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絶対にのぼせてはいけない初めてのデートその1
僕と芽衣子はつきあい始めた。
「今日は初めてのデートだけど、どこ行こっか」
「銭湯」
となぜか芽衣子が言った。初デートで銭湯?
女湯の入り口を背にして、
「三時間後にね」
と芽衣子が言った。
「わ、わかった」と僕は言った。「ずいぶんと長湯だね」
芽衣子が女湯に入っていくのを見届けると、僕は男湯に入った。
「げ」
そこには刺青をした男がたくさんいるのだった。
そう言えば、ここでは特に刺青厳禁とか、書かれていなかったのを思い出す。こういうところにはヤクザが来やすいのだろう。
こんなところで三時間とか地獄かよ。
僕はヤクザたちをなるべく刺激しないように、そおっと湯に浸かった。
しかし僕が刺激をしなくても、ヤクザたちの間で、勝手に喧嘩が始まって、それに巻き込まれてなぜか僕も殴られた。
男に押されて、湯に顔を突っ込んだ僕は溺れそうになる。
視界のお湯が真っ赤に染まっていく。僕は鼻血が出ているのだ。