【5】Green Shark Challenge -5
僕はレモンスカッシュのグラスのストローを摘み氷を一回転回してひと口飲むと。目の前の千香子は
「ポルカドット611」
そう呟き。僕はGreen Shark Challengeからのポルカドット611は関連性が無いにも関わらず注目していた事を千香子は簡単に意図付けて口に出した事に戸惑いレモンスカッシュの飲む口が一瞬止まった。その反応を見た千香子は僕に訊ねた。
「君もあのアカウントに興味を持ったのね。で、何でGreen Shark Challengeから私のYellow Submarineならいざ知らず。何でポルカドット611に?」
「いえ。正直にGreen Shark Challengeとの関連性としてポルカドットに辿り着いた訳ではありません。ただ数字がおかしい事から注目しただけでして。彼の目的も考えも全く判りません。」
僕はそう答えると。千香子はキョトンとした顔で僕に
「ちょっと待って。貴方は何でポルカドット611を『彼』と思ったの?性別は公表されて居ないでしょ?」
僕は翌々考えると何故『男性』だと思ったのか解らなかった。確かに一人称は『ぼく』では有るが、匿名性の高いSNSではネカマやネナベの類いはざらで。それだけでは根拠が薄いのである。僕は空を仰いで考えを巡らすが答えらしい答えに辿り着かずに
「何でだろう...」
と呟くと。千香子は
「そうね。なんとなくなのね。でも勘ってのも忘却した過去の蓄積から起こるもので。きっと貴方が忘れている根拠が有るのよね。」
そう言いながら紅茶を飲み、少し会話を休憩した。僕はそんな千香子を眺めながら、尚吾の方に時々目をやったりした。翌々考えれば答えの出ないポルカドット611の事よりも、目の前にYellow Submarineその物が在るのに対して、それを見逃す事の方が勿体無い事に気付いたその時に。千香子の隣の尚吾は
「もしかしてペチコさんって『ポルカドット』の事を調べるのに『水玉』繋がりでこの喫茶店に調べに来たとか?」
そう軽い感じで笑い混じりに千香子へ訊ねた。
「ペチコって呼んでくれてありがとう。私、結構その名前が気に入っているの。そうね。それも有るけど元々このお店は常連だったからお茶を飲みに来ていただけよ。」
千香子は素っ気なくそう答えると。僕はそんな千香子へとYellow Submarineに付いての質問をした
「千香子さんってYellow Submarineの創設者じゃないですか?それってGreen Shark Challengeに何か思い入れでも有るんですか?」
千香子はその問いに
「Green Shark Challengeって結局のところ洗脳による自殺強要で、つまりは殺人じゃない。でもそれで死んだ人達は自らの死と思っているし世の中もそれを自殺と思っているわ。画面の裏で創設者がほくそ笑んでいると思ったらムカつかない?そんな個人的感情よ。だから私は生きろとも言わないわ。」
「何か社会心理学の教授だからもっと穏やかな人だと思ってました。」
千香子の答えに僕が笑うと。千香子は釣られてニヤリとすると
「元々有る物って。必要だから有るので怒りとかそんな感情を簡単に捨てるべきではないわよ。」
「それが千香子さんの答えなんですね。」
「いいや。答えなんて無いわよ。ただ人生って長いじゃない?だからそんなに焦って答えを出さなくても良いのよ。あんまり焦ると答えを間違うじゃない?間違えても良いけど、それで終わらせてはダメよ。それだけ。」
僕と千香子の会話を聞いていた尚吾は
「へぇー。ペチコさんの言う事なんとなく解るよ。」
そう言いながらズズーっと音を立ててアイスコーヒーを飲んだ。それに合わせて僕もレモンスカッシュを飲み干して、僕と尚吾は特にこの後の予定も無いので更に千香子と話す事にした。