【38】Green Shark challenge-7
水谷と僕と尚吾は千香子のお見舞いを後にして水谷の事務所へと向かって歩いた。その頃には昼過ぎになっていたが僕達はオハギでお腹一杯になっていたので。事務所で水谷は尚吾をパソコンデスクに座らせて暗幕を被せて
「さあ!高城尚吾君!Green Shark Challengeにアクセスした実行者の疑いが有る人物をリストアップして。GSC関連のサイトを全部閉鎖してください!」
そう言いながら水谷はどら焼きをモシャモシャ食べていた。尚吾は
「その作業が何時間掛かると思ってんですか。俺が死んじゃうよ!」
そう言いながらも渋々作業を始めながら
「タケお前だって出来るだろ?まあ良いけど。リストアップするからメモ録ってくれよ。」
僕はとりあえず。尚吾の隣に座りながらノートにメモの準備をした。暗幕の中で尚吾はモゾモゾと動きカタカタと音がしだした。そして10分間に一人のペースで名前とプロフィールを読み上げて僕はそれをノートに記した。そして1時間ほど経った所で尚吾は暗幕を外して
「ヤバい。これ結構しんどいよ。休憩。」
そう言いながら流し台へ行きコーヒーを入れ始めた。そして気が付けば水谷は事務所から出て、居なくなっていた。尚吾はコーヒーに砂糖を入れながら
「何だよ。水谷さん出てってんじゃん。無責任たなぁ~。もうタケにバレちゃったからエミに差し入れ頼も。」
そう言いエミに電話をし始めた。僕も尚吾の隣に並びコーヒーを入れ。そこから少し尚吾と雑談をすると。尚吾はパソコンデスクへと座りリストアップを再開し。1時間するとまた休憩を入れてGreen Shark Challengeに接触したリストは18人となっていた。僕は休憩を兼ねて尚吾にリストの確認を提案して。今度はパソコンデスクに僕が座り、リストをデータとしてパソコンに入力した。
すると尚吾とは僕のマウスを握る手を上から握り。インターネットブラウザを立ち上げると日本地図を開き幾つかマーカーを打った。S県、F県、H県、T県......
「おいおい。タケこれどうすんだよ。日本全国に散らばってんじゃん。体が幾つ有っても足んないよ。」
そう言いながら尚吾は、お手上げポーズを取り。事務所の中をぐるぐる歩いた。僕は尚吾に
「こないだの屍逝人の時みたいに携帯操作して死なない方向に誘導してみたら?」
「馬鹿言うなよ。あれは近くに居たから無線通信を利用して簡単に入れたけど。離れて居たら難しいんだよ。SNSの侵入だって時間が掛かれば運営にバレんのに。」
「そっか。じゃあDMで個別に地道に話し掛けるしかないなあ。」
「それだって。ぺチコさんみたいな専門家なら兎も角。俺らの様な素人が刺激したら余計に危険なんじゃないか?」
尚吾の言う通りであった。しかしそれでも何もせずに居る寄りかは一人、二人でも救われれば0よりか良いのではないか?そう思った僕はリストのメモを取りソファーへと寝転び、片っ端からリストのアカウントへMine noteからDMを送ってみた。その所で事務所へエミがやって来て喫茶店『水玉』から差し入れのサンドイッチとホットサンドを持ってきた。そして尚吾はエミに事情を説明し、忙しくなる旨をつたえると。エミは
「自殺する人のニュースを見るといつも思うんだ。本当に死にたい人なんて居るのかな?って。みんな本当は幸せに生きて行きたいのに、それがどっかて崩れちゃって前が見えなくなっただけだと私は思う。私がそうなったら、あんた達が助けてよね。」
そう笑顔を残してバイトへと戻って行った。僕は改めてその事を考えた。S Endingの時のマリアは死のうと思って居たのに、今はあんなに前向きに生きている。その事はこのGreen Shark Challengeに嵌まって行った人達とあまり変わらないんじゃ無いのかと僕は思った。




