第2節/ぼっち部は来るものを拒まず
風邪を引いていて更新が遅くなってしまいました^^;
申し訳ありませんでした
たまたま先日起こった出来事を友達に話す機会があって、小田くんに助けられた話をすると(私がぶつかりに行ったり、ラノベを取ろうとしていたりしたことを伏せて)、みんなの中で急に小田くんの株が上がり始めたみたいで、小田くんは少し鬱陶しく感じているように見える。
謝りたいけれど、私から近づくことは出来ないし、まず、小田くんが私を避けている。
謝るタイミングを見つけることが出来ずに一週間がたった時、ある事件を耳にした。
あの小田くんが遂に部活に入ったというのだ。
部活動絶対加入が校則のうちの高校で、唯一まだ部活を決めていなかった小田くんは、変に注目を浴びるようになった事でそのへんも注目されるようになっていた。
「あのヲタク、めちゃくちゃ動けるらしいな?」
「何でもショッピングモールの最上階の吹き抜けから落ちそうになった玲花様をお姫様抱っこで抱えたっていう猛者だからなぁ」
「俺にはできねぇよ、そんな事。まるでドラマのヒーローヒロインのすること見てぇだな」
「いいなぁ、小田。俺も一度はヒーローになってみたいもんだぜ」
「いや、お前の場合はどうやってもヴィランじゃね?」
他クラスの男子の会話がふと耳に入る。
なんか話にすごい尾ひれがついているというか、元々なかった出来事が捏造されているような。
小田くんの扱いが良くなるのはいいことだと思うのだけれど、本人の嫌がることはしたくない。
「はぁ、小田くんに悪いことしちゃったなぁ」
と、思いながら、小田くんが入ったという部活の部室へと足を運んでみる。
因みに私は、お父様とお母様が部活を断固拒否したため部活動に所属はしていない。
というか、お爺様が学園の理事なので特定の部活には干渉してはいけないんだそうだ。
「ぼっち部、初めて聞いたなぁ」
旧校舎の3階、2クラス分の広さのあるその部室の中には、外から数えるだけでおよそ七人の人がいた。
みんな各々が個々の趣味を堪能しているように見える。
良く見る占いのコーナーのようにスペースが区切られていて、まさかの有線が完備されているようだ。
これは確かに、人に趣味を否定されたり、知られたりしたくない人間には理想の環境だろう。
「こんなところで部活か......いいなぁ」
自分の理想に近すぎておまわず感嘆の声が漏れてしまった。
誰からも鑑賞されず、誰からも小言を言われることのない、一人一人のための各々の環境。こんな最高の環境はなかなかないだろう。旧校舎なのに、その中でも充実した設備。部活に所属することを許されているのならここに入っていたかもしれない。
「およ? 1年生一番人気の泡沫ちゃんじゃあないのォ!」
「ふぇぇっ!?」
夢中で中を除きすぎて、背後の気配に気づかなかったようだ。
「ああ、オイラは3年生の水那月 桃花。こんな形して面白い名前だろ? 男なのに桃花なんだぜ?」
唐突に話続けられ、呆気に取られていると、
「あ、そうかそうか、引き止めて悪かったな。どうぞ中に入りな!」
と、背中を押されて部室の中へ押し込まれてしまった。
「あ、あの、私」
「大丈夫、大丈夫! ぼっち部は来るものを拒まずだからさ!」
強引な桃花先輩に連れられて、私はその日1日をぼっち部ですごしたのだった。
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