次いで重要な事と成れば彼にとって寝る所ですよ。絶対的に睡眠を邪魔されない状況。つまりは巣です。調べたのですが、今日廃虚となった建物の解体工事が1件有りました。きっとそれがReptilianの巣だったのです。そしてこれから寒くなる事を考え、食料の供給を考えれば南下します。その途中で目に入る木々が生い茂り人通りの多い地点と言えばここK公園ですね。」
「確率として十分ね。早速捜しましょ。」
「いえ。ぺチコさんは乙野夜君と公園内を見渡せる位置を探してください。探索は一人で十分です。」
そう水谷は右手を軽く上げてK公園内へと入って行った。乙野は
「他人の心配ばかりしている。あれが水谷くんの弱さだよ。だから早目にサポートできる様に行こう。」
そう言って移動した。水谷はサーモグラフィカメラを覗きながら遊歩道を歩いた。特に女性が通る度に木陰を映した。その中で離れた位置に人型の熱源が木々の間に有るのを発見した。水谷は気取られぬ様に普通に歩き近付いた。公園に入った時間を計算しスマートフォンを確認するが千香子からの連絡は無く。まだ準備は出来て居ない。
Reptilianに徒手で挑める能力は水谷には無い。その事からも水谷は人型の熱源を見張り止まる事にした。熱源が赤く染まり始めている。興奮状態に有ると思い、コートからオペラグラスを取り出して熱源を確認した。
するとそこにはReptilianでは無く。カメラを持った小太りな男が、盗撮行為に及んでいた。水谷はコートからスリングショットを取り出して小石でカメラを狙撃した。小太りな男はカメラが壊れ慌てている。水谷は遊歩道を歩きながら
「盗撮は犯罪です。」
そう呟きながら遊歩道を歩き探索を続けた。




