【58】Reptilian-3
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11月5日
一晩中Reptilianの詳細を調べ続けた水谷達であった。そして朝になり千香子は一旦家へと帰り。水谷と乙野のはReptilianの犯行現場を確認する事にした。
先ずはT区周辺を踏査する事にし、一昨日犯行が行われた雑居ビルの隙間を確認した。人がやっと一人通られる程の隙間で見付かった男性の遺体は服を剥ぎ取られており。刃物を使われた形跡も無く脛椎をへし折られていた。現場に剥ぎ取られた衣類は残っておらず持ち去られたと見られている。
「服が欲しかった......。」
そう水谷が呟くと。乙野は現場の狭い壁を見ながら
「根拠は?」
「他の犯行と違い。被害者は血を流さない様に殺されています。」
「オシャレでもしたかったの?」
「いえ。きっと匂いですね。血の匂いが着かない様に被害者が若い男性であった事からも体臭を意識しての事ではないですかね。そしてサイズ。被害者は180cmと大柄です。映像で見たReptilianの予想サイズがその辺りです。きっと新たな狩りに向けての準備ですかね。」
「それでは既に昨晩にでも行われているのでは?」
「依頼者の警察からはその様な連絡は入っていません。昨日行えなかった理由は......。もう少し周辺を見て回りましょう。乙野夜君。」
「はいよ。」
二人は移動して近くの公園へと移動した。公園は広場こそ在れ、樹木が生い茂り身を隠すには十分な影も在り。その風通しの良い広場の真ん中で乙野は鼻をスンスン鳴らした。そしてそのまま植え込みへと歩いて行くとそこには汚れた衣服が脱ぎ捨てられていた。
「乙野夜君は相変わらず鼻が良いですね。」
「蓄積した皮脂と汗による獣臭。汗にミネラル分は高いが塩分は低い。血と精液の匂い血が濃い。」
「触れもせずにそこまで臭いを嗅ぎ分けられるとはですね。」
水谷は脱ぎ捨てられた衣服を伸ばして並べ
「身長は180cm程で、付近に長い髪が落ちていましたが1メートル程の長さ太いですね。一度警察へ連絡して鑑識へ回して貰いましょう。協力者である事を印象付ける為にも。」
そう言うと水谷はスマートフォンを取り出して。知人の警察官を経由して連絡を入れた。そして速やかに警察の現場検証は始まり、2日前に脱ぎ捨てられた事も確認がとれた。水谷と乙野は現場を立ち去り600メートル程離れた位地のビルを確認した。乙野は
「水谷くん。もうこのゲームは終わった?」
「もう少しですね。血の匂い。衣服の交換。犯行の空く期間。獣臭。。。」
そう話している所へ水谷のスマートフォンが鳴った。相手は千香子であり水谷は直ぐに通話すると
「珠樹。私は今起きたけど。珠樹と夜は今も調査しているんでしょ?どんな感じ?」
その千香子の質問に、水谷は現状を報告すると
「ははぁーん。何となく私達や警察は少し勘違いをしていたかも。きっと犯行は今日も無いわ。もう帰って一旦寝た方が良いわよ。」
「ぺチコさんが言うなら。一旦帰って寝ますかね。」
千香子からの電話を切ると。水谷と乙野は二人で事務所へと戻ることにした。事務所へ戻る途中に銭湯を見掛けて水谷は
「乙野夜君。久しぶりに二人で風呂にでも入りますか?」
そう訊ねると。乙野は
「僕は猟をする時は自然の中で臭いを消す為に風呂には入らないよ。」
そう言うので。水谷は眉をしかめて
「それでは早目にReptilianを殺さないといけませんね。」
そう残念そうに事務所へと戻り。水谷と乙野はそれぞれソファーで毛布を掛けて寝る事にした。水谷は事務所を掃除している零士に
「冨永零士君は、幸島岳大君に連絡を取って。浮気調査などの調査系の仕事に取り組んでください。上から二段目の書類ケースに依頼書が入っていますので。」
そう言うと眠りに着き。零士は意気揚々と依頼書を取り出して幸島岳大へと連絡を入れた。




