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始まり。

前のアカウントで作成した話を書いていきます。

ただ、前のアカウントは既に消してしまってあるので、内容も忘れ、前回とは大幅に違った話になりますので新作を書いていくのと同じになります。

よろしくお願いします。


※星間学院のクラス数を、3学年にして全3クラスに変更しました。

『――――てわけで、お前には女子校に転入してもらうことになったから、よろしくなっ』

「よろしくな、じゃねえよ!」


 俺は家にすら殆どいない親父からそんな無責任な電話がかかってきて、思わず買ってもらったばかりの携帯を投げそうになった。


『――――おいおい、そんな憤るなよ……お前にも悪い話じゃないんだぜ?』

「……なんだよ?」

『女の子がいっぱいいるからだよ。まぁ元とはいえ女子校なわけだから、当然だよなぁ……』

「女なんていいんだよ! 今気になってるのは、どうして俺が共学にできるかどうかのテスト生として、そこに転入しなきゃいけないって話であってさ! 大体、決まってた高校はどうすんだ!」

『何だ? お前ってもしかしてホモとかいうやつか? それだけは止めてくれ』

「そんなんじゃねぇ! いいから決まってた高校はどうすんのか教えてくれ!」


 さっきから怒鳴ってばかりで疲れる。これだから親父の相手は嫌なんだ。


『――――女子校に転入してもらうことになったって言ったろ? つまり、転入手続きは済ませてあるってことだ。って『元』女子校だったな、がっはっは』

「なんだと? てことは……」

『――――お前の想像どおりだ。その高校に行っても、既にお前の在籍権利はないってことさ』


 俺はすっかり準備万端に用意していた荷物を床に落っことした。


『――――まぁ落ち込むなって。行けば都だぞぉ? あ、俺は用があるからまたな。頑張れよ、潤一じゅんいち


 そこで電話は一方的に切られ思わず俺は――――


「あんのっ、糞親父!!!」


 携帯だと流石に不味いので、代わりに近くの鉛筆を投げつける。

 どうしてこうなった? と問いただしても答えは出てこない。

 ただ無駄になってしまった荷物を全て出そうと漁っていると、一枚の見たことないパンフレットが出てきた。


星間せいかん学園?」


 それはどうやらこれから嫌でも通わなければならなくなった元女子高のパンフレット。

 一応中身を見てみると、なるほど、確かに女子校だ。……わけが分からない。

 最終ページまでめくって、俺は適当に鞄に突っ込む。

 転入手続きが既になされているということは、俺はもうそこの生徒というわけで……。文句の一つでも言いたいところだが、のんびりしてる時間はないようだ。


「しゃあない! 行くしかないか!」


 こんな時母さんや姉ちゃんがいてくれたら。と、思っても仕方のないはずだ。

 全てはあの糞親父が悪いんだ。

 俺は今しがた引っ掴んで取り出した荷物を今度はバッグに突っ込み、家を後にした。




「……やべー……完全に迷子だ……」


 勢いよく歩いていた俺だったが、今は全く知らない土地の中にいた。

 途中からパンフレットに書いてある地図を見ながら歩いた俺は「地図が分かれば迷わない!」と自信満々に歩いてたのに……。全然合ってる気がしない……。

 こうなりゃ近くの女子でも妖怪でも幽霊にでも、何でも聞いてやる――――そういう勢いで、今、正に近くにいる女子に近づいた俺は、


「す、すみませんっ!」


 エクスキューズミーをかけた。振り返る女子。だが、その女子の表情は警戒心あらわといった感じ。

 まぁ無理もない。でも別にナンパするわけじゃないのだから、気にする必要もないだろう。


「えっと、どうしました?」

「あ、自分は芳情潤一ほうじょうじゅんいちっていうんですけど……その、星間学園への道って、ここで合ってますか?」

「確かにそうですけど……だけど、星間学院は女子校ですよ?」

「え……いや俺は親父……父にテスト生? とやらで通えって言われまして……」

「あーそういえば学院長もそんな話をしていた気がします。分かりました、では付いてきてください」

「助かるよ……」


 急な事だったとはいえ、転入初日から迷子で遅刻というのも恥ずかしい話だ。

 俺は女の子に着いて行きながら、救世主に出会えたといった目でずっと追っていた。

 

