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【13】S Ending-3




 尚吾はそんな僕達の横で黒い布を被りモゾモゾしており。動きが止まると布の中から手を出してスマートフォンを僕達に見せた。


 その内容は時間と場所の変更であった。明日の17時にS県であったものを。18時にK県のO駅へと変更していた。


 今、僕達の近くに偵察者が居る状態でのその変更は地味に厄介なものである。しかしそれを知って水谷はニヤリと笑んでいた。僕は何だか嫌な予感が走ったが、水谷に逆らう事も出来ずに居る。水谷は更に上機嫌になって


「いやー。次々とアイデアが浮かんでくるなぁ。」


と呟いていた。僕は不安になってスマートフォンに『これからどうしますか?』と入力して水谷に見せると水谷は


「幸島岳大君。君はちゃんと焼きそば店に案内してくれれば良いですよ。」


そう言いながらニヤニヤしていた。そうすると千香子が戻りスマートフォンに『集団自殺の参加者は私の後ろのツインテールにした二十歳ぐらいの少しポッチャリした女性。シマウマ柄のバッグを持っている』そう書いて僕達に見せた。僕と水谷は軽く頷いたが、尚吾は女性と聞いて顔を見ようと立ち上り出したので。僕が止めようとすると尚吾は


「いや。俺もトイレ行きたいんだよ。」


そう言って。明らかに顔はワクワクしながら歩いて行ったが。帰ってきた時の表情を見る限り尚吾の好みでは無かったみたいだ。


 そうこうしているうちに僕達はS県のF駅へと到着した。割りと都会で工場が多く道も広いが人通りも多くは無かった。そして僕達と一緒にシマウマ柄のバッグを持ったツインテールの若い女性も同じ駅で降りた。しかしここで気にしても仕方無いので僕は一行をグルメサイトで見付けた鉄板焼き店へと案内した。


 鉄板焼き店の前で確認したが。その時にはツインテールの女性は僕達の周りには居なかったので。僕は水谷に


「さっきの女性。付いて来ませんでしたね。」


「きっと屍逝人と会っているのでしょう。あの小綺麗にしているがバランスの取れていない服装である事から見て彼女の中で目一杯にオシャレして来たのでしょうが日頃が地味そうな顔立ちからして、彼女の中で特別な日は明日では無く今日なのですからね。屍逝人に惚れてんでしょう。」


水谷はそう言いながら店の中へと入って行き。後ろから千香子はボソッと


「そんな風にばかり周りを見ているから女性にモテないんですよ。珠樹は。」


その言葉が水谷の背中にグサグサ刺さっていた。尚吾はその後ろで頷きながら店の中へと入って行き、僕と千香子も中へと入って行った。


 地元の名物の焼きそばを人数分注文して。打ち合わせを始めた。水谷は予定を変更して、水谷と尚吾はこのS県に残り。僕と千香子はK県のO駅の二手に別れる提案をした。


 水谷の中でO駅に集まるのは自殺志願者であるから千香子にカウンセリングとの考えである。と理解した千香子は了承した。僕も理解したが、尚吾は千香子と離れて水谷と二人で居る事を不満そうにしたが。今日は皆でこのS県に宿泊するとの事で渋々納得していると、店の者が僕達の前の鉄板へと次々焼きそばを運んで来た。


 尚吾と千香子はこっそり生ビールを頼んでおり二人は乾杯してグビグビと飲み始めている。水谷は溜め息を吐きながら。


「あらら。昼まっから...夜の仕事は幸島岳大君にお願いしますかね。」


と言い。焼きそばを口に入れると。モチモチした麺とソースに風味の良い魚粉をまぶした味に満足そうにしていた。僕も続いて口にしたが名物と言われるだけあって美味しく食べ。その横で千香子は


「この焼きそば。ビールと合うわー。」


と上機嫌になっている。とても被害者が多数出ている事件を追い掛けているとは思えない程のんびりとした雰囲気で僕達は食事を楽しみ。水谷は食後にソフトクリームも食べていた。




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