【19】S Ending-9
それから聖母と僕は別れて後日、動画配信の打ち合わせをする事にした。マリアはそのまま駅と反対方向に歩いて行き、何度もこちらを振り返りながら歩いて行った。
そしてマリアが見えなくなって僕も駅へ向かうと。スマートフォンが鳴り、マリアからのメッセージで
『ありがとね。また連絡する。』
とだけ入り。僕は
『こっちも準備出来たら近いうちに連絡するよ。』
そう書いて。千香子の所へと急いだ。僕が駅へ着くと千香子の姿は無く少し周辺を歩く事にした。時計を確認すると、もう17時を過ぎていたのであった。そしてモニターの横を通り過ぎた時に
「集団自殺サイト『S Ending』の運営を行っていた『屍逝人』こと『白木 望』容疑者とその共犯者として『コココ』容疑者の自首により。F市連続殺人事件の容疑で逮捕されました。白木容疑者は集団自殺をSNS等で呼び掛けた上で、殺人を繰り返したと自供しており。その被害者数は確認が取れるだけでも14人を上回っていると見られます。」
とのニュースが流れた。そのニュースを眺めているとスマートフォンの着信が鳴り僕は画面を見ると、そこには水谷珠樹の名前があった。僕は急いで応答すると
「いやー。今頃、ニュースで見ているのでは無いのかと思いまして連絡した所です。あと10分程でそちらに到着しますので。」
水谷はそう言うと電話を切り。僕は千香子にメッセージを入れて水谷と尚吾を駅で待つ事にした。ここで解決と言う事になるのだと僕は一安心して缶コーヒーを買って飲む事にした。何だか色んな事が有り過ぎて僕はクタクタになって壁にもたれ掛かり座り込んだ。するとそこに千香子がやって来た。僕はポケットから使わなかった三万円を返すと千香子は受取り
「その様子じゃ。無事に止められたみたいね。」
「無茶ぶり過ぎますよ。千香子さん。」
「あれで良いのよ。彼女は認めてくれる人として自分を認めてくれる人が欲しかったのよ。ありふれた物目当てで無くて。」
そう言うと僕の隣に座り。千香子はニカッと笑い
「私の見立てで間違い無かったみたいね。私の方もどうにか残りの3人は食い止めるられたし。」
そう話していると。水谷と尚吾が到着して手を振っていた。僕は軽く手を挙げて立ち上がると、水谷は僕の肩を叩いて
「上手くいったみたいですね。お疲れ様です。」
そう言うと尚吾も手を挙げて来たので。僕は尚吾とハイタッチした。そして仕事を終えた僕達は電車に乗り自分達の町へと戻ることにした。その電車の中で僕は水谷に
「どうやって白木に自首させたんですか?」
と訊ねると。水谷と尚吾はニヤリとして。尚吾は
「アイツのアパートの換気扇からドライアイスでスモークを流し込んでさ。気味悪がっている所に、スマートフォンをハッキングしてアイツの被害者の顔写真に待ち受けの壁紙を変えて。それから被害者のアカウントでアイツのSNSに大量にコメント送ったんだよ。逃げようとしたら水谷さんが鍵穴に詰め物してドア開かなくして。アイツの家の電源を落としたり点けたり繰り返して。更に被害者の名前で個人メッセージにメッセージを送り付けたんだ。そうしたらアイツ自分で警察に助けを呼んだよ。」
と言った。隣で水谷は真面目な顔で
「これで被害者が浮かばれるとも思いませんが。恐怖に慌てふためく白木とコココは愉快でしたよ。」
そう言い。それを聞いて千香子は溜め息を吐いて
「何で頭の良い人達って不謹慎な人が多いのかしら。それだけは私にも解らないわ。」
と言い呆れていた。僕は話題を変えて、マリアの事を尚吾に話し。マリアがどんな風貌で、どんな歌声かを説明すると尚吾も興味を持ち明日から準備を始める事にした。
千香子は先にT駅で降りて。僕達もそのまま家へと帰った。こうして僕達はS Endingを食い止めたのであった。




