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【53】Maria-4




▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲



 マリアがコンビニから帰る前に。ライブハウス『ロコライブ』ではデリバリーデリンリジャーズがリハーサルを終えて。スタッフが客入りに向けて会場の準備をしていた。


 その時にデリバリーデリンリジャーズのURICOはステージに登り立ち位置を確認する仕草をするとニヤリとしながらステージを下りた。


「マリアの奴、恥かくといいわ。」


そう呟きながら控室へと戻って行った。マリアは何も知らずにライブに向けて準備運動にストレッチを始め


「タケ達が観に来るから気合い入るなぁ。」


嬉しそうに呟くと。床にペタンと股割りをして身体を床に付けた。


 そしてオープンの時間となり会場に沢山の人が訪れた。しかし、その客はデリバリーデリンリジャーズのアイテムのリストバンドを着けているために殆どがデリバリーデリンリジャーズのファンである事が判った。それもマリアは初のステージであり。急なオファーで宣伝もMine noteでしただけなので、そんなにファンが来る筈も無く。マリアは急に緊張に襲われた。


 マリアはステージの袖で緊張を飲み込もうと深呼吸を始めた。それを影から見ていたURICOは鼻で笑い


(初のステージで緊張しているようね。恥かくといいわ。)


そう心の中で呟き。マリアが楽屋へ引っ込む所をURICO率いるデリバリーデリンリジャーズの面々がステージに上がる準備を始めた。



――――そしてスタートの時刻19時になるとライブハウスの照明が落ち。ライブハウスの中は真っ暗闇に包まれた。



 ステージのURICOにスポットライトが当たり。そこだけが輝くとドラムの音を合図に演奏が始まり。その中から切り裂く様にURICOのエッジの効いた歌声が現れて。観客達は雄叫びを上げてデリバリーデリンリジャーズを称えると音楽は加速した。


 継ぎ目無く響く音の津波に観客は飲み込まれて行く様にデリバリーデリンリジャーズの音にURICOの動きに引かれていく。会場は激しく盛り上がり、楽屋へ漏れ入る音にマリアの鼓動は早くなり喜びと不安と緊張が入り乱れていた。


 その盛り上がりを見せた50分間はアッと言う間に過ぎていき。汗だくの観客の熱気が立ち込める中で照明は消えた。そして暫く時間が経つとライブハウスに明かりが点りインターバルへと入った。


 次の照明が落ちたらマリアの出番であり。マリアは緊張しながら。手の平の汗をジーンズで拭くとギターをチューニングして。もう一度握り締めて構えた。そんな姿を遠目にURICOはニヤニヤしている。


 そしてBGMが止み。照明が落ちた。マリアは暗闇の中でステージに上がるとステージは照らされギターアンプにシールドを刺すと一度だけジャランとギターを鳴らした。その時に観客はザワザワとし


「何でDDの後にコイツだよ。」


「何コイツ知らねーし。」


「Tube Lineで人気とか所詮偽物だよ。」


「ちっちぇーし。大して可愛くもねーし。」


そのざわつきはマリアを誹謗する物であり。マリアの中で静けさの中の陰口は心をざわつかせる距離であった。しかしそんな事を考えている暇など無く、マリアは気持ちを入れてマイクスタンドを合わせ


「こんばん...............。」


しかし、マイクの音が出ずにスタッフは慌ててステージに入り。マイクやスピーカーを確認するが判らず。代わりのマイクを持って来るがそれでも音は出なかった。マリアは咄嗟のアクシデントに色々な気持ちが溢れて涙が出そうになった......。


――――その時


「マリアっちー!頑張れー!」


「マリアちゃーん!」


「マリアー!」


そんな声がして振り返るとステージの前にかぶり付きで、岳大や、水谷に、千香子、それに数島謙吾、尚吾やエミの顔が見え声が聴こえた。マリアは涙を拭うとギターアンプの音を下げて、生声で


「アッシ!マリアと言います!アッシは死のうと思った時にタケや仲間に命は捨てるもんじゃなくて。命は燃やすもんだと気付かされました!アッシは今からステージで命を燃やします!届けーーーーー!!!」


そう響き渡る声で叫ぶと会場は静かになり。マリアはギターを鳴らし始め。皆がスポットライトの中でキラキラと輝くマリアに注目した。





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