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【37】Green Shark Challenge-6




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10月13日



 ポルカドット119である本原めぐみの事件から2週間の月日が流れ。僕と尚吾は千香子のお見舞いへ出掛けた。もうすぐ退院であると言う事で今のうちに行っておこうとなっての事である。


 僕と尚吾は二人で大学病院まで歩き、その途中で花屋へ寄り花束を買った。僕はその提案をした尚吾の中に女性らしさを感じ、エミと二人で買い物をしている所を思い出した。そして僕は尚吾を問い詰めた。


「何かお見舞いに花束をチョイスするって女の人の発想だよな。普通ケーキとか食べる物じゃない?これエミの発想だろ?」


「な、何でエミが出てくんだよ!」


「こないだ商店街で買い物をしている所見たよ。楽しそうにカレーライスの材料買ってんの。」


すると尚吾は追い詰められて窮地に達した顔をして。地面に膝を付き


「最近タケにはマリアちゃんが居るから誘い難くて、エミ誘って遊んでいる内に何だか仲良くなっちゃって。楽しくなっちゃって......。タケのせいだ!マリアちゃんに夢中で俺を放ったらかしたタケのせいだ!」


僕は尚吾の頬を両手で摘み起こして。


「何で恋人が構ってくれないから、浮気しちゃったみたいなノリになってんだよ...。お前の言い分は......。」


「ごめん...。何かノリでタケのせいにしたくなっちゃって。」


「まあいいや。しかしマリアは居候で別に恋人じゃ無いから。」


そう言うと。尚吾は


「もう付き合っちゃえばいいじゃん。マリアちゃん見た目派手だけど案外良い子じゃん。」


「そんなんじゃないんだよ。」


僕と尚吾はそんな会話をしながら、千香子の入院する大学病院へと到着した。千香子の病室には先に水谷が来ていて。千香子と水谷は二人でオハギを食べていた。そして千香子は


「あら貴方達ちょうど良い所に来たわ。珠樹ったら、お見舞いに来てくれたのは良いけど。オハギを20個も買って来ちゃって、食べきれなくて困ってたのよ。」


そう言いながら千香子は腰を掛けたベッドから立ち上り、紙皿を取り出しオハギを取り分けると。紙コップにお茶を注ぎ分けた。その間に水谷は僕達にパイプ椅子を出して珍しく甲斐甲斐しい姿を見せている。尚吾はそんな千香子へお見舞いに花束を渡すと、花を顔に近付けて匂いを嗅ぎ嬉しそうに


「ありがとう。嬉しいわ。」


そう言い。花束を台に置いて真面目な顔をして


「このメンバーが揃ったならお願いしたいことがあるの。私はポルカドット119の本原めぐみに合成麻薬を投与され。1回とは言え、依存が少し残って精神状態がかなり乱れる事があって治療にまだ時間が掛かりそうなの。そこで貴方達に私の代わりにGreen Shark Challengeでの自殺を食い止めて欲しいの。勝手な事とは解っているけれど。貴方達なら出来るんじゃないか?って思ったの。」


僕と尚吾はその千香子の真剣な眼差しに頷く事しか出来ずに頷くと。水谷はあまり乗る気の無い表情を見せて


「Green Shark Challengeは本当ならばぺチコさんにしか扱えない厄介な案件なんです。」


そう言うので。尚吾は


「えっ?水谷さんならどうにか出来そうだけどね。」


オハギを噛りながら言うと。水谷はお茶を啜り


「Green Shark Challengeはミーム汚染に近い物で。GSCの創設者はもう逮捕されていますし。オリジナルのサイトは3年前に閉鎖されているのですよ。まるで精神に感染する様に拡大を見せて。その存在は都市伝説の様に曖昧で有りながら確実に存在すると言う。」


僕は何となく、その厄介さを想像してはみたが。千香子の今までの苦労を考えると、ここで途切れさせる事も不憫に思い。


「消せなくてもせめて千香子さんが復帰するまでは何とか食い止めましょうよ。」


そう言うと。千香子は微笑みながら


「それで良いからお願いします。」


その台詞に水谷は恥ずかしそうに帽子を深く被り頷いた。





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