【6】Mine note-1
夏の眩い陽射しはレース状のカーテンに柔らかく諭されてテーブルの木目を緩やかに照らし。その先に尚吾と千香子が座っている。そんな中で僕は虚ろな心持ちでありながらも千香子へYellow Submarineの質問を考えていた。その間に尚吾は千香子へ身の回りの単純な質問をしていた。そんな中でふと僕の言葉が口から溢れた
「そうだ。肯定しかないんだ......」
僕のそんな言葉を千香子は見逃さずに
「それが岳大君が気付いたポルカドット611に付いて気付いた事ね。」
そう言った時に一人の女性が僕達のテーブルへと近付いて来た。そしてその女性は僕達に軽く会釈をすると
「Yellow Submarineのペチコさんですか?私、DMで連絡した『三浦朱美』と言います。」
「貴女が朱美さんね。私は園部千香子。ペチコよ。彼の隣に座って。」
そう僕に断りもなく着席を勧めるので。僕は窓際へと席を詰めた。朱美は清楚で大人しくあるが、目に力が有り内なる気の強さを感じる女性であった。そんな彼女は千香子に用件が有ったようで、その事を僕達が居る事も構わずに話し始めた。その時に僕は今朝の夢の様にスイカが空から落ちて砕ける白昼夢に襲われたが、朱美の声で我に帰り話を聞いた
「突然失礼します。DMで簡略的に記載しました通り。最近、私の友人である『友引郁恵』の事ですが。私と郁恵は大変仲が良く毎日電話でやり取りする程でした。しかし、先月から何か嫌な事があったらしく元気を無くしていたんです。それから昨日になって突然、朱美と連絡が取れなくなって。郁恵のアパートに行っても居なくて。私、心配でYellow Submarineのペチコさんに相談した所です。こう言った行方不明の件は早い対処が鍵になると聞いたのですぐに。」
僕は話を聞き何と答えるのかと、となりの朱美から目を逸らして千香子の方を見た。千香子は真面目な顔をして紅茶を啜ると
「1日程度で行方不明を焦るとなると、何らかの根拠が貴女の中で有る訳ね。それは何なのかしら?」
「郁恵の連絡が着かなくなる前にMine noteのサブアカウントで『#集団自殺』で投稿を上げて居たんです。」
「そのサブアカウントの事を郁恵さんは貴女に教えたの?」
「いいえ。郁恵がリンク貼った時に偶然見付けて。」
「なら急がないといけないわね。ちょっと連絡する所があるから少し待ってて。」
そう言うと千香子は席から立ち上ったので。この気不味い空気から抜けようと尚吾が
「それじゃ俺達もこの辺で......」
と言うと。千香子はそのままテーブルを指して
「貴方達もここで待ってて。」
そしてエミに小声で何かを伝えると。お店から出て行った。僕と尚吾は目を見合せて、それから朱美の方を見た。朱美はそれに気付くとペコリと頭を下げた。どうやら普通に礼儀正しい女性で肩ほどまで有る黒髪から覗く顔は整っており清楚と言う言葉が実に似合う女性であった。その間に尚吾は
「朱美さんは、この近所にお住まいですか?」
そんな単調な質問をすると。朱美は僕達を千香子の助手か何かと勘違いしているらしく素直に返答してくれ
「隣の駅でここまでは歩いて来れる距離です。郁恵も隣の駅で...。」
そう言うと、尚吾は鞄からメモ帳とノートパソコンを取り出して隣の駅周辺の地図を見せて
「この辺りですか?」
「はい。そしてここが郁恵の住んでいる所です。」
朱美が尚吾のノートパソコン上の地図を指差すと
「俺んちの近所ですね。」
とニコリと微笑んで親指を立てて見せたが。朱美はキョトンとしていたので。僕は尚吾に「お前の家は関係無いだろ!」と突っ込みを入れた。すると尚吾は頭を掻き始めて、それを見た朱美はクスリと笑い少し緊張が解けた様であった。