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【12】S Ending-2




 そんな男女の考え方の違いが有るのだと僕は感心しながらも。ポルカドット611にはまだ遠い事に少しガッカリとしていると。水谷は真面目な顔をして


「ポルカドット611の件も気にはなりますが。今回は屍逝人の事に集中しましょう。安直に考えていますが、この件は猟奇的な大量殺人なのですから。」


と珍しく嗜めてきた。しかし、尚吾は変なスイッチが入ってしまい。千香子に男と女の違いを訊ね出した。


「じゃあさ、好きな女性を落とす時には女友達と仲良くなれば良いってこと?」


「一概にそうとは言えないわ。本能に近い事象で有れば、テクニックも有効ではあるけれど。それ以前に求められる第一印象が深く作用する事も多いから。」


と、千香子も満更で無く二人は少し盛り上がっていた。水谷はそんな二人を見て頬杖を付いて鼻を鳴らしている。僕はそんな中で最近起こった事件記事などに目を通しながらノートにメモを取った。それを見た水谷は


「幸島岳大君は昔から、事件なんかが好きだった訳ですか?」


「いえ。高校生の時にふと事件のニュースを見ていて、それが人間の真理に近付くのではないのか?と何となく事件を調べる様になったんです。」


「好奇心......か。探偵向きではありますね。」


そう言うと水谷は窓の外の景色を眺めていた。僕は水谷の『屍逝人の事に集中しましょう。』と言う言葉を思い出して。屍逝人のSNSや集団自殺サイト『S Ending』をチェックして。屍逝人と接触したであろう人間のSNSやブログをチェックした。2ヶ月以内に屍逝人に接触したと見られる人物のSNSやブログの多くは。接触したと見られる日付より更新が途絶えており。1回目の自殺呼び掛けの際には4人が。2回目、3回目の呼び掛けに反応していた者は4人と5人で合計で13名に達しており。4回目の今回は7人の接触者が居り。その内の1人は友引郁恵と見られた。


 その時に屍逝人のSNSに新しくコメントが入った。その内容は僕の目を疑う物であった。


『逝人さん。明日の我々の集合を妨害しようとする奴等がS県に向かっています。詳細はDMで。』


そう書かれていた。友引郁恵を疑ったが彼女のアカウントでは無く誰か判らない。つまりこの電車の中で僕達の会話を偶然に集団自殺の参加者が聞いて、屍逝人に報告したのである。僕は慌てて口に人差指を当てて皆にスマートフォンのコメントを見せた。尚吾は口に出しそうになったが慌てて口を塞いで黙った。


 そして尚吾はスマートフォンと小型の無線の様な物を取り出して。スマートフォンに


『俺に任せて。気付いていないフリをして。』


と短く打ち込んで皆に見せた。僕と千香子は頷いて。水谷は欠伸(あくび)をしながら


「しっかし。こう単純な作業ですと気が抜けますな。S県に着いたら先ずは名物料理でも食べますか?」


僕はそんな水谷の台詞に合わせて


「あんまり緊張して何ですし。それが良いですね。僕が調べてみますね。」


とスマートフォンでS県の名物料理を検索すると。隣で尚吾はバッグから黒い布を取り出して頭から被った。そのタイミングで千香子は水谷に


「S県と言えば『お茶』何てどうですか?抹茶のスイーツ何てどうですか?」


それに対して水谷は


「お茶はちょっと年寄り臭いのでパスです。」


「抹茶は若い女性にも人気なんですよ。」


と言い合っている中で。僕は


「少し前から『焼きそば』何て流行っているみたいですよ。丁度お昼過ぎには着きますからお腹が空くでしょうし。」


そう言うと。水谷は


「焼きそばはそそりますね。では幸島岳大君。その焼きそばの名店を調べてください。」


と言い。水谷の隣で千香子は立ち上り


「ちょっと御手洗いに行ってくるから。」


と言い残して前の車輌へと歩いて行き。僕は水谷に駅から少し離れた鉄板焼きの店を提案してみたりして。それに水谷も合わせていた。



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