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あの時ほど幸せじゃない

 悪夢から目が覚めると(やっぱり悪夢と呼ぶことにする)、悪魔が目をパチクリさせている。

「……なんで?」

「悪くなかったよ、でも」と僕は言った。「芽衣子とおはぎを食べたあの時ほど、幸せじゃなかったね」

「正太郎くん!」

 と芽衣子が悪魔の後ろから現れた。

 戻ってきたのだ。

「芽衣子!」

「いやだいやだ、魂が欲しい!」 

 と悪魔が駄々をこねるように叫ぶと、突然巨大化して、僕たちに襲いかかってくる。

 芽衣子が身構えた。 

 僕は、パッとしない僕は、見よう見まねでそれっぽく身構えてみた(正直自信ない)。

 その時。

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