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【56】Reptilian-1




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11月4日



 千香子は水谷の探偵事務所を訪れた。そしてUSBメモリを渡して水谷はそれをパソコンへと差し込むと中には『Reptilian』と書かれたフォルダがあった。水谷はそれをダブルクリックすると、Reptilian事件のニュースを纏めた動画と資料が合わせて入っていた。水谷は


「こうやって最近の技術を見ていると、昔の推理ドラマやアニメを思い出します。あの時はフロッピーディスクでやり取りをしていましたが。今考えると大したデータは入って居なかったでしょうね。多分、学級新聞以下じゃないですかね。」


そんな呑気な事を言いながら動画を再生し、資料のファイルも開いて観覧した。千香子はその資料に合わせて


「『心の無い犯罪Reptilian事件』通常の殺人事件に関する物は必ず事件現場に感情が残されていたの。例えば複数に渡る刺し傷は怨恨や不安。劇場型であれば儀式に対する敬意。連続殺人に見られる執着心。犯人は証拠を残さなくても、そう言った感情を現場に残して行くの。しかしこの事件は真逆で、血痕、指紋、兇器、被害者、加害者の映像等の証拠は溢れているのに対して動機や感情が何一つ残されて居ない。ロールプレイング出来ずに追い掛けられない。見付けたとしても殺される。全てが残って居るにも関わらずに犯人を捕まえられずに居る事件。その心の無い冷血さから空想上の恐竜から進化を遂げた人類を表す『Reptilian(レプテリアン)』と犯人は呼ばれている。」


そう説明した千香子へ水谷は流し台へ向い。切った羊羹とお茶を手渡した。そして自分も羊羹を噛りながら


「事件は3年前の公園に設置された映像から始まりますね。20時47分U公園で帰宅途中の女性Hさんが何者かに襲われる。何の躊躇も無くHさんの衣服を剥ぎ取りレイプに及ぶ。その最中にHさんの悲鳴を聞き付けた会社員男性が止めようと入った瞬間に心臓を的確に刃物で一突きし。その後に頸動脈を切ると、そのまま性行為を続けた。犯人は性行為を終わるとHさんに興味を無くし男性会社員の遺体の衣服を剥ぎ取り。刃物で肉を削ぎ口に含み飲み込んでいる。そして遺体の一部を食べると犯人はそのまま何事も無く事件現場を立ち去っている。」


「そう。そしてその後、短期間で1週間の間に同様の事件を三件起こし。その被害者の女性は3人とも妊娠しており。聴取をしたが恐怖の余りに記憶障害を起こしている。そして殺害された男性の切り取られた肉片はどれも400g程度で適度な食事量として食べられた感が有り。どれも柔らかい部位を切り取られていた。それから半年間犯人は姿を消す。現場に残された指紋や血液、映像から一致する人間は現れず。これまでに同様の事件を3年の間に42件起こしているが未だに逮捕出来ずにいる。」


そう答える千香子に水谷はお茶を飲みながら。また資料に目を通して


「金品が奪われた形跡は無し。まるで文明を知らない獣ですね。」


「不条理では有るけれど合理的。それは私達の持つ常識とはかけ離れた物だけどね。」


「これ、やっぱりぺチコさんは外れた方が良いんじゃないですか?」


「私がその言葉に頷くと思うの?」


「いいえ。しかし外れて欲しいとは思います。危険過ぎますから。被害者の中に訓練を受けた警察官が10名も居ますし。中には大手警備会社のアスリートだった人間も居ます。犯行の映像を見る限りぺチコさんが得意な交渉も使えるとは思えませんし。」


「私は現場には行かないから大丈夫よ。」


そう千香子は微笑み。お茶を飲みながらソファーに腰掛けると羊羹を食べ始めた。水谷はその間にも資料に目を通し。地図を広げてマーキングをしている。



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