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【40】Green Shark Challenge-9




 僕とマリアは二人で近所のスーパーマーケットへ辿り着くと。野菜売り場の店員のおばちゃんが


「あら!マリアちゃん!今日は彼氏さんと一緒かい?いいわねー。」


そう言いながらマリアとハイタッチしている。いつの間にコイツはスーパーのおばちゃんと仲良くなってんだよ。と思いながら軽く会釈をして買い物を続けた。お目当ての鶏もも肉を1キロ買いついでに卵や小麦粉、油やお米等を買い


「玉葱ーとじゃが芋!」


とマリアは叫びながら籠に入れている。そんな所に一人の女性が僕達へ声を掛けてきた。


「マリアさんですよね?」


カジュアルな格好をした若い女性にマリアは


「あの時のお姉さん!元気ですか?」


その女性はマリアが昨日ストリートライブを行った際に一万円をくれたお姉さんだったらしく。買い物籠を下に置いてマリアの手を握る程喜んでいた。そして背丈の低いマリアを抱き締めて


「マリアさんの歌を聴いてから。ほんと私、元気貰いました。私も自分をちゃんと見てくれる人に出会えるまで頑張ります!」


マリアはその女性の胸の中でモゴモゴしていた。そしてその女性とは挨拶をして別れ。僕達は買い物を済ませてアパートへと帰る途中。マリアはTシャツの襟を伸ばして中を覗き込んだ後。無言で帰宅した。


 僕はマリアの歌に救われた人が居る事に感心して。ちょっとした悪戯を思い付き。マリアが夕飯の仕度をしている間に僕はパソコンに向かい遊んでいた。そして僕がパソコンを弄り終えるとマリアは唐揚げと玉葱を和えたポテトサラダを運んで来たので、いつもの如く二人でテレビを見ながら夕飯を笑いながら食べた。



◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️◼️◻️



10月15日



 僕は朝早くに目を覚ますと出し抜けにスマートフォンが鳴り始めた。アラームかと思い画面を見ると尚吾からの電話であった。尚吾は


「昨日も水谷さんの事務所来なかったな。ちょっと色々話したい事が有るから10時に水谷さんの事務所に集合な。」


そう言いたい事だけ言って通話を切られた。僕はそれから朝食にトーストを焼いてチーズと目玉焼きを乗せてコーヒーで流し込んだ。そしてマリアの分の朝食にラップを被せて。身仕度を済ませて水谷の事務所へと向かった。


 水谷の事務所へ着くとソファーで水谷が寝ているが、その向いのソファーで尚吾がノートパソコンを開いていた。そして僕に気付くと


「色々有り過ぎて、何処から言って良いのか判んないけど。」


そう言いながら。マリアのTube Lineチャンネルを開いた。そしてカーソルを動かしてPVをなぞって


「マリアちゃんのTube Lineの投稿動画のPVが30万回越えてチャンネル登録者が10万人越えてんだよ!やったじゃん!これでマリアちゃんがパートナー申請すれば立派なLinerだよ。あとさ。」


尚吾は話ながらブラウザを切り替えて。Green Shark Challengeのサイトを開こうとした。するとGreen Shark Challengeのページには飛ばずにマリアの動画が再生された。僕は尚吾に


「あっ。それは僕が思い付いてイタズラでやった。」


「だろ?こんな事やるのお前しか居ないもん。んでさ。マリアちゃんの動画のコメント見て見ろよ。」


僕はマリアの動画のコメント欄に目をやると


『マリアさんの歌を聴いて死のうだなんて思ってた自分が馬鹿みたいに思えました。ありがとう!』


『そうだよね。好きな事を信じるチカラって凄いですよね。』


『Green Shark Challengeに取り憑かれていた心がマリアちゃんの歌で開放されました。』


そんなコメントが多数寄せられていた。僕は読み上げながら尚吾を見ると。尚吾は喜ばしい事の筈なのに不満そうな顔で僕を見ていた。




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