【41】Green Shark Challenge-10
僕は怨めしそうに僕を見る尚吾へ
「何て顔して俺を見てんだよ。」
「お前な。俺はここで徹夜してGreen Shark Challengeに接触した人物のリスト作っていたのにさ。お前マリアちゃんの動画にコメントくれてる人達の名前を確認したら。リストアップした人物達がコメントしてんだよ。俺の苦労は報われず終わっちゃったじゃん!マリアちゃんの歌声とお前のイタズラで終わっちゃったじゃん!」
と悲しそうに言っては来たが一件落着と言う事で良いのでは無いか?と思った。しかし余りにも尚吾が悲しそうな顔をするので
「何かごめんな。尚吾。」
と謝っていると水谷が目を覚まし。眠たそうに目を擦りながら
「まだ終わっちゃ居ませんよ。きっと開設者達は自殺を止められた事に、自分の虚栄心を傷付けられてマリアちゃんをターゲットにしますよ。」
僕はその水谷の言葉に。マリアが襲われる事をイメージさせられ寒気と共に不安が襲った。そして僕は連絡をしようとしたが、マリアのスマートフォンは無線通信状態で無いと通話が出来ない事を思い出し、慌てて電話を掛けてみたが繋がらず。何処かで無線通信を拾う事に懸けてメッセージで居場所を訊ねた。
マリアからの返事は無く。水谷は歯磨きを始めながら僕に
「へぇんらくふかないんですか。」
と言い。尚吾は
「一緒に捜したいけど俺は無理だ......」
とそのまま眠りに付いた。徹夜続きの尚吾を起こすのもしのびないので、そのまま寝かせる事にして。僕はマリアが何処へ向かったか記憶を辿り思い返した。マリアは歌詞カードを準備していた事を思い出し。配るので有れば人通りの多い所だと思いS区へ向かう事にした。事務所を出る時に水谷は呑気に
「いってらっしゃーい。」
と言っていた。まだGreen Shark Challengeの開設者達はマリアの居場所を掴める筈も無いので僕は心を落ち着けながらS区行きの電車に乗った。しかし僕はS区に近付きながらGreen shark challengeの開設者達の情報を持って居ないため、マリアと出会えてどう言った対策を敷くのかを考えたが思い付かなかった。
僕はS区へ辿り着くと以前マリアがストリートライブを行って居た場所へと向かった。しかしその場所へと辿り着いてもマリアの姿は無かった。僕はスマートフォンのメッセージを確認したがマリアからのメッセージは既読も付かずにいるので。僕は少し焦りを持った。
僕はそれでも足を止めずにS区の繁華街を歩き続けてマリアを捜し続けた。僕は焦りの中でマリアの動画を使ってGreen Shark Challengeのサイトからジャンプするように仕掛けた事を後悔しながら。するとスマートフォンの着信音が鳴り、僕はマリアからの連絡だと思いスマートフォンの画面を見ると水谷からであった。
「幸島岳大君。もうT区のU駅には着きましたか?」
「えっ?僕は今S区に居ますけど。何でT区のU駅何ですか?」
「Mine noteでマリアさんがU駅でストリートライブしているって出ていましたよ。帰って来る時に羊羮を買ってきてください。では。」
そう言って通話を切られた。僕は焦りの余りにMine noteをチェックして無かった事を少し恥ずかしく思いながらも。無事で有ることに安堵しながらU駅へと向かった。
僕は昼過ぎにU駅へ辿り着いた。駅を出て直ぐの広場でマリアは歌詞カードを配っていた。そんなマリアの姿に少し離れた位置で見守る事にした。
マリアはTube Lineの動画で注目されだしたのかMine noteのフォロワーも増えて若い女性に囲まれていた。そしてマリアがギターを鳴らし歌い始めると人集りは増え50人程に囲まれ、周囲の人達は静かに聞き惚れている。




