【11】S Ending-1
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8月17日
友引郁恵失踪事件以来、僕はポルカドット611の事が気になって。探偵の水谷珠樹へと電話を掛けてしまい僕は水谷の事務所でアルバイトをする事になった。
自分でも調べているのだが僕が興味を持って調べたSNSアプリMine noteアカウントのポルカドット611。一見なんの変哲も無いもので有るが見れば見るほど不思議な事に気が付く。僅か開設2ヶ月でのフォロワー90万人それから5日程で92万人に増えていた。
僕は部屋でいつもの様にポルカドット611の事を調べていると、いきなりドアが開いて尚吾が部屋へ入ってきた。着替えの途中でトランクス1枚で居た僕は突然の事に慌てて
「なんで鍵かけてんのに入ってこれんだよ!」
そう叫ぶと。尚吾は親指で後ろを指すと。後ろにはピッキング道具を指でクルクルと回している水谷が居た。水谷はピッキング道具をポケットに仕舞うとニヤリと笑んで
「終わったゲームを終わらせに行こう。」
と次の依頼へと出掛ける事になった。依頼人は千香子さんでS県の屍逝人の集団自殺を止める。と言うものであった。
僕達の町から4時間程、電車で移動する事になった。途中からは四人がけの向い合うシートで、僕と尚吾の向に水谷と千香子が座っている。尚吾は遠足気分で窓を流れる景色に一喜一憂してはしゃいでいた。そんな尚吾を横目に僕はポルカドット611について纏めたノートを読んでいると。水谷は
「しかし、高城尚吾君のお手柄ですね。屍逝人はMine noteの他に『S Ending』ってサイトも運営していた事が解ったのだから。友引郁恵さんもそこには触れて居なかったのだから。高城尚吾君のお手柄ですよ。屍逝人、男性、本名『白木 望』28歳、派遣社員。ほぼ解決ですよ。」
そう尚吾を誉めると。千香子は横から眼鏡を拭きながら水谷を嗜めた。窓から入る自然光に照らされる千香子のその姿は、今まで気付かなかった美しさを帯びていた。
「私からの依頼は、屍逝人の集団自殺に見せ掛けた。大量殺人を食い止める事ですから。予定日が明日の8月18日なんですから、そんなに余裕も無いでしょ。」
そのやり取りを見ていた尚吾は
「ここまで判ってるんですから警察に任せた方が良いんじゃないですか?」
そう言うと。水谷は溜め息を吐いて
「確かに警察に任せた方が安全で確実なんだが。集団自殺を止める。となると些か手続きが多くて後手に回るんですよ。まあ、それも誤認逮捕等を起こさぬ為にも必要な段階ですけどね。今回はめんどくさいし危険を伴うので、幸島岳大君と高城尚吾君は近くのファミリーレストランを拠点にするので。そこで待機していてください。」
水谷はそう言い。それを聞いた僕は、だったら僕は来なくても良かったのでは無いのか。と思った。
僕はノートを広げて、スマートフォンを見ながらポルカドット611について調べていた。そして、ここ2ヶ月間に起きた事件の中でポルカドット611が関連していた物をピックアップして共通点を探し。そして気になった事を僕は水谷に訊ねた。
「ポルカドット611が関連していると思われる事件って。全部、男性が犯人ですよね。これって何かのヒントになりませんか?」
「ああ、それだったら。世の中の猟奇的な犯罪の大半は男性ですよ。そこは単純に体力の問題や性別による精神性の違いですよ。」
その僕と水谷のやり取りに、横から千香子が口を挟んだ。
「男女平等の社会と言えど。やはり習性や判断には男女の違いは出てくるものよ。男性は暴力的な事件が多い半面。女性はコミュニティを利用した物や薬物を利用した物が多くて目に止まりにくいのよ。例えば恋愛にしても、男性は直接女性は調べようとするのに対して。女性は本人の周囲の人間とコンタクトを取る事から始めるでしょ?どっちが解りやすいかは一目瞭然よね。」
千香子の話に、僕と尚吾は少し興味を持って頷いた。尚吾はどちらかと言うと恋愛テクニックを聞くノリであった。




