【21】Tube Line-2
その後にマリアは部屋の中を見渡しては。汚れた食器や服を見付けては洗い始めた。そして僕の読み散らかした本も五十音順で棚へ並べ替えてくれている。僕はそんなマリアが淹れてくれたコーヒーを飲みながらTube Lineを見ていると尚吾から電話が入った。
そして投稿する前にもう2~3本撮影しておきたいとの事だった。僕とマリアはそれから尚吾の家へと向かった。尚吾の部屋へ辿り着くと尚吾はマリアに
「昨日は上手く言った?」
と聞いてマリアは
「半分は。」
と言うと。二人でハイタッチしていた。そして僕達は編集した動画を見せられて説明をされる
「単純そうに見えて結構この編集に時間かかってさ。久しぶりに昨日は徹夜しちゃったよ。テロップの配置や色とかタイミングが難しくてさ。歌の所も歌詞の切り替えタイミングがなかなか難しくてね。それで余裕を持って撮影分のストックが欲しくてね。」
尚吾から言われて。Tube Lineの動画投稿を思い出すが、実に手が混んでいることは理解出来た。そこで僕はマリアに
「マリアは歌える曲ってどのくらいあんの?」
そう訊くと。マリアは
「後、5曲はあるけど。アッシ一度自分のギターとか取りに帰ってくるよ。何かアカペラで歌ってんのってスカスカだし。」
そう言い。一度帰り楽器等を取りに帰る事になった。そして僕は尚吾の部屋に残りマリアが戻って来るのを待つ事にした。するとマリアが出て行ったと入れ違いにドアがガチャリと開いた。マリアが忘れ物でもしたのかと見てみるとそこには水谷が現れた。そして水谷は部屋へ上がって来ると
「君達が二人で揃っているとは。丁度良かったです。Tube Lineのこの投稿を見ていただきたくて。」
そう言うと。水谷は尚吾のパソコンからTube Lineアプリを開き『水玉教徒』と言う投稿者の動画が表示され。そこには仮面を被っている男が何かを布で隠している。そして布を外すとそこには人気Linerで再生回数ランキングで11位のTakeru工場長がアイマスクと猿ぐつわをして磔にされていた。
Takeru工場長は工作系Linerでアルミを使って実験をしたり、科学実験を繰り返したりするLinerで。こんなドッキリを仕掛けるLinerではない。そしてこの水玉教徒と言う名前にも引っ掛かる。そしてその水玉教徒と名乗るLinerは磔にしたTakeru工場長を皮の鞭で叩きながら
「私は水玉教徒、rainman。私は今回より一人ずつ有名なLinerを捕まえて行こうと思います。視聴者の皆さんは彼が誰か判りますよね。Takeru工場長です。彼の隣に次々とLinerを並べて行きたいと思いますので次回をお楽しみください。」
そう言いながら。このrainmanと名乗る男はTakeru工場長を鞭で叩きながらフェイドアウトしていった。
そして水谷は次のrainmanの投稿動画をクリックすると先程の動画と同じ日付で投稿されている動画が映った。その動画では前回のTakeru工場長の隣に今回は金を使って企画を繰り広げるLinerのAkiraがアイマスクを着け磔にされていた。そして猿ぐつわをされて居ないAkiraは
「なんや!こんなしょーもない事やったってオモロ無いやろ!?誰やミカエルか?外さんか!」
と叫んでいた。rainmanはそんなAkiraを見て皮の鞭で叩きながら
「自慢のしゃべくりはそんなものですか?」
「それホンマもんの鞭やんか!シャレんならんで!はよ外せって!」
そんなやり取りをして笑っていた。そしてrainmanは
「少し五月蝿いですね。」
と言い。Akiraに猿ぐつわをすると。画面に手を振りながら
「次は誰ですかね?」
とそこで動画は終了していた。この動画は一昨日投稿されたもので日は浅かった。




