【32】polcadot119-3
水谷はパソコンで調べものをしながらメモを取り。ポルカドット119の動画を見ながら
「今は11時です。時間は十分に余裕が出来ましたので。幸島岳大君はお昼のお弁当を買ってきてください。チキン南蛮弁当が良いです。皆の分もどうぞ。」
と僕に5000円を渡すと。また調べものを始め千香子を手招きしながらパソコンの画面を見せていた。僕は気にはなったが商店街のお弁当屋へお弁当を買いに出掛けた。僕は3人分のお弁当を注文し、時間が過ぎるのを待っていると。遠くで尚吾が女性を連れて買い物をしている姿を見掛けたので。僕は興味本意で気付かれない様に離れた位置で尚吾を見る事にした。
驚く事に尚吾と一緒に居る女性は、喫茶店『水玉』でバイトをしているエミであった。僕は益々二人の動きを注視すると。二人は楽しそうに食材を買い込んでいる。じゃがいも人参玉葱とカレールーを買っていた。僕はパーティー的なイベントで集まるのでは無く家庭的で日常の食材を二人で購入する事からも。二人の生活圏が同じで有る事を理解出来たので、お弁当屋やへ戻りお弁当を持って事務所へと戻った。
自分に内緒でエミと付き合って居ると思うと、踊らされていた感が癪に障ったので。僕は尚吾へ『何か俺に隠しているだろ?』とメッセージだけ送り自白を待つ事にして。水谷と千香子へお弁当を配った。その姿を見て千香子は僕にどうしたの?と訊ねてきたので、僕は尚吾とエミの事を話すと千香子は笑いながら
「いや。あの二人は喫茶店でのやり取りでもパーソナルスペースが近かったでしょ。岳大くんって考察は入念だけれど、そう言った事には鈍感なのね。」
と言われ。僕は少し照れ臭くなって下を向いた。水谷はそんな僕の態度を気にせずに
「幸島岳大君。ポルカドット119が見付かりました。彼女の命令さえ止めればN区の花火は止められます。」
「えっ?見付かったんですか?」
「はい。今テレビ等で話題の美人トレーダーの『本原めぐみ』さんです。大量の覚醒剤と爆発物を短期間で調達出来るルートと資産を持った人物で女性。そして間抜けな事に誕生日を明かして居ますし。さっきぺチコさんに、本原めぐみとポルカドット119の動画を見せてロールプレイングも行って貰いました。居住場所も確認が取れたので腹拵えして向かいましょう。」
そう言うと水谷はお弁当を手に取り食べ始めたので。僕と千香子もお弁当を食べる事にした。
―――――――
僕と千香子は水谷に付いていき。M区へと出掛けた。本原めぐみはメディアでもM区の高層マンションへ住んでいる事を話していた事からそのマンションへと着いたのではあるが。富裕層向けのマンションである為に万全のセキュリティが施されており簡単に入る事は出来なかった。しかし水谷は入り口で本原めぐみの部屋へとダイレクトにインターホンを鳴らして何かを話し出した。すると自動ドアが開いたので中へと入り。千香子は水谷へ質問した。
「何て言って入れて貰ったのよ?」
「いえ別に。千香子さんの会社で本原めぐみをCMで使いたい。って言っただけですよ。」
すると千香子は溜め息を吐いて「勝手な事を。」そう言った。僕達はこのトントン拍子で運ぶ事が重大な事故へ繋がる事を想像もせずに、本原めぐみの部屋へと向かうのであった。
そして僕達が本原めぐみの部屋へと辿り着くと中から背広姿の体格の良い男性が現れ。僕はこの時にこの男が使徒で有る事を感じた。そして男は
「ここからは園部千香子様お一人で入室して頂きます。お供の方々は私に付き添いこのマンションから退出を願います。」
そう言うので。水谷は危険を感じ千香子へ一旦戻ろうと言ったが千香子は
「仕方無いでしょ。そんな時なのよ。大丈夫だから私を信じなさい珠樹。」
そう言って笑顔を残し千香子は本原めぐみの部屋へと入室した。




