【48】dot monster-5
水谷はその後に。港の飲食店で海鮮丼を食べて温泉へと向かった。それらを終えている頃にはすっかり暗くなってしまい。水谷はそこから空港へと向かい、次はF県行きの飛行機に乗ることにした。
最終便の飛行機でF県へ到着すると。繁華街へタクシーで移動して屋台でラーメンを食べながら写真を撮影するとMine noteへ投稿して。そこからO県へ最終のバスで移動して、そこで宿を取ることにした。寝る前にもちろん写真を撮影し、Mine noteへの投稿を行ない。水谷の1日は終わった。
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10月31日
水谷は朝から江戸時代を模した町並みの観光地を歩き、写真を撮影して投稿し。そこで1泊する事を書き込み。そして明日には事務所に戻る事も書き込んだ。
それはdot monsterは水谷を追ってはいるがS県の山小屋の件も有り。水谷の待つ所で有れば水谷が有利になるために、dot monsterが待つ事の出来ることが有利に事を運べる事をdot monsterがそう考え出す頃合いだ。と水谷は考えここまでの思考状態に持っていく為にMine noteのあからさまな投稿や度重なる移動を繰り返したのである。
舞台を整えればdot monsterは水谷を迎え撃つ為に留まる。これ以上にdot monsterを焦らせば人質を取り、強引な策に出る可能性が強まる。水谷の予定する頃合いなのである。しかし人質を取る策を選ぶ人間なら最初に行う筈であるがそうしない事にこのdot monsterの本質が在る事を水谷は想像していた。
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11月1日
O県からF県へ。そして空港から地元へと戻り水谷は15時頃に事務所へと辿り着いた。空は赤く染まり始め夕刻へと入り始める。水谷は事務所のドアを開けると
『トスッ...』
と音が鳴り。水谷の腹部に衝撃が走った。すると薄暗い事務所の奥から、あの日山小屋で網に掛かった青年がゆっくりとボウガンを構えて現れた。
「お帰りなさい。水谷珠樹。」
そう言うと水谷に近付いて来る。水谷が衝撃の走った腹部を確認すると。Dot monsterの放ったであろうボウガンの矢が突き刺さっていた。水谷はそれを擦ると
「もう来ていたのですね。O県のお土産に羊羮を買ってきました。お茶も良いものを手に入れたのでソファーに座っていてください。」
そう言うと荷物を持って流し台の方へと歩いて行った。そして切られた羊羮とお茶を持ちソファーのテーブルへ置くと、立ったままのdot monsterに
「さっ。お茶が熱いうちに頂きましょう。座ってください。」
とdot monsterの手を引きボウガンを取り上げソファーへ座らせた。水谷は腹のボウガンの矢を引き抜き腹部のシャツの下から鉄板と漫画雑誌を取り出しテーブルの端に置き、そのままソファーへ座り
「さあ。O県の名物の羊羮です。寒天と葛を使い餡を固めていますので上品な甘さで美味しいですよ。お茶はそれに合わせて熱めのお湯で苦味が少し強まる様に入れています。お召し上がりください。」
そう言いながらお茶を啜り。続けて
「で?話したい事は何ですか?」
dot monsterは立ち上り
「ふざけるな!俺はお前を殺しに来たんだ!水谷珠樹!」
そう叫ぶと。水谷は右手を下に煽り
「それは本心では有りません。座りなさい。」
そう言うが。それでも座らないdot monsterへ水谷は、先程奪ったボウガンへ矢を嵌め込みdot monsterへ向けると彼は大人しく座った。水谷はそれを確認するとボウガンから矢を外し、テーブルの端へ置いて
「本当に殺したいので有れば、君は他の手段を選んでいた筈です。ドアノブにVXガスを仕込んだり。ボウガンの矢は鉄板を仕込んだ腹部では無く、頭を撃ち抜いていたり。ですね。」
水谷は羊羮をフォークで切りながら。欠片を口へ運んだ。




