【20】Tube Line-1
僕がいつもの様に部屋でテレビを見ていると。テレビの画面が真っ赤になり。慌ててパソコンのモニターを見ると、モニターも真っ赤になり。そしてそこから画面が気にかかり仮面を被った男がトマトを只管潰している。手で握り潰したり。足で踏みつけたり。そしてその仮面の男に画面へトマトが投げ付けられ。また画面は真っ赤になった。
僕は尚吾のイタズラだと思い電話するが繋がらず。尚吾の家に行くが尚吾の住んでいるアパートは跡形も無く。空から雲が落ちて来て次々と地面に突き刺さり。その中から仮面の男が現れて笑いながらトマトを踏みつけていた......
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8月21日
「尚吾だろ!」
そう叫びながら僕は目を覚ました。
「何よ。尚吾って。アッシしか居ないわよ。」
「えっ!?アッシが居るの!?」
「居るわよ。」
そう言って。僕のとなりで聖母がピアスだらけの顔を擦り下着のみの姿で起きてきた。そしてタトゥーだらけの身体をさらけ出してベッドから起き上がると、そのままシャワールームへと向かった。
僕は断片的な記憶を思い出し繋げていった。昨日は尚吾と一緒にマリアの動画撮影をして、それから尚吾の部屋でアパートで編集作業をしていたのだ。スタジオを借りてマリアの挨拶と歌を収録して夜からTube Line投稿用の編集だったんだ。そして尚吾と編集を話して。
「そうだ。マリアが終電無くして泊まる所が無いから。俺の家に泊まるのを渋ったら尚吾とマリアにお酒を飲まされて記憶を無くしたんだ。」
まあ、若い女の子に野宿させる訳にも行かないし仕方無い。そう自分に思い聞かせてパソコンの電源を入れ。そして先日の屍逝人こと白木望の記事を調べ始めた。
そして数分間調べものをして。その次にどんな動画が人気を博しているのかと調べているとマリアはシャワーから出て来たが、僕は気にせずに調べものを続けていた。すると僕の背後からマリアが抱き付いてきた。それでも僕は調べものを続けていると僕の耳を甘噛みして二又に分かれた舌でチロチロと舐め始め。僕は力が抜けて転んで床に寝転がった。
そんな床に転んだ僕の真上に全裸のマリアが立っている。僕は慌てて目を塞ぎ
「いや。マリア早く服を着ろよ!」
と言うと。マリアは笑いながら下着を着け始めた。
「ほら着たよ。」
と言うので僕は目を開けると。目の前には下着姿のマリアが居るので僕は
「下着の上から服を着て言いなさい。」
と言うと。マリアは渋々Tシャツと赤いジャージを着込んだ。そしてマリアは
「朝食作ってやるよ。材料買いに行くから部屋の鍵貸しな。」
と威勢良く言うので鍵を渡すとマリアは元気に部屋を出ていった。僕はその間に動画投稿アプリのTube Lineを調査する事にした。その投稿の広告収入で生活している『Liner』と呼ばれる人達やランキングを手当たり次第に確認してみた。話の進行スピードやテロップの振り方やカメラワークをメモを取りながら見ていた。
暫くすると1時間程経過している事に気が付いた。本来30分程で帰り着ける筈なのに遅くなっている事を不思議に思い。マリアに電話を入れてみるとマリアは少し慌てた感じで
「もうすぐ帰るから。もうすぐ帰るから。」
と繰り返した。そしてマリアはそれから5分後に帰って来て朝食を作り始めた。手際よく調理を行ないマリアベーコンエッグとトーストとコーヒーを出してきた。
僕の部屋は狭くてテーブルも置けないので。僕はパソコンデスクで、マリアはベッドの上でお盆に乗せたまま食事を取っていた。風貌と反してのマリアの料理の手際の良さに感心しながら食べ終わるとマリアは
「味はどうだった?」
と訊ねるので。僕は
「うん。まあ美味しかったよ。」
と言うと。マリア嬉しそうな顔をして食器を片付けて洗い始め。僕はその後にまた調べものに戻った。