「芳情さんって言いましたっけ?」

「は、はい……何でしょう?」

「星間学園はかなり様々な女性がいるので気をつけてください。私は普通の市民ですが、中には貴族の方などもいますので、対応が悪いと学院から排除されることもありますから」

「え……そんなに怖いところなの?」

「……芳情さんがその方に対して粗相をした場合の話ですよ。私は構わないですが、そういうタメ口というのも、ダメなところです」

「あっ、ごめん……」


 少しでも会話するとタメ口になるのは昔からだ。多感な時期になる中学生一年の頃から直さなければと思い続けて、既に俺は高校一年生になってしまったのである。


「私は構いませんよ。そうだ、私の方も自己紹介を忘れてましたね。私は椎菜苹果しいなりんごといいます。もし同じクラスになるようであれば、よろしくお願いしますね」

「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」


 椎菜に対して再び敬語に戻すと「私相手なら気にしなくていいです」と笑ってくれた。


「あ、少し語弊がありました」

「うん?」

「実は星間学院は廃校寸前でして、一学年毎に一クラス分の生徒しか在籍してないんです。ですから、学院長があなたを呼び寄せたのでしょう。どういう経緯があって芳情さんに決まったかは分からないですがね」

「そ、そうなのっ!? 後半に関しては俺が聞きたいくらいだからね……」


 確かにそれなら共学にするための実験をすることも納得できるかもしれない。


「し、椎菜さんはさ、やっぱり反対?」

「私は今思い出したばかりでしたので……でも、芳情さんと会話してみて安心できたので、きっと大丈夫じゃないんですか?」

「そこは疑問形なんだ……まぁでも、嬉しいよ」


 当たり前のように会話をしてしまっているが、椎菜はとても可愛かった。

 歩く度に揺れる艶やかな薄茶色の長い髪も、時折俺と距離が離れないように確認してくれる時の顔も、正直それだけで「ここにこれてよかったんじゃないか?」という思いが出てきてしまう。

(流されるなっ。確かに椎菜さんは良い人だけど、現場はどうか分からない)

 それに椎菜の話では、貴族とか訳の分からない連中がいるらしいのだ。粗相なんて昔から大量にしてきた俺は、転入初日でぶっ飛ばされる自信がある。


「うぅ……想像したら腹痛くなってきた……」

「ふふ、そう身構えずにいて大丈夫ですよ。ここで出会ったのも何かの縁。私が協力してあげますから」

「ありがとうっ、君は俺の天使だ!」

「そういう冗談はいりません」


 ありゃ。思ったよりも硬く対応されてしまった。


「っと、着きましたよ。ここが、星間学園です。ようこそ、と言うべきですかね」

「おぉ~」


 ここが星間学園かと内心呟く。

 まず迎えてくれたのが大きな門だ。これは部外者を絶つ為の物だと勝手に予想した。

 そして、両側に桜の木が植えてある真っ直ぐな道の先に、校舎見える。


「こう言っちゃなんだけど……微妙に古いね」


 だけれども、それがまたいい雰囲気をかもし出しているのも本当だ。


「結構長いこと存在しているようですので、そのなごり……ですね。詳しくは私も知りませんけど」

「へ~」

「どうせ今は一クラスしかありませんし、あんまり外部には力を入れてないようです」

「厳しいのかな?」

「さぁ……ただ余裕があれば女子校のまま続けたいでしょうし、何かしらあるのは間違いないですね」


 なるほど。椎菜の言う通りだ。


「敷地案内は後でしますから、今は職員室に行きましょうか」

「あ、そうだね。道案内、お願いします」


 俺は来た時と同じようにして、椎菜の後を着いていった。

 果たして今後どういう展開が起きるのか、それはまだ分からない。

やっぱり作品を書くのは面白いですね。

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