騒がしい朝が来た !
二次元嫁__アニメなどの推しキャラの中でも、トップに君臨する女性キャラ。
二次元好きの男性なら誰しもいるのではないだろうか。
そして、もし『二次元嫁』が『三次元嫁』だったら...なんていう妄想を少なからず、したことのある人はいるだろう。俺、笹原 翔太も例外ではなかった。あの日までは...
2018年 四月
「.......ろー。...おーい起きろー。ショウター。」
「.....んー」
なんか聞き覚えのある声がするような....
「笹原くん、起きてください。朝ですよ ~」
「ふぁ~って......え?」
俺がゆっくり目を開けると、なぜか目の前に人気アニメ『ラブアイ !」のキャラクターであり、俺の二次元嫁の一人、花宮 リサ。通称リサリサと、同じく人気アニメ『魔法少女☆サクラ』の主人公であり、二次元嫁の一人、柊 さくら。通称さくらたんがいた。
な、な、何で3Dリサリサとさくらたんが俺の目の前に.. ! ?意味がわからない...
もしかして、幻覚 ! ?ついに頭おかしくなっちゃったか、俺...って違うか。
「...なんだ。夢か」
きっと俺はアニメの見すぎで疲れていたんだ。そう思って俺は再び目を閉じた。
「ちょっと、ショウター ! 夢じゃないよー ! せっかく起こしたのにまた寝ないでよ ~」
「そうですよ笹原くん ! 混乱しているのはわかりますが、とりあえず起きてください ! 詳しいことはまた後で説明します」
こういうときはどうしたらいいのか...とりあえず起きて、それからまた考えよう。
「わかったよー。起きる起きる」
俺はゆっくりと体を起こし、目を開けた。
「おっはよ ~」
「おはようございます」
本当に現実なのか...まだ俺は信じられずにいた。
「お、おはよう。で、いきなりなんだけど、どうして二人はここに...?」
「まぁとりあえず、自己紹介だね ~ リサはー」
「こっちの元気な金髪ツインテールロリ高校生が花宮リサで、そっちの黒髪清楚巨乳お嬢様が柊さくら、だろ ?」
俺はリサリサの台詞を遮り、少々早口になりつつ言い切った。
「おーっ! さすがだね ~」
「これぐらい当たり前だろ」
俺は自慢げにそう言った。この二人のことに関しては何時間でも語れる自信がある。
「さすがです。けど...」
「ん ? どうしたの ? さくらたん」
さくらたんは顔を真っ赤にしてなにやらもじもじしている。
「そ、その私のこと巨乳って...」
「そうだよー ! サクラそのこと気にしてるんだから ~ それにリサのこともロリって~ ! 」
そ、そうだった。本人が目の前にいるんだった ! 思わず気にしてる設定無視しちゃたよー。だってオタ同士で話すときは普通に言っちゃうし。本人がいるとか普通ないし。
「ご、ごめん。うっかりしてたよ。あはは...」
「ロリロリいうけど、リサだってちょっとは胸あるんだからね ! 」
リサリサはそう言うと、俺の手を強引に掴み自分の胸に当て付けた。
「ちょ、ちょっとリサリサ ! ?何してんの ! ?」
俺の手のひらにすっぽり収まるソレはプニプニしていて、あ、確かにちょっとあるな、とつい思ってしまった。
「じゃ、じゃあ私も...」
「えっ、ちょ、さくらたんも ! ?」
そして、さくらたんも俺のもう片方の手を掴み、胸に当てた。なんなんだこの状況... ! 嫁二人のおっぱい同時に触れるとか幸せすぎるだろ~ 今なら俺、死んでも良い...そう思った瞬間、俺の部屋に向かってくる足音が聞こえた。
「リ、リサリサ、さくらたん、誰か来たからもう離して... !」
「おにーちゃーん。あさごは...ん...」
がちゃ、と音がして部屋に中学生の妹、未央が入ってきた。状況が一気に天国から地獄に変わった。妹が中学生になってから口もあまりきいてくれなくなったのに、もう一生無視され続けるよ。もうすでにうんこを見るような目で俺を見てるよ...終わったな。俺。
「朝ごはんできてるから。冷めないうちに降りてきてね」
「あっ、み、みお ! 違うんだ ! これは...」
「安心して。お母さん達には言わないし。私も忘れるね。じゃあ」
そう言うと、未央は俺の部屋を出ていった。今まで聞いた中で、一番冷たい声だった。
「ショウタ、なんかごめんね...」
「ごめんなさい。笹原くん。私、つい...」
二人は静かにそう言って、ゆっくり俺の手を離した。
「いや、俺の方こそ、調子に乗ってごめんなさい...」
まだ、二人の柔らかなぬくもりの余韻が手のひらに残っていた。